巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

ウルトラ戦姫物語 博士の愛した戦姫編① ジェニスの章 | main | 「ウルトラ戦姫物語~七大将軍編~ Vol.1」本日販売開始しました!
オメガスレイヤーズ 第0話 「破妖の天使」⑨

 13、敗北宣言
 
 
 美貌に張り付く長い茶髪を、オメガセイレーンはしきりに振り払っていた。
 冷たい汗が顔いっぱいに浮かんでいるため、髪がまとわりついてくる。やや垂れがちな瞳は、いつもより大きく見開かれていた。普段なら、26歳という年齢以上に落ち着いたセイレーンだが、今は明らかに余裕を失っている。
 
 己の『城』と呼ぶキャバクラ『シーサイド』のなかで、スーツもミニスカもケープも青で統一された蒼碧の水天使は、脚を止めて動けなくなっていた。
 ただ、首だけを前後に向ける。
 正面にいるのは、おかっぱ頭の少年。そして背後には、筋肉に覆われた弁髪の武人。
 六道妖のなかでも、最強と目される天妖・絶斗と修羅妖・虎狼に、オメガセイレーンは前後を挟まれていた。
 
 この二体を相手に、たったひとりで立ち向かう・・・それはあまりに苛酷すぎる闘いであった。
 セイレーンは絶体絶命の窮地に陥った、と表現するのが妥当であっただろう。

 
(・・・活路が、見いだせない・・・まさか〝覇王〟絶斗がここまでの強さだったなんて・・・ッ・・・)

 視線を素早く前後に動かしつつ、セイレーンの脳は打開策を探ろうと懸命に働いていた。
 小学生高学年ほど、に見える子供と、いかにも屈強で、武具まで手にした巨漢。
 普通ならば、どちらに突破口があるか、考えるまでもなく判断できるだろう。出入り口が武人のすぐ後ろにあると見えていても、迷うことなく少年に向かって死地を抜けようとする。
 
 だが、オメガセイレーンはつい先ほど、この少年妖化屍・絶斗と拳を交えて圧倒されたばかりであった。
 病み上がりの体調、という面を差し引いても、純粋な戦闘力で絶斗は蒼碧の水天使を上回っている。自身の能力を過信しないセイレーンは、その現実を飲み込めている。
 
 1対1でも危ういというのに、絶斗と遜色ない強さを持つとされる〝無双〟の虎狼が現れた・・・己の生命が風前の灯火であることを、否応でもセイレーンは自覚せざるを得ない。
 半年前の闘いで、最強のオメガスレイヤーであったオメガヴィーナスも、炎の属性を持つオメガフェニックスも虎狼には敗北したと聞いている。これまでに総勢、1000名もの破妖師が修羅妖・虎狼に殺害されているのだ。
 
 セイレーンに限らず、この二体と同時に闘って勝てるオメガスレイヤーなど存在しないだろう。生き延びることができれば、御の字だ。
 しかし、水の能力を遺憾なく発揮できるよう建築した『我が家』にいることが、皮肉にもセイレーンこと藤村絵里奈にこの場からの脱出を難しくさせていた。
 
(・・・『シーサイド』は、あのコたちにとっても自分の『城』・・・簡単に壊すわけには、いかない・・・わよね・・・)

 この店の経営者である絵里奈だが、自分を慕って集まってくれた後輩キャバ嬢にとっても、ここが『我が家』であることを理解している。
 壊れたら、また直せばいい・・・というモノではない。そんな言葉は、ここにしか居場所がない絵里奈には、到底吐くことなどできない。
 
 どうしても守りたいものが、絵里奈にはある。
 『我が家』であるこの『城』は、恐らく仲間のオメガスレイヤーたちの命と、変わらぬほどに尊い。
 
 『シーサイド』を守るために闘っている絵里奈が、自分の命可愛さに店を壊してしまったら、本末転倒であった。
 建築時、『シーサイド』の床や天井、壁面にはパイプを張り巡らせ常に水が流れるようにしてある。蒼碧の水天使が近くにいる限り、そのオメガ粒子の余波で店舗の強度は飛躍的に高まるのだ。
 だから、セイレーンと六道妖が全力で激突しても、容易に店内は壊れやしない。
 その代わり、蒼碧の水天使はこの窮地から脱出しずらくなっている。自ら作った堅牢な檻のなかに、入っているようなものだ。
 
