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夏コミ作品「蒼き反射少女の苦闘」サンプル② | main | ヒロインピンチの思い入れを語るその1「デンジピンク」
オメガスレイヤーズ 第1話「ウエノ動乱」サンプル②
ファンティアhttps://fantia.jp/fanclubs/1770 にて連載しているオメガスレイヤーズ第1話を更新しましたので、こちらにもチラっとだけサンプルを…

こちらではちょっとしたサンプルをあげる程度で、申し訳ない気持ちもありますが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
挿絵をお願いしている炙りサーモンさまhttps://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=64174070 のページに、今回分の挿絵を掲載していただいていますので、力作を是非ご覧ください。

サンプルは以下の「続きを読む」からになります。

挿絵の部分に合わせて、サンプルの文章をあげていますので、ネタバレをおおいに含みます。

ファンティアでの閲覧を考えておられる方や、DL化した作品の購入を考えておられる方は、十分に注意してサンプルをご覧になるか、判断ください。

作者としては、物語性を重視していますので、いわゆる実用的なシーンではありませんが、ストーリーの展開がわかってしまう危険性はありますので……くれぐれもご留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 

 一夜が明けて、四乃宮郁美と聖司具馬は、東京国立博物館の正門前にいた。

 

 郁美はオフホワイトのネックセーターに黒のミニスカート。通っている大学で男女問わずに憧憬を集めている、『白黒コーデの姫』らしい出で立ちであった。同じように黒のスーツと白のシャツ、2色のコーデが定番になっている司具馬とは、お似合いといっていい。

 郁美がミニのスカートを好むのは、いざという時に動きやすいためだ。

 同じ理由で、オメガ戦士には短いスカートやショートパンツ、デニムのジーンズなどを私服に好む者が多い。生脚を露出する機会も多いため、戸惑いがないわけでもなかったが、効率と可愛らしさを両立させるにはミニが一番、というのが郁美の結論であった。

 

 時刻は夕方の4時をとっくに過ぎている。

 間もなく、入館できる刻限が迫ろうとしていた。博物館の広大な敷地は壁に囲まれているため、内部を覗くには巨大な正門の、鉄格子の隙間から窺うくらいしかない。格子の間隔自体は広いので、真正面に建つ本館の威容が、外からでもよく見えた。

 

 鉄門の隣には入館者用の出入り口があり、警備員が立っている。

 閉館間際なだけに、入場する者はまばらであったが、上野公園自体は賑わっていた。近くの動物園からの帰り、といった家族連れや観光客も多いようだ。

 「上野の山」と通称される上野恩賜公園一帯は、どこからどう見ても、平和で穏やかな黄昏時を迎えようとしている。

 

「ねえ、シグマ。本当にここが……20万体もの死者に占拠されてるの?」

 魅惑的な女子大生が、口を尖らせたのも無理はない。

 

「ケガレも妖化屍も、太陽の光が苦手、なんて設定はないからな。この雑踏にヤツらが大挙潜んでいてもおかしくはない」

「でもさ……どう見ても普通の人たち、ばかりなんだけど」

「郁美がどうしても偵察したい、って言うから、連れてきてやったんだが」

 はぁ、とこれ見よがしに司具馬は溜め息をついた。

 

「だって! 『五天使』のリーダー……オメガフェアリーが捕まっているんでしょ? 司具馬の考えだと、まず間違いなくあの本館のなかに」

「オレの推測なら、十中八九、な」

「だったら助けないとっ! 言ったでしょ、私はたったひとりでも六道妖を全滅させるって!」

「……郁美の強情さには本当に負けるよ……だがな、絶対に闘わない、という約束を忘れてもらったら困るぞ」

 渋る司具馬を強引に説得し、敵地である上野公園に乗り込んできたことを、郁美は思い出す。

 むろん郁美だって、たったひとりで六道妖と闘うなど、無茶であることはわかっている。国立博物館の本館を実際に見て、すぐにでも飛び込んでいきたい気持ちは高まっているが……まずは状況を確実に把握するのが重要だろう。

