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巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

蒼き反射少女の苦闘 狩猟者アークニー編 完結編 | main | 「鋼血の姫甲士 ~花の章~」第1話「誕生! ドールピンク」8章
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蒼き反射少女の苦闘 狩猟者アークニー編 その3
 
 9、
 
 
 十字架に磔にされた、制服姿の白井日菜子――。
 リフレクターとしての変身が解けた今、少女はただの女子高生でしかない。
 
「ホホホ、ここが現実である以上、死ねばそのままの意味になるわね」

 正面に立つ、同じ容姿を持つ3体の女たち。
 女教師・持内あずさとして日菜子の前に現れた原種シュモディアの刺客は、鏡合わせのように揃って笑った。違いといえば、長い黒髪が、それぞれハンマー・ノコギリ・バラ鞭といった武器に変形していることだけだ。
 
(……ダメ、だ……私、ここで…………本当に、死ぬんだ……)

 トロトロと溢れる涎を抑えることさえ、日菜子はできなかった。
 元々は13体いる持内あずさを、3体まで減らすことはできた。しかしそれが、限界だった。
 巨大蜘蛛アークニーの糸に巻き付かれた身体は、完全に自由を失っている。
 リフレクターの姿さえ維持できなくなった魔法少女は、敵の処刑を待つことしかできなかった。

 
「ひ……日菜子っ!!」

 前髪パッツンの長い赤髪とスレンダーボディが特徴的な少女が、悲痛な声を出す。
 森川更紗はたまらず走り寄ろうとしていた。親友の磔姿に、顔が蒼白となっている。
 そんな更紗の目の前に、髪をサイドポニーにまとめあげた美少女がたちはだかる。
 
「あら~、ダメよ更紗。私たちのお楽しみを邪魔しちゃあ」
 
 バレエで鍛えたしなやかな脚が、急ブレーキをかけて止まった。
 
「し、しほりっ!!」

「日菜子ちゃんはもうアークニーに捕獲されたエサだよ? 部外者は黙っててもらおうかなぁ」

 艶を含んだ流し目で、菅本しほりは更紗を見て微笑を浮かべる。
 『部外者』。
 その言葉が、胸に思わぬ深さで突き刺さったことに、更紗は自分でも驚いていた。
 
「わ、私は日菜子のサポート役よっ!? 他に誰が日菜子を助けられるって……」

「リフレクターでいられなくなった日菜子ちゃんには無意味だよね? 更紗はステージの下で、傍観してればいいんだよ」

 ニンマリと唇を吊り上げるしほりは、元が端正な顔立ちだけに不気味なほどだった。
 
「あなたと有理は、日菜子ちゃんを始末したあとで可愛がってあげるから」

 ペロリと赤い舌を出し、サイドポニーの美少女は己の唇を舐める。
 そのルックスとすでに成熟したボディで、他校男子にもっとも人気がある少女・菅本しほり。
 男にモテる、イケてる女子。それは女子高のなかでは、特別に目立つ存在とならざるを得ない。いい意味でも、悪い意味でも。
 
 恋愛とは無縁の、「特別枠」にいる更紗にだって、しほりの話は聞こえてくる。モテる女子の、それが宿命。
 どれだけチヤホヤされていても、彼女が付き合った経験がないことは、更紗も噂で聞いていた。男子と遊ぶのは好きでも、恋愛の対象となると別……そんな噂の意味は「そういうこと」だったのかもしれない。
 
 だが、更紗が思わず立ち尽くしてしまったのは、そうしたしほりの事情が原因ではなかった。
 
「わ、私はっ……!!」

 ギュッと固く拳を握り、唇を噛むだけで……動けない。
 ステージの下で、ただ眺めているだけ。
 初めて日菜子のバレエに魅了された時が、そうだった。『舞踊の天才』とすでに言われていた更紗も、そこではただの観客のひとり。
 ステージで踊る日菜子はキラキラと眩しく、そして……更紗の位置からはずっと遠かった。
 
