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巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

「鋼血の姫甲士 ~花の章~」第2話「ドール殲滅計画」1章 | main | 蒼き反射少女の苦闘 狩猟者アークニー編 その3
蒼き反射少女の苦闘 狩猟者アークニー編 完結編
 12、
 
 
 時が止まった現実のなかで、リフレクターとなった森川更紗の悲鳴だけが轟いている。
 巨大蜘蛛、狩猟者アークニーの糸にがんじがらめに巻き付けられた、赤髪の少女。
 動けぬ更紗の乳首とクリトリスに繋がった糸は、高速震動を続けていた。ヴヴヴ、と唸って、微細な刺激を敏感な3つの突起に注いでいる。
 
「んぎいい”い”ぃ”っ~~~っ!!! ふはぁ”っ!! いあああ”あ”ぁ”っ~~っ!!!」

「ホホホ! よく頑張るわね、森川更紗。でも新人リフレクターが勝てるほど、現実は甘くないの。死んでしまう前に、私たちの仲間になりなさい。西田早苗や菅本しほりのようにね」

 同じ姿をした黒髪の女教師……2体の持内あずさの言葉に、不意に日菜子は気がついた。
 早苗やしほりも、ただ催眠術で敵の虜に堕ちたのではない。きっと、今の更紗のように激しい陵辱を受けて……心を折られてしまったのだ。

 
「ゆる……せないッ!!」
 
 十字架に磔にされた肢体を、白井日菜子は暴れさせた。
 むろん、変身が解けた今の日菜子に、アークニーの糸をほどく力などない。四肢に力を込めたところで、手首や足首にますます糸が食い込むばかりだ。
 
「あなたも堕ちるがいいわ、森川更紗」

 60度ほど開いた更紗の股間に、黒髪をハンマーの形に変えた女教師が一撃を打ち込む。
 ドゴンッ!! と重い音がして、赤いリフレクターの股間にハンマーが埋まった。
 
「あぎゅう”ウ”っ!? ひぎいい”い”い”ぃ”っ―――っ!!!」

「意地だけで耐えるのはやめなさい」

 続けてバラ鞭にした黒髪を、もうひとりの持内あずさが更紗の股間に通す。
 前後にバラ鞭を揺すり、半透明のコスチューム越しに陰唇からアナルまでを摩擦する。ジャリジャリと、鞭の数だけ幾重にも擦過音が重なった。
 
「んふう”っ!! ふあああ”あ”あ”ぁ”っ~~~っ!!!」

 長い赤髪を振り乱し、端正な顔を引き攣らせて更紗は嬌声を迸らせる。

「我が主・原種シュモディア様には所詮お前たちは勝てないわ。白井日菜子はあのザマなのよ? あなたひとりが頑張ったところで、時間の問題ね」

 涙で潤み、苦悶に歪んだ瞳で、更紗は磔の日菜子を見詰めてきた。
 日菜子も、ライバルの赤い瞳をじっと見る。
 全てを覚悟したように、コクンとうなずいたのはふたり同時のことだった。
 
「……あまり地球を……舐めない方がいいわっ!!」

 歯を食い縛って、更紗は喘ぎを押し留めていた。
 キッと強く巨大蜘蛛を睨みつける。
 赤いリフレクターは、時が来るのを待っていた。魔法発動が可能となるまで。
 
「回復魔法は……使わないっ!!」

 リフレクターは連続で魔法を使うことができない。強力な魔法を使えば使うほど、次の発動までに長いチャージ時間が必要となるのだ。
 ダメージを受け体力が尽きかければ、回復魔法を使うのが当たり前だった。そのまま闘っていたら敗北……最悪の場合、死が待つのかもしれないのだから。事実、白井日菜子はそうやって懸命に闘った。
 
 しかし、ダメージの回復に魔法を使えば、しばらくは強力な攻撃ができなくなってしまう。守りに入らざるを得なくなる。
 そうして結局攻め抜かれ……せっかくの魔法をまたも回復に使用することになる。その繰り返し。
 
 いつかどこかで、決断する必要があるのだ。
 勝負を賭ける、決断を。
 死の恐怖に打ち克ち、攻撃に転じる決断を。
 
 それが今。
 更紗に訪れた、命を燃やす灼熱の時。
 
「情熱のっ!! タンゴっ!!」

 自身最大の技を更紗は放った。
 高威力。広範囲。その代わりに、発動後は次の魔法チャージまでに長時間が必要となる諸刃の大技。
 
 ボボボッ!! ボンッ!! グオオオオォォッ!!!
 