(戟の穂先が緑色・・・〝オーヴ〟を利用しているのね・・・・・・ということは・・・虎狼は、遊ぶつもりのようね・・・・・・)

 弁髪の武人が握った武具の先端を見つめながら、スレンダーな美女は溜め息を漏らしかけた。
 もし戟の穂先が紫色、つまり紫水晶を使っているのなら、虎狼の一閃でオメガセイレーンは死を迎えることになるだろう。
 しかしそうではなく、緑。
 オメガスレイヤーの鋼鉄の肌をあっさりと傷つける紫水晶ではなく、反オメガ粒子の〝オーヴ〟。ということは・・・修羅妖の武人は、じっくり時間をかけてセイレーンを嬲り殺すつもりであることが窺える。
 
「ねぇ。もう一回だけ、言っておくけどさー。負けを認めてボクの奴隷になるなら、命だけは助けてあげるよ? ボクが飽きるまでは、ね。お姉さんみたいなキレイなひと、簡単に殺すのはやっぱりもったいないもんね」

 糸のような両目をさらに細めて、正面に立つおかっぱ頭の少年が笑う。
 
「縛姫のババアたちが、萌黄の風天使だっけ? 他のオメガスレイヤーを殺しにいってるみたいだしね。となると絶滅危惧種、ってヤツだよね、お前たちって。貴重な遊び相手だからさー、素直に奴隷になるなら、しばらくは生かしておいてもいいぜ?」

 優位に立つ悪が、正義のミカタに対して理不尽な服従を迫る。
 ドラマや漫画で何度も見たことのある、おなじみの光景。普段のセイレーンならば、一笑に付して即座に拒否したことだろう。
 だが、笑って済ますことができない現状であることを、水天使は理解してしまっている。

「・・・それは、私の願いをひとつ、叶えてくれるって解釈していいのかしら?」

 妖艶な美女が呟いた言葉は、天妖・絶斗を驚かせたようであった。
 それまで一筋の線になっていた目を、丸くする。
 
「ん? どういうこと?」

「命乞いなんてするつもりはないけど・・・ひとつだけ、私の頼みを聞いてくれるのなら・・・今の話、考えてもいいわ」

 汗に濡れたセイレーンの美貌には、真剣な眼差しが光っていた。
 
「・・・へー。意外だったな。まさか本当に、降伏してくれるとはね」

「降伏するとは言っていないわ。あくまで、私がいう条件を守ってくれるのなら・・・」

「ふーん。つまり命よりも大切なことが、お姉さんにはあるってことか。いいよ。その条件っての、言ってみなよ」

「このお店、『シーサイド』とここで働くみんなに手を出さないと約束してくれる? それなら・・・」

「それなら?」

「・・・あなたの奴隷になっても、構わないわ。飽きて殺されても、構わない」

 明らかに顔色を変えたのは、筋骨隆々の武人であった。
 修羅妖・虎狼は純粋に闘争を好むと聞いている。闘うことを放棄し、敗北を自ら認めたと受け取れるセイレーンの発言に、怒気を発するのも当然だろう。
 そんな武人を制したのは、おかっぱ頭の少年だった。
 
「店とここのひとたちに何もしなければ、奴隷になってくれるんだ?」

「・・・ええ」

「そう。じゃあ・・・」

 パカリと、真っ赤な口腔を覗かせて絶斗は口を開けた。
 
「お前が守りたいっていう、この店もひとも。みんな壊してやるよ。それが嫌なら、ボクたちに勝つんだね」

 ゲラゲラと笑いながら、一直線に少年妖化屍がセイレーンに突っ込む。
 対する青色のスーパーヒロインは、朱鷺色の唇をわずかに歪めて、真横へと飛びすさった。
 
「やっぱりね。そんなことだろうとは、わかっていたけど」

「ギャハハハ! バーカ! なんでお前の願いなんてきかなくちゃいけないのさ? こっちは元々、力づくで何でもできるんだぜ!? お前が一番嫌がるっていうなら、それをやってやるよ!」

 セイレーンが横へ逃げたのは、背後の虎狼とも距離を置くためだった。
 水天使と天妖と修羅妖。その三者が、ちょうど正三角形を描いたような配置となる。だがそれも一瞬。キャバクラとしては広いフロアも、ひとの範疇を越えた3人には狭すぎる。嘲笑う少年妖化屍と、戟を構えた武人が、一気に殺到する。
 
「くうッ!」

 まともに闘っては、勝機はない。
 わかっているから、蒼碧の水天使は回避に集中した。
 加速を乗せたパンチと、突き出される〝オーヴ〟の穂先。真っ直ぐ向かってくる2つの攻撃を、回り込んで避けた。避けることができた。
 背後で、強化されている壁が、ガキンッ! と硬質な音を奏でる。
 
 唯一、セイレーンの希望となっているのは、大量の水が足元にあることだった。
 先程のスプリンクラーからの放水により、くるぶしほどの高さまで床には水が溜まっている。これならば、最大の一撃を放つことも可能だった。
 だが。その前に、まず。
 
「〝雨の橋立〟ッ!!」

 ドオンッ!! ドドドオオォッ!!
 