 他のダンスは一切やめて、バレエ一筋で日菜子の後を追い始めた。
 自分はやっぱり『舞踊の天才』だったんだと、正直に自覚する。日菜子との差はみるみる詰まった。遠かった背中がハッキリと見えるようになり、手が届きそうに思えた。
 
 でも日菜子は。前だけを見ていた。
 
 私という存在に、気付いてくれた。ライバルと、言ってくれるようになった。今では親友とだって、認めてくれている。
 けれど日菜子は、私の背中を見ることなんてない。それはきっと、ふたりの立場を……今走っている位置を……残酷に証明している。
 
 背中を見る者は、後ろにいる者。
 すなわち、追いかけている者、だけなのだから。
 
「私は……日菜子の……なんなの……?」

 そう、本当は……わかっていた。
 せめて横に並ばなければ。同じ場所に立っていなければ。見られることはない。日菜子は私を、見てはいない。
 
 こんなにも私は、あなたに憧れているのにね。
 
 親友だけど。ライバルだけど。
 私はあなたの、隣には立っていないのね。
 
「私は……あなたと同じステージには……立って、いない……」

 今だって、そうだった。
 サポーターの私は、日菜子を手伝うのが精一杯だった。一緒に闘っているわけじゃない。処刑されようとしている日菜子を、救うことができない。
 あの日と同じ。ただステージの下で傍観するだけの……部外者なのだ。
 
 気が付けば更紗は、両膝から校庭にどしゃりと崩れ落ちていた。
 長い赤髪を垂らして俯く。
 猫のような瞳から雫が溢れ、ボタボタと乾いた地面に沁みを広げていった。
 
「さぁ、アークニー。日菜子ちゃんのカラダを、あなたの媚毒でグズグズに蕩けさせちゃおうよ」

 更紗に背を向けたしほりは、もはやその存在すら脳裏にないようであった。
 磔の制服少女に、スキップして近づいていく。
 8つの眼を持つ巨大蜘蛛が、十字架の日菜子に正面から抱きついた。シュウシュウと噴き出す白い糸が、戦闘不能の少女をさらにギチギチと緊縛する。
 
「……ぅああ”ッ……!! ア”ッ、アア”ッ……!!」

「ホホホッ……!! この瑞々しくて、芸術的な肉付きのボディを……思う存分愉しめるなんてね!! 簡単に死んではダメよ、白井日菜子。私たちはたっぷり時間をかけて味わいたいのだからッ!!」

 3体の持内あずさと、滴る涎を拭いもしない菅本しほり。
 色欲に満ちた視線が見つめるなか、巨大蜘蛛は日菜子の左胸に噛みついた。
 
「ぐああ”ア”ッ!! うわあああ”あ”ア”ァ”ッ~~~っ!!!」

 制服越しに大きく膨らんだ乳房に、牙が深く埋まる。
 ドキュドキュと音がして、〝狩猟者アークニー〟の毒液が注入されていく。
 
「うああ”ッ、あ、あついィ”ッ―――ッ!! む、胸がぁ”ッ……も、燃えちゃうぅ”ッ~~ッ!!」

「フフ、安心なさい、白井日菜子。あなたのオッパイが、エッチな刺激に昂り過ぎているだけのことよ。火でもつけられたように、興奮してるだけ。こんなふうにね」

 女教師のうちのひとりが、制服にほんのわずかに浮かんだ陰……尖った突起をピンと指で弾く。
 
「んへああ”ぁ”ッ!? ひあああ”あ”ア”ッ――ッ!!」

 束縛された肢体をビクンッと大きく震わせ、叫びとともに日菜子は唾液を撒き散らした。
 
「あらあら。もうイキかけなのね、弱っちい元リフレクターさん。けれどアークニーの毒は、これからが本番よ」

 巨大蜘蛛のお尻が、磔少女のお腹に迫っていく。
 長く太い、赤色の針が、鋭い先端を光らせていた。
 女教師のひとりが、日菜子の制服をガバリとあげる。チラチラと覗いていたお臍が、ハッキリと露わになった。
 