 

「確かに今は、観光客ばかりだ。いつもの上野公園と変わらない、と見えるかもしれない。だが実際には、もうここは敵地の奥深くだ。ヘタに動けば、いつ六道妖の総攻撃を浴びてもおかしくはない。できる限り穏便にすませて……」

「せっかくだから、中にも入ろうよ。うまくいけばフェアリー……美園華那さんだっけ? 華那さんを救出できるかもしれないわ」

「……郁美? オレの話、聞いてる?」

 引き留めようとする司具馬の手をするりとかわし、郁美は素早く警備員に近づいた。

 時計を確認する。入館の刻限である4時半まで、あと2、3分というところだ。こういう場合、なかに入れてもらえるかどうかは、施設によって微妙な気がする。

 

「あの、すみません。まだ入館できますか?」

 まだ二十歳そこそこといった警備員に、声をかけてみる。いかにも真面目そうな青年は、郁美に話しかけられドキリとしたようだ。心なしか、顔が赤くなっているように見える。

 

「今日はもう無理ですね。今からでは、とても広い館内を回り切れませんし……日を改めてお越しください」

「あ、でもまだ4時半にはなっていませんよね」

 微笑みなら、食い下がる。

 郁美としては、目的は本館の視察のみなのだ。常人の脚ならばともかく、オメガ粒子の力をちょっと使えば、本館どころか東洋館や法隆寺宝物館など、合計5つの展示館をすべて回れる自信はある。

 30分も時間があれば、オメガフェアリーの痕跡を綿密に探ることができるだろう。

 

「ねえ、シグマ。見たいのは、本館だけでいいんだよね?」

 慌てて駆けつけてきた男に、満面の笑みを浮かべてみせる。

 穏便に、などと言った当人だけに、こんな場所で目立ちたくない気持ちは、司具馬こそが強いだろう。郁美がにこやかに話しかけたら、平和な顔で応じざるを得ない。

 眉をヒクリと吊り上げながらも、司具馬はギクシャクした笑顔を無理矢理作った。

 

「ああ、そうだな。本館さえ見られれば、十分だ」

「〝見たいもの〟は他にはない、って断言してたもんね」

「こう見えてもオレは状況などを読むのが得意でな。自信はある。〝探しもの〟があるとすれば、本館以外にはないだろう」

「うーん、そうは言われましても、もう時間がないので……」

 困り顔を浮かべて、若い警備員は確認するように背後の本館を振り返った。

 正門から本館まで、ざっと100mはあろうか。真っ直ぐ先の奥にある横長の建造物に、つられて郁美も視線を飛ばす。昭和初期に建てられた和洋折衷の建物は、歴史に裏付けされた落ち着きを漂わせている。

 

 ふと、異変に郁美は気付いた。

 先程まで閉じていた本館の扉が、大きく開け放たれている。玄関にあたる中央ホールと、その先にある大階段とがオメガ戦士の瞳にはよく見えた。西洋風の瀟洒なつくりが、博物館というより旧華族の豪邸を思わせる。

 

 その大階段の前、玄関ホールのほぼ中心に位置する場所に、巨大な杭が直立している。

 3mほどの高さがあった。紫の結晶で出来ており、カッティングされたダイヤのようにキラキラと光を反射している。その正体が紫水晶であることは、オメガスレイヤーならば誰もが瞬時に見抜いたろう。

 

 杭の先端に、ひとが串刺しにされている。

 動いていないが人形などではない。人間だ。長い髪は鮮やかな金色で、ターコイズグリーンのコスチュームを纏っている。背中のケープが赤く染まっているのは、流れる鮮血のせいだろう。

 小柄だがバランスのいい肢体は、仰向けの態勢で胸の中央を紫水晶の杭で貫かれていた。

 

 見るのは初めてでも、それが深緑の地天使オメガフェアリー……美園華那であることは、間違いなかった。

 