 床から天井に向かって。
 無数の水柱が、突き出される槍のように立ち昇る。天妖・絶斗も修羅妖・虎狼も包み込む。
 この〝雨の橋立〟がオメガセイレーン最強の必殺技、というわけではなかった。しかし2体の妖化屍を同時に攻撃し、なおかつその視界を遮断できるというのは、現状ではなにより有難い。
 
 最大の一撃=〝水砕龍〟(みさいりゅう)を放つには、まだ機は熟していない。それがセイレーンの見立てであった。
 まずは水柱のカーテンで消耗させる。あるいは、あわよくばこのまま逃げ切ってしまう。
 絶斗は店を壊すなどと、うそぶいているが、本当に興味があるのは「遊び相手」であるオメガスレイヤーだけだとわかりきっている。また、水の力で補強された『シーサイド』は、セイレーンの能力が及ぶ限りは容易に壊れぬはずだった。
 
 ・・・いけるわ。彼らの視界を奪っている間に、外へ――。
 
 見渡す限りの水流の壁のなか、青のヒロインは出入り口へとジリジリ移動した。
 
「無駄だ。オメガセイレーン」

 立ち昇る水柱の、その奥。
 轟音を割って届いたのは、〝無双〟の虎狼の声だった。
 と同時に緑色の十字状の刃が、水のカーテンを破って、真っ直ぐセイレーンに突き出された。
 
「あッ!?」

 ドボオオオォォッ!!!
 
 黄金に輝く『Ω』の紋章。胸中央のマークを、正確に〝オーヴ〟の戟は直撃した。
 
「ふぐぅッ!! ・・・う”ッ!!・・・どうし、てッ・・・!?」

「貴様の動きなど、手に取るようにわかる。修練が足りぬようだなッ、蒼碧の水天使よッ!」

 胸の紋章は、オメガ粒子の集積地であることを示すものだ。反オメガ粒子である〝オーヴ〟の凶器を撃ち込まれれば、深刻なダメージを受けるのは必然。
 ザアアア、と無数に昇っていた〝雨の橋立〟が一斉に崩れる。よろめく脚で、懸命に後ずさるオメガセイレーン。
 その口元から、ゴボリと鮮血の塊がこぼれでる。
 
「攻防、両面を兼ね備えた技、なかなかに面白い。しかしこの虎狼には通じんぞッ!」

 瀑布となって落ちる水の壁の向こうに、戟を構えた弁髪の武人は現れた。鎧のごとき筋肉には、いくつかの血の痕が滲んでいる。
 水流の槍で斃せる、などとは思っていなかったが、やはり武芸の粋を極めた修羅妖には、〝雨の橋立〟ではかすり傷を負わせるのが精一杯だった。
 
 マズイ。早く態勢を、立て直さないと。
 
 黒煙をあげる『Ω』のマークを両手で押さえ、セイレーンは可能な限り距離を開けようとする。後方へと跳ぶ。
 許されなかった。
 〝覇王〟絶斗が、懐に飛び込んでくる。左右の拳を無造作に、しかし恐るべき威力と速度で、連続で放ってくる。
 
「くぅッ!! ううぅッ!!」

 バズーカ砲をマシンガンの連射で、至近距離から撃ち込まれているようなものだった。
 両腕でガードし、脚は全力で下がり続ける。そうすることでかろうじて、セイレーンは深刻な一打を避けた。肉を削るかのような絶斗の連打を、必死に耐える。
 