 渦巻く炎が、更紗を中心に広がっていく。
 地を這う紅蓮の龍が、ハリケーンのように旋回する。全てを、更紗に絡みついた糸も、巨大蜘蛛も、2体の女教師も……周辺一帯を呑み込む。
 
「なッ!? こんなッ……ギャアアアアッ~~~ッ!!」

 業火の渦に、持内あずさの悲鳴が掻き消えた。
 魔法の炎が消え去った時、緊縛の糸から解放された更紗は、膝を折って地面にべったりと座り込んでいた。
 
「……はあっ!! はあっ!! はあっ!! ……私の……初ステージは、ここまでみたいね……」

 甘い声で囁き、猫のような瞳をわずかに細める。
 もう魔法は使えそうになかった。チャージ時間もそうだが、魔力自体がほとんど残っていない。鉛のように身体が重く、しばらくは動くことさえ出来そうになかった。
 全ては出し切っていた。
 バレエの初舞台を終えた時のような、達成感と清々しさが、更紗の胸にじわりと広がる。
 
「……殺して……やるわ……」

 怨嗟の声に、赤髪の少女は俯いていた顔を持ち上げる。
 服も黒髪も大部分が焼け落ち、ブスブスと焦げた皮膚から煙を昇らせた2体の持内あずさが、般若のような顔で立っていた。
 
「よくも……ッ!! よくもやってくれたわね、森川更紗ッ!! もう遊ばないわッ、お前を殺したくてたまらないッ!!」

「ギシャアアアアッ~~~ッ!!」

 黒山のごとくうずくまっていた巨大蜘蛛が、甲高い叫びをあげて再び動き出す。
 更紗最大の技「情熱のタンゴ」は、アークニーも原種の刺客である女教師も、始末し損なっていた。
 リフレクターになったばかりの更紗は、当然経験値も低ければ魔法少女としてのレベルも低い。一撃の威力が劣るのは、必然といってもよかった。
 
「うあっ……!! あああ”っ!!」

「アークニー、殺しなさいッ!! その小娘に、永遠の死をッ!!」

 赤い8つの眼が光る。3mを越える巨大蜘蛛は、牙を覗かせて座り込む更紗に殺到する。
 
 煌めく蒼い風が、突風となって飛び込んだのは、その時であった。
 
「なッ……!?」

 見開く持内あずさの瞳に、半透明のコスチュームが踊る。淡い蒼。ピンクのアクセント。翻るフリルに、思春期特有の瑞々しい素肌。
 その風の名を、持内あずさは知っている。更紗も当然。いや、その風を待っていた。
 
 淡く輝く蒼い魔法少女の名は、白井日菜子。
 リフレクターに変身した、日菜子であった。
 
「日菜子っ……!!」

「お待たせッ、更紗!!」

 アークニーの突撃をガッシリとガラスの剣で受け止めるや、キックで巨体を蹴り飛ばす。
 宙を舞った巨大蜘蛛は、彼方まで吹っ飛びゴロゴロと転がった。甲高い悲鳴があがる。
 
「ま、まさか……ッ!? 今の炎で磔の糸を……ッ!?」

 いや、それだけではない。
 驚愕に開かれていたふたりの女教師の眼が、さらに大きくなっていく。
 彼女たちは気付いたのだ。更紗が最初から、なぜこの大技を使用しなかったのか。無駄とも思える単独の戦闘に挑んでいたのか。

「白井日菜子が変身できるまで、時間を稼いでいたというのッ!? そのために森川更紗は耐えていたと……ッ!!」

「私ひとりの力では勝てないことは、わかっていたわ」

 しゃがみこんだ姿勢のまま、更紗は凛とした声を出した。
 
「今日の主役は日菜子なの。バレエのステージはみんなで造り上げるもの。エトワールの日菜子のために、脇役を務めるのも大事なことよ」

「しかしお前たちは、そんな相談などする余裕はなかったはずよッ!? なぜ測ったようにピッタリのタイミングで……」

「眼を見れば、お互い考えていることはわかるよ」

 優美なまでの肢体を魔法少女のコスチュームに包んだ日菜子は、剣を真っ直ぐ突きつけた。
 
「だって私と更紗は、親友でありライバルなんだよ?」

 眩しい陽光を反射するかのように、日菜子の全身はキラキラと輝いていた。
 
「さあ、決着をつけようッ!! 勝負だよッ、狩猟者アークニー!!」

 
 