 縦長の、形のいい臍穴に、アークニーの毒針がズブズブと埋まっていく。
 
「んがあ”ぁ”ッ!? うわああああ”ア”ア”ァ”ッ―――ッ!!!」

 感度を倍加させる媚毒が、またも日菜子の体内に注入される。
 リフレクターの変身が解けた今、たったひとりの魔法少女はもはや普通の女子高生に過ぎない。そんな日菜子に容赦なく、モンスターの毒液が何度も打ち込まれる。火照ったカラダが暴走し、細胞が随喜に痙攣する。
 
「アアア”ッ!! ビリビリィ”ッ……!! カラダぁ”ッ、ビリビリしぢゃう”ッ―――ッ!!! ほ、ホントにっ!! ホントにわたし、おがしぐぅ”ッ……―――ッ!!!」

 3体の女教師と、うっとりとしたしほり。
 媚毒を注入した巨大蜘蛛と入れ替わるように、日菜子を玩具のように見つめる処刑者たちが迫ってくる。
 
 合計8つの掌が、ピチピチに詰まった日菜子の肢体を撫で回す。制服の生地が、素肌と擦れてシュルシュルと音を立てる。
 
 ガクガクとショートヘアーを振り乱して、日菜子は叫び続けた。
 白い光に包まれた脳裏で、怒涛のような快楽は息絶えるまで続くことを、日菜子は覚悟した。
 
 
 10、
 
 
 ブクっ……ゴブゴブ……ゴボぉ”っ……!!
 
 ガクリと垂れた日菜子の顔から、大量の泡と唾液が溢れ落ちた。
 虚空を彷徨う瞳からは、涙が止まらない。
 絶望に叩き落され、官能に染め抜かれて……かつて魔法少女であった女子高生は、刻々と近づく破滅の足音を聞いていた。
 
「さて……そろそろ、限界かしらね」

 十字架の少女から、3体の女教師としほりが離れる。
 ボタボタと、様々な体液が日菜子の足元に垂れ落ちていた。ピッタリ揃えられたローファーの爪先から、雫がまた落ちる。
 
「アークニー、やっちゃいなさい」

 再び迫る、赤い眼の巨大蜘蛛。
 敗北の魔法少女に、またも正面から抱きついていく。快感に貫かれながら、もはや己の肉体が壊れてしまったことを悟る日菜子は、静かにトドメを待つしかない。
 お尻の赤い針を、アークニーは振り上げた。
 狙うは日菜子の股間――。その秘部に突き刺して、処女とともに命を散らさんとする。
 
「日菜子ぉぉっ~~~っ!!!」

 ポス、という鈍い音が、アークニーの背中で生まれた。
 赤い髪の少女が、3mを越すモンスターに殴りかかっていた。
 
「……さ、さら……さッ……!?」

 その呟きは、誰の声だったか。
 かすむ視界で、親友の姿を捉えながら、日菜子は呆然と思った。離れた場所で眼を見開いている、斎木有理の声なのか。愕然と佇んで動かない、菅本しほりの声なのか。
 あるいは、死を覚悟したはずの胸に、言いしれぬ温もりを感じている……自分自身のものだったか。
 
「日菜子にっ!! 日菜子に酷いことしないでっ!! このバケモノぉっ!!」

 普段は、育ちの良さを感じさせる更紗が。上品な言葉を遣う更紗が。らしからぬ叫び。
 
「あなたたちなんかにっ!! 日菜子はやらせないわっ!! 離れなさいっ、日菜子から離れなさいよっ、ケダモノたちめっ!!」

「……更紗……ッ!!」

 今度はハッキリ、日菜子のものだとわかる声。
 
「日菜子っ、私はあなたと同じステージに立つわっ!!」

 ポカポカと何度も巨大蜘蛛の背中を殴りながら、更紗は叫んだ。
 
「もう傍観者じゃないっ!! 部外者だなんて言わせたくないっ!! どんなに私が無力だろうと……あなたを追いかけることを、決してやめないわっ!! 危険であっても、この舞台に立つのっ!!」

 殴りつける両方の拳から、血が滲み始めた。
 皮が裂けようと、骨が砕けようと、更紗はやめるつもりはなかった。リフレクターでもない自分がこんなモンスターと闘うなんて、愚の骨頂だ。多分私は、ここで死ぬ。
 