 カッ、と青いブーツのかかとが、なにかにぶつかった。
 気が付けば、蒼碧の水天使は壁際まで押し込まれていた。
 
「ッ!! しまっ・・・」

「なかなか頑張るじゃん。ボクのパンチをここまで防ぐとは驚きだ。でもさ」

「もう逃げ場はないぞ、オメガセイレーン」

 〝無双〟の虎狼が、真っ直ぐに突っ込んでくる。
 危機が迫るのを、当然セイレーンは察知している。しかし、どうすることもできない。背後は強化された壁。正面左側から攻め込んでくるのは、圧倒的な攻撃力を誇る〝覇王〟絶斗。筋骨隆々の武人が向かってきているとわかっていても、右方向へ動くしかなかった。
 
「はッ、はあああッ!!」

 戟を突き出す、弁髪の巨漢に対して。
 青のコスチュームを纏ったスーパーヒロインは、渾身の力で右ストレートを放った。カウンターの一撃。スレンダーな肢体から撃ち込むその威力は、暴走する10tトラックをも止めることができる――。
 
 だが、スピードもパワーも超人的な一打を、虎狼は半身を捻って容易く避けた。
 
「フンッ! 腰の引けた・・・女の打撃よッ!」

 上半身を捻りつつ、右手の戟を〝無双〟が撃ち込む。右ストレートを放った姿勢の、オメガセイレーンの右胸へ。
 結果的に、カウンターを喰らわせたのは、修羅妖の武人となった。
 
 グボオオオォォッッ!!!
 
 緑色の十字状の穂先が、半ばまでCカップの乳房に埋まり込んだ。
 
「んぶう”ぅ”ッ――ッ!!! こふぅ”ッ・・・!! あがあ”ッ・・・あ”ッ!!」

 尖った凶器で陥没するまでバストを抉られ、無事でいられるわけがない。
 再び鮮血を吐いたセイレーンは、ビクリと痙攣する。右腕を突き出した態勢で、動きが止まる。
 絶斗からすれば、どこにトドメを刺せばいいのか、場所を迷うだけであった。
 
「あはは、これくらいの形と大きさのオッパイ、けっこういいよね」

 反対側。左の乳房に狙いを定めて、少年妖化屍がアッパーを飛ばす。
 斜め下から突き上げる拳。〝オーヴ〟の戟と同じくらいの深さまで、絶斗のブローが突き刺さった。
 ドボンッ!! と重い鉛が埋まるような音色が、セイレーンの左胸で響く。
 
「うぐぅ”ッ――ッ!!! ・・・ッあ”・・・!! うああ”ッ・・・あ”・・・ッ!!」

「お姉さんのキレイなオッパイが、ふたつとも潰れちゃったねえ? あははは! まるで杭でも打たれたみたいに凹んでるぜ?」

「オレたちふたりを相手にした時点で、貴様の運も命も尽きていたのだ。オメガセイレーン」

 熔けたマグマを流し込まれたような激痛が、左右の乳房に宿っていた。
 大きすぎる苦痛に、セイレーンの意識は遠のきかかる。脳も全身も、痛みに支配され他の感覚を失った。
 気付いた時には、虎狼と絶斗、それぞれにセイレーンの腕は捕獲されていた。右側に〝無双〟、左側に〝覇王〟、挟まれた態勢。
 
 武術を極めた弁髪の巨漢は、細腕の手首と肘を捻じって回す。関節を極める。
 一方で、おかっぱの少年は、ただ力任せにセイレーンの左腕を逆方向に折ろうとした。技量は未熟であっても、美乙女の骨はミシミシと悲鳴を上げる。
 
「きゃあッ!? きゃああああッ~~~ッ!!! う、腕があぁッ・・・!!」

 2種類の、異なる腕殺しにたまらずセイレーンは絶叫した。
 脳天まで貫く激痛に、ピンと背筋を張って仰け反る。左右の腕を掴まれているため、くしくも十字架に磔にされているような姿勢となった。
 棒立ち状態の水天使は、ひとつずつ腕が空いている妖化屍たちにとって、格好のサンドバッグであった。
 
「フンッ!!」

 虎狼がフルスイングした〝オーヴ〟の戟が、セイレーンの右脇腹をまともに叩く。
 
「ぎゃははは! こいつはいいや!」

 左拳が使える絶斗は、青いスーツに包まれた肢体を、思うがままに殴りつける。胸と腹部を中心に、ドボドボとブローを埋めていく。
 
「あ”ッ!! あぐぅ”ッ――ッ!! くああ”ッ・・・!! んぶぅ”ッ――ッ!! ふぐぅ”ッ・・・!!」

 バキィッ!! ドゴオッ!! ズボッ!! グシャッ!! ドオゥンッ!! ・・・・・・
 
 最強の妖化屍2体に捕獲され、抵抗不能となったセイレーンにリンチは続いた。
 エロスを醸すオトナの肢体に、飽きることなく撃ち込まれる暴虐の嵐。戟の穂先と小さな拳が、ふっくらと盛り上がったバストを潰し、細腰の胴回りを砕き、腹部を執拗に撃ち抜く。
 繰り返される殴打に、スレンダーな美女の肉は幾度も陥没し、ボコボコと無惨に歪んでいった。
 
(・・・壊れ・・・るッ・・・!! 壊され・・・る・・・ッ!! わ、私・・・カラダをグチャグチャに・・・されて・・・しまう・・・ッ・・・!!)