 13、
 
 
 ガクガクと震えていた女教師のひとり、バラ鞭の方が不意に踵を返す。
 全力で駆け、1体の持内あずさは逃げだした。憎悪剥き出しの視線からすれば意外ではあるが、13体いた彼女たちはすでに2体しか残っていないのだ。全滅を避けるためには、賢明な判断であった。
 場に残ったのは、黒髪をハンマーに変形させた1体のみ。
 
「くっ!! あと少しのところで……」

「仕方ないよ、更紗。ここは蜘蛛のバケモノを退治することに専念しよう」

 一瞬追いかけようとした赤髪の少女は、片膝を立てるまでが精一杯だった。
 まともに動けるリフレクターは、日菜子ひとりと考えていい。その日菜子も外見こそ神々しいが……先程まで磔にされ拷問を受けていたのだ。満足に程遠い状態なのは明らかだった。
 
 対する敵側も、ダメージは相当に積み重なっている。
 ただひとり残ったハンマーの女教師も、半ば及び腰であった。監視役として残っただけなのだろう。ひとりではリフレクターに敵わないことを、原種の刺客はよく理解している。
 
 つまりは、お互い残った戦力は、1対1。
 日菜子と狩猟者アークニーとの決戦が、全てを決めることになる。
 しかも互いに手負いの状態。
 残り一撃。多くても二発目で……勝敗がつく。
 
「……いくよ」

 日菜子の脳裏には、様々な戦術が駆け巡っていた。チャージの時間、そして魔力の消耗を考慮して、最善の策を必死に練る。
 一度アークニーの脚は斬り落としたのに、気が付けば8本、全てが生え揃っている。再生が可能なのだろう。原種シュモディアが植物型の超常生命体であることが、こうした形で配下にも影響を与えているのかもしれない。
 
 脚ではなく、本体を狙わなくっちゃダメだ。
 
 しかも恐らく、一撃でこの巨体を仕留めるのは難しいだろう。二発。残った魔力でギリギリできる二発を使う。
 その分、攻撃を耐える時間が必要になるが……きっと耐え切れる。大丈夫。
 一撃必殺と呼べるような攻撃を持たないことが、アークニーの唯一の欠点かもしれなかった。
 
「はああああッ!!」

 ガラスの靴を踏みしめて、日菜子は真正面から突撃する。
 呼応するように巨大蜘蛛も吼えた。8本の脚を、それぞれ別の意志を持つかのように複雑に動かす。
 剛毛に覆われた脚が太い槍となって、様々な角度から日菜子に迫る。
 
「うおおおおおぉッ!!」

 躊躇することなく、日菜子は駆けた。
 流れ星のごとく残光の尾を引いて、真っ直ぐアークニーに突っ込む。ガラスの剣で脚槍を薙ぎ払い、あるいは細かなステップでかわしていく。
 
 ドガアアアッ!!
 
 右肩に避け切れなかった脚の一撃が食い込んだ。止まらない。
 歯を食い縛り、ショートヘアの美少女はひるまず前に進み続ける。
 
 ズドオオオッ!!
 
 左の太ももにも槍が埋まる。下がらない。進むことをやめない。
 
「うぐぅ”ッ……!! ゥオオオオッ――ッ!!」

 突き出される脚をすべてかいくぐり、ついに日菜子は蜘蛛の本体に辿り着いた。
 
「ギシャアアアアッ~~~ッ!!」

 咆哮するアークニーの牙がバカリと開き、黄色の液体が発射される。
 バシャリとまともに日菜子は浴びた。生皮を剥がされるような激痛。猛毒であることは一瞬で悟った。体力をガクンと一気に消耗する。
 
「ぐあああ”あ”ッ――ッ!! かぁ”ッ……!! 構う……ものかぁ”ッ――ッ!!!」

 更紗に、みんなに託された一撃を、こんな痛みで止めるわけにはいかなかった。
 
「エクレールトロッ!!」

 斬り上げるガラスの剣が、ついにアークニーに炸裂した。
 一度目の斬撃で、片側の脚を一気に斬り落とす。剣の風圧で、3m超の巨体がふわりと浮き上がる。
 
「二発目ぇッ!!」

 エクレールトロは三連続の斬り上げによる魔法攻撃であった。
 止まらない二撃目が、残る4本の脚も切断する。ズバンッ、と斬り落とされた脚がバラバラと宙空を舞う。
 今までで一番甲高い鳴き声をアークニーが放った。
 
「これで……決めるッ!!」

 ズバアアアァッ……!!!
 