「なんて……ことをッ!!」

「待てッ! いくな、郁美ッ!!」

 郁美と司具馬が叫ぶのは同時であった。

 ふたりの声に反応したように、くるりと警備員が振り返った。キョトンとした表情を浮かべ、不思議そうに郁美に問いかける。

 

「おや? どうかしましたか。なにかおかしなことでも……」

 すす、と何気ない様子で、警備員が郁美との距離を詰めた。落ち着かせようとでもするかのように、『白黒コーデの姫』の肩に、右手を伸ばしてくる。

 わずかに開いた口のなかで、真っ赤なふたつの眼がギロリと光った。

 

「餓鬼妖ッ!! 呪露(ジュロ)ォォッ―――ッ!!!」

 パパパパパンンンンンッッ!!!

 

 咆哮とともに郁美の左右の拳が唸る。五連撃。警備員の肉体に、可憐な女子大生のストレートがまともに食い込んだ。

 顔と身体を陥没させた警備員は、糸の切れた操り人形のように軽々と吹っ飛んでいく。

 

「……ったく。やはり我慢できなかったか」

「しょうがないでしょッ!! 身体から死臭がプンプンしてるんだもんッ!」

 

 鉄門に背中から激突した警備員は、何事もなかったかのようにすぐに立ち上がった。腕が奇妙な方向に曲がり、顔が半分崩れている。

 青年の顔の右側……目や鼻や耳から灰色のドロが溢れ、グジュグジュと蠢きながら覆っていた。

 ニヤリと笑った。ドロに浮かび上がった、三日月型の眼と口が。

 警備員の体内に隠れていた〝流塵(りゅうじん)〟の呪露が、とっくに冷たくなっている肉体から表に現れ始めていた。

 

「……ゲヒ……ゲヒヒッ……いやあ~~……惜しかったなぁ~~……」

 

 異変に気付いた周囲の人々が、悲鳴をあげた。

 だが彼らが心底恐怖するのは、これからが本番であった。

 博物館の受付係も、動物園の飼育員も、公園をうろつく浮浪者も、店先で威勢のいい掛け声を飛ばす商人も……上野界隈に居つくあらゆる人々が、一斉に動きを止める。まるでそれまで送られていた電気信号のスイッチを、切られたかのように。

 

 黄昏時のことを逢魔が時とはよく言ったものだ。舌打ちしたくなる感情のなかで、郁美は思う。

 

 これから先は、妖魔の時間。

 生者の仮面を被っていた死者たちが……その本性をさらけ出す。20万体もの、ゾンビたちが。

 

「……ゲヒ。……ゲヒヒヒッ……さあて郁美ちゃあ~~ん……楽しいゲームのさぁ~~……開始といこうじゃないかぁ~~ッ!!」

 ウオオオオォォ”ォ”ッッ…………ンンン”ッ!!!

 

 「上野の山」一帯を、ケガレの咆哮が震わせた。

 やはり。すでにこの付近は六道妖の手により陥落していたのだ。妖化屍に殺された者は、ケガレ……忠実なリビングデッドと化す。最悪の事態ではあるが、残念ながら住民たちは屍の群れとなった。

 しかもさらに厄介なことには……観光地でもある上野には、他地方から来た一般人も多い。普通の、人間たちが。

 だからこそ郁美は、惑わされたのだ。

 上野公園の最奥、ともいうべき国立博物館前まで進んだ郁美と司具馬を囲むのは、20万体ものケガレだけではない。偶然居合わせた、不幸な観光客もいるのだ。もちろん『水辺の者』としては、彼らを守らねばならない。

 

「シグマッ!! お願い、みんなを守って!」

「ちッ。ミサイル一発で上野を焼き払う……などと、出来ないわけだ」

 首からぶら下げた十字架のロザリオを、郁美は強く握る。オメガ粒子を解放するとともに、セミロングの茶髪がプラチナブロンドへと光り輝く。

 白銀のスーツと深紅のケープを纏った光天使が出現する頃には、司具馬はおびえる人々の元に駆け付けていた。だがいかんせん、人数が多すぎる。国立博物館の付近だけでも、10名以上の観光客が、瞬く間に腐っていく住民たちの姿に泣き叫んでいる。

 

 ボオゥゥンッッ!!