「おぶう”ッ――ッ!! ・・・んぐぅ”ッ・・・!! かはぁッ・・・ア”・・・ッ!!」

 吐血の飛沫がブシュブシュと飛び散り、セイレーンの足元の水を赤く色づけた。
 このままでは成す術なく殺される・・・この状態から蒼碧の水天使が脱出することは不可能だと、この場の誰もが悟ったに違いなかった。
 
「ねえ、どうする?」

 絶斗の声を合図にして、殴打の嵐がやみ、水天使の両腕が解放された。
 糸の切れた操り人形のように、バシャリと水飛沫をあげて座り込む、オメガセイレーン。
 
「はあッ! はあッ! はあッ! ・・・うああ”・・・ああぁ・・・ッ・・・!!」

「逃げることも勝つこともできない、ってよくわかったでしょ? お前のお願いなんて聞かない。この店も従業員も、ボクが好きなようにする。その条件で負けを認めなよ。これ以上苦しまずに、ラクになれるぜ?」

 勝負はあったはずなのに、敢えて絶斗は攻撃を中断した。セイレーンの、心底からの敗北宣言が聞きたいがために。
 
「・・・わ・・・私・・・は・・・・・・」

 灼熱の痛みに覆われた我が身を、震える両腕で水天使は抱き締める。ガクガクと膝を揺らしながら、必死に立ち上がる。
 元々勝ち目がゼロに近いことなど、セイレーンにはわかっていた。深いダメージを負った今、戦況はさらに絶望的になったといっていいだろう。
 
「・・・私は・・・・・・まだ・・・諦めて、いないわ!!」

 しかしセイレーンには、守るものがあった。
 死ぬのは構わなかった。多感な青春時代、藤村絵里奈という少女が自殺を考えたのは、一度や二度ではない。オメガセイレーンとなる時も、死と隣り合わせの職務であることに恐れを抱くことはなかった。
 だが、ようやく見つけた居場所を、愛する者たちを、踏みにじらせるわけにはいかない。
 
「・・・〝水砕龍(みさいりゅう)〟ッ!!」

 全身全霊を傾けた、最大の必殺技。
 床に溜まった水が、渦を巻いてセイレーンの回りに集まっていく。とぐろを巻く、大蛇のように。
水流によるハリケーンが、キャバクラの店内に発生する。

 もはやこれしか、なかった。
 強引なことはわかっていても、オメガセイレーンの希望はこの技しかない。〝五月雨撃ち〟も〝雨の橋立〟も平然と受け流した妖化屍どもも、膨大な水量を竜巻のドリルと化して発射するこの技を、受け切れるはずがない。
 
 終始余裕の漂っていた少年妖化屍の顔に、緊張が走った。
 純粋な戦闘力でセイレーンを圧倒していただけに、侮り切っていたに違いなかった。その気になれば始末できるチャンスはいくらでもあったのに、ついつい遊んだ。
 だが、もう遅い。
 
 ドオオンンッ!! ドリュリュリュリュウウウウッッ!!!
 
 螺旋を描いた巨大な水流のドリルが、〝覇王〟絶斗に一直線に殺到する――。
 
「ウオオオオォォッ!!」

 咆哮が轟いた。
 店全体を揺るがす気合は、少年妖魔の口から放たれたものではない。素早く駆け寄った、弁髪の武人のもの。
 
 大上段に構えた〝オーヴ〟の戟を、虎狼は真っ直ぐ振り下ろした。唸り来る、水流のドリルに向かって。
 斬撃の音色が鮮やかに響き、先端の尖った竜巻は、真っ二つに分断された。
 