 頭上に浮いた巨大蜘蛛の腹を、ガラスの剣が切り裂いた。
 一文字に奔る、斬撃の痕。パクリと蜘蛛の腹部が口を開く。
 
 勝った。
 
 掌に残る剣の手応えに、日菜子は勝利を確信した。
 間違いなく、三連続の斬撃は決まった。アークニーの腹部は真っ二つに裂けたはず。
 
 大きく割れた蜘蛛の腹部から、真っ白な糸の塊が大量のスコールとなって、日菜子の頭上に降りかかった。
 
「なッ!? きゃあああ”ッ――ッ!!」

 ネバつく糸の雪崩に、蒼いリフレクターが呑み込まれていく。
 それはアークニーの、捨て身の反撃だったのだろうか。腹を裂かれながらも、まだ巨大蜘蛛は生きていた。自然の落下に任せながら、日菜子の肢体を割れた裂け目に包み込む。
 糸で動きを封じられた日菜子に、回避の方法はなかった。
 
 ドオオオオォォウンンッ……!!
 
「日菜子っ!? そ、そんなっ……!!」

「ホホ、ホホホッ!! いいわ、アークニー!! そのまま白井日菜子を道連れにしてしまいなさいッ!!」

 悲痛な響きに彩られた更紗の声と、対照的な女教師の哄笑。
 もつれあった日菜子とアークニーが大地に激突した時、リフレクターの肢体は裂けた蜘蛛の腹部に呑み込まれていた。
 
「うあ”ッ、あああ”ッ……!! こ、んなッ……!!」

 巨大な納豆の袋に囚われ、掻き混ぜられた、とでも形容すればいいのか。
 菌糸のような粘った糸が、無数に日菜子に絡みついている。先程までの攻勢が一転。お尻を高くあげ、うずくまったリフレクターは、顔を真っ赤に染めてヒクヒクと痙攣していた。
 
 なんという、ことだ。
 
 日菜子は己の詰めの甘さを呪いたかった。いや、あの状態から逆襲したアークニーに戦慄すべきなのか。
 ほとんど掌に収めていた勝利を、日菜子は取り逃がしてしまっていた。
 それどころかしばらく魔法攻撃を駆使できない日菜子は、圧倒的不利に追い詰められた。糸に絡まれ、動きを制限されたなかで、敵の猛攻に耐えねばならない。
 
 魔法発動のために、ある程度我慢の時間が必要になるのは、最初から計算していたことだ。
 しかし、この状況は……
 
「ホホホホホッ!! 最後の最後は、私たちの勝ちのようねッ!!」

 それまで傍観を決め込んでいた女教師が、ズカズカと不用心に近寄ってくる。
 
「この場に残って正解だったわ。白井日菜子、今度こそお前はオシマイよ。アークニーの糸が、魔法発動の時間を遅らせることに気付いているわね?」

 そう。狩猟者アークニーの糸に緊縛されると、リフレクターの魔法チャージは数倍の時間がかかってしまうのだ。
 蜘蛛の腹部に取り込まれた日菜子は、籠の中の鳥も同じ。しかも翼を毟り取られた。
 その状態で、当初の予定より長い、長い拷問を耐え抜くのは……無理だ。
 
「動けないお前の処刑は、私に任せてもらうわ!」

 黒髪で作られた巨大なハンマーが、高く突き上げた日菜子のお尻……股間の局部に振り下ろされる。
 
 ゴキャアアアアッ!!
 