 

 突如破裂したのは、警備員の肉体だった。

 呪露が内部から弾けさせたのだ。バラバラになって飛び散る肉片が、観光客へと迫っていく。

 肉片には、それぞれ灰色のドロが付着している。つまりは、呪露のカラダの一部が。

 

 人質でも、とろうって気?

 

 気付いた時には、変身を遂げたオメガエンジェルの肢体は、白銀の閃光となっていた。四方に散らばる肉片を、疾走する光天使がすべて追いかける。

 

「ムダだよ。私が……オメガエンジェルがいる限り、この人たちには指一本触れさせない。あ、指なんてないんだっけ。泥の怪物だもんねッ!」

 脚を止めたプラチナブロンドのスーパーヒロインは、握っていた右手を開いた。

 一粒たりとも逃さずキャッチされた肉片が、パラパラと深紅のブーツの足元にこぼれ落ちた。

 

「……ゲヒヒッ……相変わらず生意気だなぁ~~、お前……じゃあ死ねッ!! 死ねよぉ~、オメガエンジェルぅッ~~……!! お前がやってくるのをさ……オレたちはずっと、待ってたんだぜぇ~~……」

 2mを越す、灰色の泥山。

 本来の姿を露わにした呪露は、ドロから腕を造り出して背後を指し示す。開け放たれた本館の玄関、中央ホールで串刺しにされた、オメガフェアリーを。

 

「……なぁ~、見えるかぁ~~? ……面白い趣向を凝らしてるだろぉ~~……」

 再び注意深く金髪の地天使を見て、オメガエンジェルは六道妖の仕掛けに気が付いた。

 串刺しのフェアリーの後方、大階段を上がり切った2階のフロアに大きな壁時計が飾られている。なぜか短針だけになった、荘厳な時計が。

 何時であるかを示す文字盤のひとつひとつに、糸が張られているのが光属性のオメガスレイヤーには遠目でもわかった。糸は天井へと伸び、滑車を通じて、脱力しているオメガフェアリーの全身に結ばれている。

 

 つまり、紫水晶の杭に貫かれているオメガフェアリーは、壁時計に繋がった糸によって、かろうじて支えられているのだ。

 時計の短針は鋭く研ぎ澄まされている。今、「5」の文字盤に進む短針が糸に触れれば……ブツリと切れて、フェアリーの肢体はさらに深く杭に埋められることになる。

 

「ッ!! ……オメガフェアリーを死なせたくなかったら……一刻も早く助けろ、ってわけ?」

「ゲヒヒヒィッ~~ッ!! まあ、あと何時間もつか、わからないけどねぇ~~……? だが『12』までいったら……杭の根本まで、妖精ちゃんの細っこい身体は落ちるぜぇ~~ッ! そしたら胸で真っ二つだなぁ~~……ゲヒヒッ、しぶとい華那ちゃんも確実にオダブツだねぇッ!! ……ゲヒ、ゲヒヒヒィッ~~ッ!! 死ぬ、死ぬ♪ オメガフェアリーも……ヴィーナスみたいにバラバラになって死んじゃうねぇ~~♪」
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| オメガスレイヤーズ | 01:16 | トラックバック:0コメント:2
コメント
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2017.08.08 Tue 02:02 | |
>コメントくださった方
いつもありがとうございますw まさかツイッターでのネタにまで反応いただけるとは(^^ゞ
今回はどちらかというと伏線を張る回、で本番は次回以降になりますかね(^O^)
オメガエンジェルの活躍?というかバトルは、今回はサワリ程度ですが、次回以降に楽しみにしていただければ・・・自分としてはまだまだこれから、と思っていますので(^^ゞ

多人数が登場する話なので、それぞれのバトルに注目していただければ、と思いますが、ボク自身、純粋にバトルを書けそうで楽しみです(*´▽`*)
2017.08.08 Tue 09:30 | URL | 草宗
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