「なッ!!?」

 膨大な水の塊を、それも高速旋回する渦を、斬って捨てるか〝無双〟の虎狼。
 
 驚愕の光景と底知れぬ修羅妖の武芸に、セイレーンの全身を衝撃が襲った。
 『叩きのめされる実感』を、これほどまで物理的に覚えることは、初めての経験だった。
 
「褒めてやろう。今のは見事だった。だがッ!! それでも貴様はオレには勝てんッ!!」

 ふたつに割れた水流が、妖化屍どもの後方の壁に激突する。その轟音のなかで、虎狼の雄叫びがハッキリとセイレーンの耳に届き、心を抉った。
 
 水天使の、唯一の望みは断たれた。
 最大最強の必殺技である〝水砕龍〟は、いともたやすく敗れ去った。
 殴打によって刻まれた痛みが、思い出したかのように一斉に疼いた。身体が重い。片膝が突きそうになるのを、懸命にセイレーンは支えた。
 
「ぎゃははは! 隙アリぃッ~~ッ!!」

 棒立ちになった蒼碧の水天使に、〝覇王〟絶斗が両手を真っ直ぐ突き出す。狙いを定める。
 ふたつの掌から漆黒の奔流が発射され、セイレーンの胸の紋章に直撃した。
 
「はぁう”ッ!? きゃあ”あ”ッ!! ああ”ッ・・・ふあああ”あ”あ”ぁ”ッ~~~ッ!!!」

 黄金の『Ω』マークから、凄まじい勢いで黒煙が昇る。
 『気をつけ』の姿勢のまま、長い茶髪を振り乱し、オメガセイレーンは悶絶した。
 
「はははッ!! ボクはねぇ、お前が『水』を操るみたいに『闇』を使えるんだよ! 簡単にいえば『モノを殺すチカラ』かな。お前たちの原動力といえるオメガ粒子を殺されれば、苦しいよね?」

 ゲラゲラと笑いながら、絶斗は放射を続けた。
 『闇』の光線を浴びるセイレーンは、ただ悲鳴をあげ、ビクビクと痙攣することしかできなかった。
 
 ようやく照射が終わる。叫びが途絶える。
 オメガセイレーンの青いスーツは、胸部分が溶けて形のいい美乳が露わになっていた。黒い焦げ跡のような『Ω』の印が谷間に浮かんでいる。
 
 地肌に直接描かれた、『Ω』の文字。これこそが、オメガ粒子が凝縮している証であった。
 オメガスレイヤーを超人たらしめるオメガ粒子、その集積地である『Ω』の刻印が、シュウシュウと煙をあげながら薄れていく・・・
 即ちそれは、セイレーンの命が消耗していることを意味していた。
 
 どしゃあああッ・・・
 
 壁に背を預ける形で、再び水天使は崩れ落ちていた。
 四肢を投げ出し、ぐったりと座り込む。やや垂れ気味の大きな瞳は、見開いたまま虚空を彷徨っていた。
 
「・・・ぅあ”・・・ぁ”ッ・・・!! ・・・ぁぁ”・・・ッ・・・」

 力を入れたくても、もう入らなかった。
 六道妖のふたりが悠然と近づいてくるのを、霞む視界のなかでセイレーンは見た。
 
「勝負アリ、のようだな」

 右手に握った長大な戟を、表情ひとつ変えずに虎狼が突き出す。四連突き。ビュゴオオッ、と風が唸って、一瞬のうちに4度の攻撃。
 
 座り込んだセイレーンの右胸を、左胸を、そして臍をと、ドボドボと抉った。無抵抗のまま、蒼碧の水天使は、トドメを喰らうしかなかった。
 ラスト4発目の突きは、露わになった胸中央、黒焦げの『Ω』の刻印に、緑の穂先は深々と埋まった。
 
「ふぐぅ”ッ!! ・・・・・・ごぼぉ”ッ・・・!!」

 瞳を見開いたままのセイレーンが、吐血の塊を噴き出す。
 ストレートの長い髪と、色香漂う端正な美貌を、青のオメガスレイヤーはカクンと傾けた。
 半開きの唇からスーっと血の糸を垂らし、蒼碧の水天使は動かなくなった。
 
「あははは! もう終わりか。相手にならなかったね、キレイなお姉さん」

 半ズボンのチャックを降ろし、絶斗は己のイチモツを引き出した。
 外見同様、まだ少年の局部であった。ただ、剥き出しになったセイレーンの乳房を見ているためか、すでにビンビンに屹立している。
 セイレーンの正面に立った最強の妖化屍は、虚ろな美貌に向けて、黄金色の尿を放水した。
 