 でも。それで、構わない。
 
「だってあなたはっ!! 日菜子は私の、エトワールだからっ!!」

 フランス語の「星」。だけどバレリーナにとってのその意味は、「最高のバレエダンサー」。
 
 ぐるりと巨大蜘蛛が、その身体を更紗に向けた。あまりの煩わしさに、もう我慢ならぬ、と言わんばかりに。
 8つの赤い眼に見据えられて、更紗は悟る。ああ、ここまでなんだ。
 本気になったモンスターに襲われれば、ただの人間である更紗はひとたまりもなかった。苦しむことも少なく、あの世にいくのだろう。
 
 さようなら、日菜子。そして、ありがとう。
 
 死が迫ろうと、更紗は瞳を閉じるつもりはなかった。最期まで私の星を、日菜子の姿を焼きつけたかった。
 猫のような瞳をカッと見開き、まだ闘う。血塗れになった拳で、さらにアークニーに殴りかかる。
 
 さらちん。
 
 一瞬を永遠と感じるような、時の流れのなかで。
 更紗の脳裏に声が響いた。どこか聞き覚えのある声で。
 
 お願い。ヒナちゃんを守って。
 さらちんなら、きっとできるよ――。
 
 声は2種類になっていた。懐かしく、切ない気持ちが溢れ出す。
 
 あなたたち、なんだね?
 
 その途端、視界を眩い光が埋め尽くした。
 それは一瞬のこと。更紗は勢いのまま、巨大蜘蛛の腹部を殴る。無力な少女の、細腕で。
 
 ボガアアアアアッ!!!
 
 トラックが衝突するような轟音が目の前で起こって、アークニーが吹っ飛んでいた。
 
「えっ!?」

 キラキラと、世界が輝きに満ちていた。
 十字架に磔にされた日菜子が、瞳を見開いている。はじめ更紗は、日菜子がまたリフレクターに変身できたのだと思った。でも違う。日菜子は制服姿のままだ。
 
 輝いているのは、更紗自身だった。
 
 クリスタルを生地にしたかのような。半透明の、煌びやかなコスチューム。フリルで華々しく飾られた衣装は、まさしくリフレクターのそれだ。
 リボンやスカートに、赤色が混ざっている。
 日菜子のピンクに対し、自分のイメージカラーは赤なんだ。咄嗟に全てを、更紗は理解できた。頭には、真っ赤なバラの髪飾り。
 
「更紗……ッ!? その……姿は……!!」

「私っ……!! 私が……リフレクターにっ!? ウソでしょうっ、でも!!」

 不可思議なパワーが湧いてくるのを、更紗は感じていた。
 原種シュモディアの影響で、この世界は今、現実でありながらコモンに近い状態となっている。エーテルと呼ばれる霊的なエネルギーを、魔法少女であるリフレクターならば、受け取ることもできるはずだ。
 
「更紗。君はもともと、フラグメントにより日菜子と繋がっていた」

 ひとり冷静な声が、敵も味方も混乱に陥った闘いの場に響く。IQ300の天才少女、斎木有理の声が。
 左手の指輪に、更紗は反射的に視線を落とす。リフレクターの仲間である証。元々青かった指輪が、今は真っ赤に光っている。
 〝想いの欠片〟であるフラグメントを共有したことで、更紗たちサポーターはリフレクターに力を与えていた。
 
「サポーターの力が指輪を通してリフレクターに流れるのならば、その逆もしかりだ。リフレクターとしての能力が、日菜子から流れてくる可能性は否定できない」

「まさか!? そんなことが……」

「なにより君は、日菜子と同じ感情になれたんじゃないかい?」

 どこまでも冷静な声で、漆黒の髪の少女は言った。
 
「君は本気で、日菜子と同じ場所に立ちたいと願った。そして命を捨ててでも、闘う決意を固めた」

 ハッとする想いが、更紗の胸に生まれた。
 確かにアークニーに向かう瞬間、更紗は自分のことなどどうでもいいと思えた。日菜子を守りたかった。日菜子と一緒に、闘いたかった――。
 