「あぎい”ぃ”ッ!? うぎゃああああ”あ”ア”ア”ァ”ッ―――ッ!!!」

「もう逃がさないわッ!! お前はここで死ぬのよ、白井日菜子ッ!! 残る体力をイカせまくって搾り取ってあげるッ!!」

 背後から胸の膨らみをムンズと鷲掴み、女教師は力任せに揉み始めた。
 コスチューム越しに、大きく実った美乳がぐにゃぐにゃと形を変える。粘った糸が絡みついて、ヌメリと微細な刺激を少女の肉丘に与えてくる。
 
「んはあああ”ッ、あああ”っ……!! はな、離してぇ”ッ……!!」

 日菜子の懇願を無視して、持内あずさは両耳にズボリと指を突っ込んだ。
 指先には、糸を丸めた塊。
 ネバネバの団子が、耳の奥深くまでぐちゅりと押し込まれる。耳に吐息を吹きかけられるよりも、何倍も鋭く粘着質なくすぐったさが、脳の近くでブチュブチュと鳴った。
 
「ふへああ”あ”ッ、耳ぃ”っ~~~っ!!! んはああ”っ、頭がぁ”ッ……!! 頭がトロけちゃう”ぅ”ッ―――ッ!!!」

「ホホホホッ!! さあ今度はもっと大きな糸の塊を、敏感な穴に埋めようかしら」

 涙をこぼして絶叫する日菜子に、女教師の嘲りは聞こえていなかった。
 掌に収まり切らない糸団子が、フリルいっぱいのミニスカートの奥。少女の秘園にグチャリと叩き込まれる。
 
「ふひゃああ”あ”ッ!! ふぎゃあああ”あ”あ”ア”ア”ァ”っ~~~っ!!!」

 股間の周辺一帯に粘った糸が広がり、アワビのようなおクチにべったりと張り付いた。
 ぐぶぶ、と押し込まれる糸団子は、細い膣道を通っていく。過敏な肉襞を、ズリズリと摩擦する。
 子宮いっぱいにどっぷりとネバネバの塊が鎮座した時には、もはや肉壺の奥から溢れる愛蜜は留まらなくなっていた。
 
「おかっ!! おかひくなぁ”っ……!! ふぎゃあああ”あ”あ”っ~~~っ!!! ぐちゅぐちゅすりゅう”ぅ”っ―――っ!!!」

 ぴゅっ!! ビュビュッ!! ぷしゅしゅッ……!!
 
 半濁の飛沫が陰唇から噴き出して、日菜子の内股をテラテラと濡れ光らせていく。
 涙と涎を垂れ流して叫ぶリフレクターは、己がどんな惨めな姿を晒しているかにさえ、気付いていなかった。
 
 全身をヌチャヌチャの糸に絡まれ、すでに日菜子の脳は押し寄せる快感に呑み込まれている。
 もはや再逆転は不可能であることに、日菜子自身が誰よりも悟っていた――。
 
日菜子07

 
 14、
 
 
「日菜子っ!! まだよっ!!」

 弾け飛ぼうとしていた日菜子の意識を、甘くて切迫した叫びが引き留めていた。
 霞みがかった視界のなかで、日菜子は見た。赤い髪の少女が、自分と似たような透明感あるコスチュームを着た魔法少女が、己に向かって駆けつけてくるのを。
 
「……さら……さッ……!!」

 来ちゃ、ダメだ。
 
 言おうとしても、声がうまく出てくれなかった。身体はドロドロに蕩けそうで、心はとっくに絶望している。もうすぐ己の生命力がゼロになることを日菜子は悟っているし、更紗がまだまともに闘えないこともわかっていた。
 
 あれだけの大技を使用した後だ。更紗の魔法チャージが、完了したとは思えない。
 それとも……間に合ったというのか?
 だからこそ、フラフラの身体で巨大蜘蛛と黒髪の刺客に立ち向かえるというのか?
 
「ダ……メぇ”ッ……!! 殺され……る……ッ!!」

「これが私の、最後の魔法よっ!! 日菜子っ!!」

 猫のような瞳で、良き好敵手の少女はカッと日菜子を覗き込んだ。
 粘着の糸に絡まれた日菜子に、真っ直ぐ向かってくる更紗。
 その前に立ちはだかったのは、巨大蜘蛛の頭部だった。
 
「悲運のロミオとジュリエットっ!!」

「ホホホッ!! 愚かな娘! 先にお前から殺してあげましょう、森川更紗ッ!!」

 更紗が叫ぶ。両腕の赤い刃を煌めかせ、斬りかかろうとする。
 だが、その突撃が届くより先に。
 女教師の合図に呼応したアークニーが、毒液の塊を吐きだしていた。
 
 ビシャアアアッ……!!
 