 ジョボボボ・・・ビチャ・・・バチャチャッ・・・
 
 絶斗の小便が、水天使の髪を、顔を、肩口を、胸を・・・余すところなく濡らしていく。
 ほのかな湯気を昇らせる青色のスーパーヒロインは、屈辱の仕打ちを受けてなお、遥か彼方に視線を向けたままだった。
 
「貴様はここまでだ、オメガセイレーン」

「お姉さん以外で残ってるのは、風と空だっけ? 今ごろそいつらも、縛姫のオバサンにやられてると思うよ。もうひとり、地のヤツは遠くにいるんでしょ? だったらさー、事実上もう決まったね。お前たちオメガスレイヤーは全滅したようなものだよ」

 光属性のオメガ粒子を受け継ぐ新たな戦士、オメガエンジェルが誕生したことを絶斗も虎狼も知る由がない。むろん、セイレーンも。
 完敗を喫した蒼碧の水天使が、絶望に囚われたとしてもおかしくはなかった。
 
「オイ。ボクのチンチン、舐めてみろよ」

 ピンと直立した肉棒を、絶斗はナンバーワンキャバ嬢の顔に突き付けた。
 
「早くしろよ、負け犬。ボクを不機嫌にさせるとさ、大切なこの店やスタッフたちがどうなるのか、わかるよね?」

 言うなり少年妖魔は、右の貫き手をセイレーンの左乳房へ突き刺す。
 グサリと埋まった掌は、胸の肉と皮膚越しに、水天使の心臓を鷲掴みにした。止まってしまわぬ絶妙の力加減で、ギリギリと握り潰す。
 
「あはぁ”ッ!! ・・・あああ”ッ!! ・・・あああ”あ”ぁ”ッ~~~ッ!!!」

「・・・フン」

 一瞬眉をひそめた虎狼だが、宿敵であるオメガスレイヤーを嬲るのは、武人にとっても本望に近い。
 反オメガ粒子の塊である〝オーヴ〟の戟を、胸の焦げ跡に押し付ける。
 セイレーンの命の源が、再び黒煙をあげて消滅していく。瀕死の水天使にとっては、焼きゴテを当てられているようなものだ。
 
「きゃああッ、あああ”あ”ッ―――ッ!!! うぅ”あ”ッ・・・!! あがあああ”あ”ッ~~~ッ!!!」

 もはや動かぬはずのセイレーンの肉体が、壮絶な苦痛に激しく痙攣した。
 右手を心臓から引き抜いた絶斗は、ストレートの髪を掴んで喘ぐ美貌を己のイチモツに引き寄せる。
 
「ほら、舐めろってば。お前は負けたんだよ。ボクにお願いしたいことがあるならさー、一生懸命詫びをいれないとね」

 ヒクヒクと震えるセイレーンの顔から、桃色の舌がゆっくり伸びる。
 絶斗の肉棒に到達したベロの先端が、ピチャピチャと音をたてて、その裏筋を舐め始めた。
 
「あははは! いいねー、そそるよねー! その上目遣い、たまらないよ。おっと、勝手にやめていいって誰が言った? 一瞬でも手を抜いたら許さないからね?」

 長い茶髪をむんずと鷲掴み、絶斗はセイレーンの顔をさらに引きつけた。
 全身青のコスチュームに包まれた肢体が、四つん這いの格好となる。少年妖魔が言う『負け犬』のような姿勢となった水天使は、包茎の陰部をすっぽりと口腔いっぱいに飲み込んだ。
 
 涙が浮かびそうになるのを懸命にこらえ、セイレーンは口での奉仕を開始する。
 絶斗の肉棒に唾液をからめ、舌で丹念に摩擦する。厚めの唇をすぼめてしごくと、少年のペニスがかすかに震えて悦んでいるのが伝わった。
 
「んッ・・・! んぅッ・・・ふふ、さすがに上手いね! ボクの目の前で跪いて、チンチンを舐めるオメガスレイヤー・・・あはは、もうお前らは完全に終わってるよね!」

 フェラチオを続けながら、たまらずセイレーンは視線を落とした。
 長い髪が、さらさらと力なく垂れ流れる。ポトリと一滴の雫が、水が引いてなくなった床に落ちる。
 どんなに悔しくても、絶斗の台詞を否定したくても、今の自分にそんな資格がないことをセイレーンは悟っていた。
 
「くだらんッ! なんとも見下げ果てたクズめッ!」

 破妖師を始末することに目的を置きながら、一方で闘志なき者を憎むのが、虎狼という妖化屍の不思議さだった。
 〝オーヴ〟の戟を大きく振るい、四つん這いのセイレーンへ。フェラチオに集中し、無防備となっている腹部を渾身の力で打ち上げる。
 
 ドブゥオオオオッッ!!! メチメチメチィッ!!
 