「今の君は、ボクから見れば日菜子にそっくりだよ。まさしく日菜子の想いを反射する者――リフレクターだ」

 ああ、そうなのね。
 あの時聞こえた2種類の声。あのふたりはきっと……私を認めてくれたんだ。
 
 私になら、日菜子を任せてもいい、って。
 
「……日菜子。あなたにも、今の私の姿は……見えているのかしら?」

 前をいく者は、後ろから追いかけてくる者の姿を、見ることはできない。後を追う者だけが、常に先行く者の背中を見ている。
 前の者に自分の姿を見てもらいたかったら……せめて、横に並ばなければならない。
 同じ場所に、立たなければ。
 
「……カッコイイよ、更紗のリフレクター姿」

 身体中の血が沸騰し、更紗の全身を駆け巡った。
 日菜子。私の星。憧れだったあなたに、いつも追いかけていた、その背中に。
 
 私は本当に、並んだのね。
 私とあなたは、本当のライバルになった――。
 
「どうやらッ!! 本気で殺す必要があるようねッ!!」

 女教師のうちの一体が、漆黒の風となって更紗に殺到する。凄まじい速さだった。一瞬のうちに距離が詰まる。
 ノコギリに変形させた黒髪を、振り回す。
 更紗の首へ。鋭い刃で、躊躇なく少女の細首を斬り下ろさんと。
 
 ガキィ──ンンッ!!
 
 迫るノコギリを、手刀で更紗は受け止めていた。
 深紅の光で煌々と輝いている。左右の腕が、赤い光に覆われていた。まるで光の剣を、両腕に装着したかのようだ。
 
「なッ!?」

「甘いんじゃないかしらっ!? もう私は『部外者』なんかじゃないのよっ!!」

 不思議な感覚だった。
 誰に教えられていなくても、動きがわかる。技の名前がわかる。
 見えない魔法の力に導かれるように、リフレクターとなった更紗が、魔法攻撃を繰り出す。
 
「鮮烈のブレイクっ!!」

 両腕のブレードを輝かせ。
 独楽のように、更紗は回転した。高速のターン。ギュルギュルと錐揉みする肢体は、まるで深紅の竜巻。
 
「きさっ!!」

 ま

 ザザザンンンッ!!!
 
 ノコギリを振り上げた女教師の傍らを、回転する更紗が通り抜けた。
 大きく口を開けた持内あずさの顔が、細切れになる。叫びかけた言葉は、最後まで言い終わらなかった。
 深紅の回転カッターで切り刻まれた原種の刺客は、バラバラと黒い靄になって空間に溶けていく。
 
「私は、リフレクター。リフレクターの森川更紗よ」

 日菜子に続く二人目のリフレクターが、この世界に誕生した。
 
 更紗01

 
 11、
 
 
「ギシャアアアッ~~~ッ!!」

 緊迫感が、再び校庭を包んでいた。
 闘いは事実上、終わっていたはずだった。唯一のリフレクター、白井日菜子が敗れたのだから。魔法少女の変身が解け、十字架に磔にされた時点で、日菜子の命もこの世界も終焉を迎えるはずだったのだ。
 
 だが、赤いリフレクターの誕生が、決まっていた運命を変えた。
 煌びやかなリフレクターのコスチュームを纏った更紗が、残る敵と対峙する。13体いた持内あずさは、ハンマーとバラ鞭の2体を残すのみだ。あとは激昂したように吼えている狩猟者アークニー。
 そしてもうひとり、持内あずさの催眠術に操られているグラマラスな少女は……
 
「しほり。無駄なことは、やめた方がいいわ」

 更紗の言葉に、己の胸と股間に伸びていたしほりの手が、ピクリと止まった。
 
「快感の信号を、フラグメントを通じて送る……そんな攻撃は、あなたと繋がっている日菜子にだけ有効なはずよ。私には通じない」

 サイドポニーにしたフェミニンな少女は、泣き出しそうな表情を浮かべた。
 指摘されるまでもなく、自身で理解していたのだろう。こと日菜子に対しては、強烈な威力を誇る〝オナニー共感〟も、それ以外の者にはまるで無力だ。
 対更紗において、しほりは全くの戦力外であった。
 