「あぐぅ”っ!?」

 赤いリフレクターの胸中央に、まともに黄色の毒液が直撃していた。
 強酸を浴びたような激痛を、日菜子は思い出していた。日菜子は耐え抜いた蜘蛛の毒液。
 しかし、魔法少女になったばかりの更紗は……
 
「さッ……!! 更紗ぁ”ッ―――ッ!!!」

 日菜子の引き攣った悲鳴のなかで、赤髪の少女は前のめりに倒れ込んでいく。
 
 どしゃあああ……っ!!
 
 受け身も取らずに校庭に沈んだ森川更紗の肢体は、ピクリとも動かなくなっていた。
 眠るように、長い睫毛を、固く閉じて。
 瞳をつぶったままの更紗は、持内あずさの足元にひれ伏すように転がっていた……。
 
「……更紗が……死んだ…………ッ!!」

 ボロボロと大粒の涙が、開いたままの日菜子の瞳からこぼれ落ちた。
 
「そん……な……ッ……!! もう……ッ……もう……!!」

 次から次へとダイヤのような雫を流して、ガックリと魔法少女は全身を弛緩させる。
 距離を置いて見つめる斉木有理が、呆然と佇んだまま動かない。感情がない、とされる天才少女でさえ、絶望に呑まれたかのようだった。
 
「フフ、お友達の死に……抵抗することさえ諦めたようね……」

 ただひとり満足気な声が、静まり返った夜の校庭に響く。
 黒髪の女教師が手を離すと、そのまま日菜子の肢体は垂直に落ちた。ドシャアッ、とアークニーの腹のなかで、両膝立ちになる。
 ボタボタと、透明な雫をこぼし続ける日菜子は、ショートヘアを俯かせたまま動かなかった。
 
「このまま快楽でイキ殺してもいいんだけど……せっかくのリフレクター、私自らトドメを刺すことにするわ。覚悟はいいかしら、白井日菜子?」

「……待って……」

 下を向き、両腕をだらんと垂らしたまま、魔法少女は小さく呟く。
 
「今更命乞い? それとも時間稼ぎのつもりかしら? ダメよ、お前がもう少しで魔法のチャージを終えるのは知っているのよ。その前に始末しなくちゃね」

「……そんなんじゃ……ないよ……」

 勝利を確信している黒髪の女は、目の前で跪いた日菜子をニヤニヤと見下ろしていた。
 
「なにかしら? 死に往く小娘の泣き言を聞いておくのも、楽しいかもね」

「……ロミオとジュリエットを……あなたは知ってる?」

「はあ? どうせバレエの題目かなにかなんでしょう?」

「そう……原種から生まれたあなたは知らないだろうけど……地球では有名な悲劇だよ。結ばれないふたりの、悲恋の物語……」

「ホホホッ、お前と森川更紗のように、望みは叶わなかったというわけね!」

 仰け反り返って女教師は大笑した。
 
「最後に……有名な場面があるの」

「有名な場面?」

「ふたりは周囲をあざむくために、芝居を打つの。……毒をあおって、死んだフリを」

 毒をあおって、死んだフリを。
 
「……ッ!? まさかッ!!」

 持内あずさが振り返るのを、赤いリフレクターが飛び起きるのはほぼ同時であった。
 更紗の標準装備。両腕に纏った光の刃が、矢のような速度で突き出される。
 
 ドシュウッ!! ドシュウウッ!!!
 
「……きさ……ま……ッ!!」

 女教師の額と心臓を、更紗の両腕は貫いていた。
 
「……死んだフリなんて、卑怯な手だと思っているわ」

 漆黒の霧となって、空間に溶けていく黒髪の刺客。
 その向こうで、大きく胸を弾ませた更紗は、ポツリと呟いた。
 
「けど、魔力なんて残っていない私には、こうするしかなかった。ダンスと演技は私の、バレリーナの武器だから」

「ギシャアアアアッ~~~ッ!!」

 事態を察したのか、アークニーが一際甲高い声を轟かせた。
 牙をガチガチと鳴らし、佇む更紗に襲い掛かろうとする。
 
「あなたの相手はこっちだよ」

 糸に絡まったままの日菜子が、光り輝く長い槍を、右手に握って引き絞っている。
 ガラスの剣を、変形させたものだった。
 更紗が持内あずさを葬ってくれたおかげで、日菜子の最後の魔法チャージも完了を迎えていた。
 