「う、ううぅ~~……!!」

「あなたを傷つけたくないわ。催眠術を解くまで、下がっていなさい」

「……更紗っ!! 日菜子ちゃんは、私のものなんだからねっ!!」

 叫ぶしほりの瞳から、一粒の雫がポロリとこぼれた。
 
「……しほり!?」

「あなたには、負けないんだからぁ~~っ!! 絶対日菜子ちゃんは、私が虜にするのっ!!」

 しほりが悔しがっていたのは、別の意味であったことにようやく更紗は気付いた。
 くるりと背を向けて、日菜子以上に豊満なボディを持つ少女は走り出す。涙を拭いながら、全力でこの場を去っていく。
 
「……私にとっては、好都合だわ」

「更紗ッ、気をつけて!」

 最悪の場合、人質に取られることも予想していたしほりがいなくなったことで、生まれたばかりのリフレクターは安堵しかけていた。
 磔状態の先輩が、その気を引き締める。希望を取り戻した日菜子であったが、その肢体が官能と蜘蛛の糸に支配されているのには変わりはない。変身も解けている日菜子は、更紗に勝利を託すしかないのだ。
 
「リフレクターは魔法攻撃をした後に、隙が生まれるッ……!! 次の魔法を繰り出すまでに、チャージの時間が必要となるんだよ! しばらくは守りを固めないとッ!!」

「おっと、そうだったわね!」

 身体能力が飛躍的に高まり、強力な魔法も駆使できるリフレクターだが、決して無敵ではない。
 特に「魔法攻撃には時間がかかる」という制約は、大きな足枷となっていた。日菜子が多数を相手に、さんざん苦しんできたのもこのためだ。
 
「威力が高い魔法や、広範囲に効果があるものほど、次の魔法に時間がかかるのッ! さっき更紗が使った技ならきっと……」

 『鮮烈のブレイク』は威力はあっても範囲は決して広くはなかった。
 大脳皮質の奥に隠れた本能が、内なる小部屋でそっと呟く。あれは中程度の魔法であったと。つまりチャージにかかる時間もそれなり。驚くほど長くはないが、楽観できるほど短くもない――。
 
「どうやら、ここが勝負所のようねッ!」

 ハンマーとバラ鞭。残る2体の持内あずさが、血相を変えて襲ってくる。
 元々は13体もいたのに、ここまで減ったのだ。原種シュモディアが送り込んだ刺客は、余裕など失っていた。闘い慣れていない更紗を相手に、全力で息の根を止めんと向かってくる。
 
「くっ!!」

 最初のハンマーの一撃を、両腕をクロスして更紗はガードする。
 鈍くて重い音色が響き、スレンダーな肢体が後方に飛ぶ。だがノーダメージ。腕の骨が砕けるかと思ったのに、痛みすら感じていない。
 よく見れば、肘から先に纏った深紅の光は、装着したままだった。
 
「コレはまだ使えるのっ!?」

「それが更紗の専用武器なんだよ、きっと! 私のガラスの剣や、ユズのバトンとかライムのくまさんみたいに!」

 両腕を包んだ光のブレードは、魔法攻撃にはカウントされないらしい。
 ならば。
 反射的に、赤いリフレクターは十字架の日菜子を見た。この光の剣で、蜘蛛の糸を断ち切れたら。
 
「ギシャアアアッ―――ッ!!」

 駆けだそうとした瞬間、更紗と十字架を遮るように、巨大蜘蛛が割って入る。
 読んでいたのか。いや、アークニーのようなモンスターでもわかるほど、日菜子を助けようとするのは当然の動きだった。
 
「そう思い通りにはいかないわねっ!! バレエでも、よくあることだけどっ!!」

 アークニーの口と尻から、白い糸が大量に吹き付けられる。
 一気に後方に飛んで、更紗はかわした。自分が鳥になったような、速さと身軽さ。リフレクターになるとは、こういうことなのか。
 だが、3体を同時に相手どるのは、初めて命のやりとりをする少女には厳しい。
 
「初舞台で主役が務まるほど、このステージはラクではないわよ!」

 飛んだ先に待っていたのは、2体の女教師たち。
 唸るバラ鞭が、無防備な更紗の背中をしたたかに痛打する。
 
「きゃあああ”あ”っ!? アア”っ!!」

 灼熱と激痛が無数に奔る。恐竜の爪で、背中を引き裂かれたような。
 たまらず仰け反った赤髪の少女に、巨大なハンマーが襲い掛かる。
 餅をつく、杵のごとく。
 丸太のような一撃が、お臍を丸出しにしたコスチュームの腹部に、まともに打ち込まれる。
 
 ドボオオオォンンッ!!!
 
「うぶう”ぅ”っ!? ごはあ”ア”ア”ッ―――ッ!!!」

 唾液の塊を吐きだして、更紗の肢体は一気に海老のように丸まった。
 リフレクターに変身していなければ、今の一撃で全ての内臓が破裂していただろう。
 
「こ、こんなっ……こんな痛みを、日菜子はずっと耐えていたっていうの!?」

 腹部を押さえ、疼く苦痛に更紗は悶えた。
 鉛の塊を呑み込んだかのようだ。ズウゥンと、お腹が鈍い痛みを抱えている。胃から血が逆流してくるのではないかと思えた。ガクガクと膝が震えて、動けない。
 
「更紗ッ、逃げてぇ”ッ――ッ!!」

 日菜子の悲痛な叫びが届く。逃げられるのなら、とっくに逃げている。
 だが、リフレクターとして同じステージに上がった以上は、舞台を途中で放棄する選択などない。
 
「くぅ”っ!? し、しまっ……!!」

 ブシャアア、と吐きかけられる大量の糸を、更紗はまともに浴びてしまった。
 粘った蜘蛛の糸が、絡みついてくる。ぐるぐると巻き付き、赤いリフレクターの自由を奪う。
 アークニーの糸によって、更紗のスレンダーな肢体が緊縛されていた。
 
「更紗ぁッ!?」

「……フフフ! ようやく捕まえたわよ、新人ダンサーさん」

 糸を振りほどこうとすればするほど、モンスターの特殊糸は強く粘着してくる。
 両腕が背中に回され、後ろ手に拘束される。これでは光のブレードを使うにも容易にできない。
 脚にも絡みつき、ガバリと強制的に開脚させられる。半透明なスカートが左右に割れて、なかのアンダーが露わになった。まるでレオタードを装着しているような、下腹部。
 
「大丈夫よ、日菜子っ!! 私は、こんなことでは負けないわっ!!」

 キッパリと言い切りながらも、心が震えそうになっていた。
 敵の狙いは更紗にも、よくわかっている。さんざん目の前で、ライバルが陵辱されるのを見せつけられたのだ。
 
「生意気さでは、白井日菜子に負けず劣らずね。でも森川更紗」

「『舞踊の天才』と呼ばれているあなたには、悶絶のダンスをたっぷり踊ってもらおうかしら」

 思い切り振り上げられたバラ鞭が、更紗の股間にビシャアアッ!! と叩きつけられた。
 
「いぎいい”い”ぃ”っ―――っ!!! ィ”アア”っ……っ!! アア”っ!!」

「フフ、ようやく苦しげな表情に歪んだわね。さあ、今度は胸を潰してあげる」

 フルスイングのハンマーが、ドボリと右の乳房に埋まった。
 
「ごぼオ”オ”ぉ”っ―――っ!!! あぐア”っ、アア”っ……!! ぐ、う”ぅ”っ!!」

「あなたと遊んでいる余裕は、もう私たちにもないの。全力で殺してあげるわ。アークニー!」

 巨大蜘蛛が8本の脚を一斉に、緊縛された深紅のリフレクターに突き出した。
 まるで槍のような鋭い刺突が、華奢な肢体にズボズボと突き刺さる。
 
「ふぐう”ぅ”っ!! ぐう”っ!! きゃあああ”あ”ア”ア”ァ”ッ―――ッ!!!」

 乳房に、お臍に、股間に。
 容赦なく、ビッシリと毛の生えた蜘蛛の脚が、深々と埋まった。
 絶叫する更紗の口から、鮮血が噴き出す。ビリイイッ、と右胸を覆うコスチュームが、無惨に引き裂かれた。
 