「はあああああッ!! これでッ!! 決めるッ!!」

 最後にして、最大威力の魔法の技を、日菜子は投げつける。
 
「リミエルカンセールッ!!」

 光の槍が巨大蜘蛛の頭部を貫き、その巨体を粉々に吹き飛ばした。
 
 長い夜の闘いが、終わりを告げた瞬間だった。
 そしてリフレクターに守られた世界の時間は、再び動き出す――。
 
 
 
「まさか『悲運のロミオとジュリエット』なる技など、実在しないとは恐れ入ったよ」

 翌日の昼過ぎまで、日菜子と更紗は科学部室で眠り続けた。
 珍しく気の利いた有理が、病欠の届けを学校に出してくれたという。こういう時、いわば治外法権ともいうべき有理の存在は有難かった。校舎の屋上に建てられた科学部室には、校長ですら有理の許可なしには入れないという噂だ。
 
 命からがらの勝利を収めた魔法少女たちは、ようやく身体を起き上がらせる気分になっていた。
 いろいろなことが起こって混乱はしているが……今は、柔らかな毛布と温かいコーヒーが嬉しい。
 
「あの時はもう、魔力なんて残っていなかったんだもの。でも、日菜子ならきっとピンとくるって信じていたわ」

「そりゃあ私たちバレエダンサーは、親しんだ話だからね……」

 試験管に入った褐色の液体を、日菜子は咽喉に流し込む。
 有理の淹れてくれたコーヒーは、ちょっと苦い味がした。それは勝利したとはいえ、痛々しい目に遭った……後遺症なのかもしれなかった。
 
「なんだか浮かない顔ね?」

「ん? ……持内あずさはひとり逃げている……13体を一度に倒さないと、彼女はまた復活してくる。原種シュモディアとの闘いは、まだまだこれからなんだよ……」

「そんなことを、気にしていたの?」

 パァンッ、と風船が破裂するような音を立てて、更紗が強く日菜子の肩を叩いていた。
 
「痛ぁ”ッ!! ちょ、更紗痛すぎるって!」

「もうあなたはひとりじゃないのよ? リフレクターがふたりいれば、回復やコンビネーションもずっとやりやすくなる。以前のように、ずっと闘いやすくなるでしょ?」

 更紗の言葉に、ふたりの小さな少女の面影が、日菜子の脳裏に蘇っていた。
 ユズ。ライム。
 ねえ、私は……あの時みたいに、また頑張れるのかな?
 
「そうだな。更紗の言うとおり、君たちの闘いはぐっと有利になるだろう。1+1は、2どころか4にも5にもなるはずだ」

 有理が顎に手を添えて、少し考える仕草を見せた。
 
「さらに仲間が増えれば、強大な原種といえども、必ず倒せるようになるだろう」

「仲間って……更紗がリフレクターになったのは奇跡的なことで、そう簡単にはいかないよ」

「ボクがリフレクターになろう」

 さらっと、お茶を淹れる係を決めるような手軽さで斉木有理は言った。
 
「えッ? えええッ~~ッ!?」

「更紗がなれたんだ。ボクがリフレクターになっても、理論的に不思議ではあるまい」

 驚くふたりの少女を前に、天才少女はこともなげに言い放った。
 
 実際に有理がリフレクターになるかどうかは、また次のお話――。
 
 
 
 《蒼き反射少女の苦闘  狩猟者アークニー編  ~了~ 》
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| 蒼き反射少女 | 11:38 | トラックバック:0コメント:1
コメント
最近はファンティアとpixivを主軸にしているため、すっかりこちらをサボリ気味になっています・・・。すいません(-_-;)

ブルリフのシリーズ「蒼き反射少女」のアークニー編を、「その3」「完結編」とまとめてアップしました。
「その3」をアップするのをすっかり忘れていました・・・大変失礼いたしました。

これでこのアークニー編は終了となりますが、おかげさまでブルリフのシリーズは好評を得ているので、今後も続けようと思っています。
特に信さまに描いていただいたリフレクター更紗が素晴らしく……同様のキャラを今後もお願いしたいなぁ、などと考えていまして(^^ゞ
新シリーズは少し時間が空くと思いますが、その際はまたよろしくお願いしたします。
2018.05.21 Mon 11:43 | URL | 草宗
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