「がああ”っ!! アア”っ……!! ぅああ”っ……!!」

「いやあああ”あ”ア”ア”ァ”ッ―――ッ!!! 更紗ッ!! 更紗ァ”ッ―――ッ!!」

 苛烈な攻撃に天を仰ぎ、更紗はビクビクと痙攣した。
 全身を引き裂かれたように、激痛が渦巻いていた。あまりの苦しさに、瞳が裏返りかかる。
 魔法が使えさえすれば緊縛からも脱出できるのに、矢継ぎ早な波状攻撃に、一方的に責められるばかりだ。
 
「ひ、ひな……こっ!! 私を……信じて……っ!!」

 痛みと恥ずかしさで意識が飛び掛かる。日菜子ほどのボリュームはないが、形のいい瑞々しい乳房が露見してしまっている。さくらんぼのような小さな蕾が、先端でふるふると揺れていた。
 気丈に振舞うことしか、今の更紗には出来なかった。魔法攻撃のチャージが終わるまで。ひたすらに時間がかかる。親友を心配させぬよう、なるべく平然と装ってみせる。
 
「なかなかに頑丈ね。ただの攻撃では始末するのに時間がかかりそう……。アークニー!!」

 打撃で陥落させるのは難しいと判断したのか。
 女教師の合図に、巨大蜘蛛が糸を飛ばす。ビシュッと数条の直線が描かれる。
 露出した右の乳首と、コスチューム越しの左の乳首。
 さらには下腹部。陰唇の上部にある過敏な肉芽に、糸はキュルキュルと巻き付いた。
 
「あ”っ!?」

 ビククッ、と震える更紗に構わず、糸は激しく震動を開始する。
 
 ヴヴヴッ!! ヴヴゥッ、ヴヴヴヴヴゥ”ッ―――ンン”ッ!!!
 
「ひぎゃああ”っ!! ふぎゃあああ”あ”ア”ア”ァ”ッ―――ッ!!!」

 超震動による高速愛撫。
 不思議な術を使えるのは、魔法少女だけの特権ではない。原種が生んだモンスターもまた、人外の能力で桁外れの快楽を発生させていた。
 
「あ”、あああ”ッ!! さ、更紗ァ”ッ―――ッ!!!」

「フフフ! 思った通り。華やかなルックスとは裏腹に、あなたも白井日菜子と変わらずウブなようね?」

「思春期の感じやすいカラダに、これだけの愉悦を送られたら……ひとたまりもないでしょう?」

 ビクビクと痙攣する更紗に、敏感な3つの突起へのバイブは続く。胸と股間に、針を突き刺すような鋭い悦楽。
 
「だめぇ”っ!! だっ、めぇ”っ―――っ!!! こんあ”っ!! こん、あのぉ”っ~~~っ!!!」
 
 ぷしゅッ!! ブシュシュッ……!! ぶっしゃあああッ―――ッ!!!
 
 盛大な飛沫が、赤いリフレクターの股間から噴き出した。
 白目を剥きかける、バレエ少女。食い縛った歯の間からブクブクと泡を吹く。
 懸命に耐えようとする更紗に、無情な快楽の震動は注がれ続けた。
 
「ホホホ……! リフレクターになったから勝てるだなんて……思わないことね、森川更紗」

(あ”っ、あああ”っ!! お、おかしく……なりそうっ!! わ、私じゃあ……か、勝てないのっ!?)

 絶頂を迎えても、一向に緩まない官能の刺激。
 乳首とクリトリス送られる激感に、頭の奥がバチバチと弾けている。こんな脳ミソを蕩けさせる電撃を浴び続けたら、わずかな間で発狂してしまうだろう。
 
 原種が送り込んだ刺客の恐ろしさを、更紗は身をもって悟り始めていた。
 そして同時に、このままでは自分が肉悦の末に滅んでしまうことも。

更紗02
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| 蒼き反射少女 | 11:34 | トラックバック:0コメント:0
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