「ブジュウウ”ウ”ゥ”ッ!! ゥアアアア”ア”ッ―――ッ!!!」

 1リットルはあろうか、と思われるほどの大量の血飛沫を吐いて、蒼碧の水天使が真上に吹っ飛ぶ。戟で腹部を凹まされ、跳ね上がる。
 水の力で強化された天井に、スレンダーなモデル体型が全身叩きつけられた。再び撒き散らす、大量の吐血。
 白目を剥いたセイレーンは、受け身をとることもなく、大の字になったそのままの姿勢で床に落下した。身体の前面を、まともに打ち付ける。
 
 うつ伏せで横たわった青のスーパーヒロインは、ビクビクと激しく痙攣を繰り返した。
 全身を襲う激痛と、完敗による精神的なショックで、オメガセイレーンは二度と立ち上がってこれそうになかった。
 
「よーし! こいつ息絶えるまで、ふたりで遊ぼうよ! アンタもこのボクと獲物を山分けするんだから我慢しろよな!」

 黒い蒸気のようなモヤに包まれた両手で、絶斗が横臥するセイレーンの双房を鷲掴む。脱力した肢体を、強引に引きずり起こす。
 背後から胸を抱かれる格好となった蒼碧の水天使。そのCカップの美乳に灼熱が注がれる。
 
「ぁ”ッ・・・!! ッふぅ”・・・!! んぁ”ぁ”ッ・・・アアア”ア”ッ~~~ッ!!!」

「痛い? オメガ粒子がかなり消滅してるから、当然だよね? でもさ、このコチコチのお豆に『闇』を集中したら・・・」

 スーツを破られ、露出しているセイレーンの乳首を、絶斗の小さな指が摘まんだ。
 熱した針を埋められるような激痛が、26歳の乙女の胸の先端に奔った。
 
「あぎゅウ”ッ!!? ぇはああ”あ”ア”ア”ッ~~~ッ!!! アアア”ア”ッ――ンン”ッ!!!」

「フンッ! ブザマな女だ、セイレーンッ!!」

 だらしなく、小学生くらいと見える少年に抱えられ、弛緩して喘ぎ喚く青のヒロインに、虎狼が戟を突き出す。
 十字状に尖った緑色の穂先は、セイレーンの股間を的確に突いた。正確には、クレヴァスのやや上。過敏な肉豆を、先端が突く。
 
 青のフレアミニ越しに、ナンバーワンキャバ嬢のクリトリスを、〝オーヴ〟の戟が刺していた。
 反オメガ粒子の塊といえど、容易にオメガスレイヤーの肉体を傷つけるまでにはいかない。クリトリスを、刃物のように貫くことはできない。
 だが、敏感な萌芽は神経をヤスリで砥がれるような激痛に苛まれ・・・そして。
 虎狼が戟を小刻みに揺り動かすや、怒涛のようなバイブレーションが下腹部に送り込まれた。
 
「んっはあああ”あ”ッ―――ッ!!? ふぇああ”あ”ぁ”ッ~~~ッ!!! ふぅぎいい”い”ィ”ッ―――ッ!!! や、やめへえぇ”ッ!! ・・・ひゃめぇ”ッ――ッ!!!」

 乳首を『闇』で焼かれ、クリトリスを〝オーヴ〟で突かれて悶絶しているというのに・・・絶斗に揉まれる乳房と虎狼の震動を浴びる股間からは、鋭い快感が沸いている。
 指一本、まともに動かせないボロボロのセイレーンは、この責め苦と愛撫を浴び続けるしかなかった。青のコスチュームに包まれた美しき肢体は、いいように嬲られるだけのオモチャだった。
 
「あふぁ”ッ、あああ”ッ~~~ッ!! ・・・もッ・・・もう・・・ダ、メェ”ッ・・・!! ひぃあああ”あ”ア”ッ~~~んん”ッ!!! ふぇ”ッ、ぇ”ああ”ッ・・・!! ・・・ま、負けぇ”・・・負けをッ・・・!! み、認める・・・わッ・・・!! わ、私のッ・・・負け・・・・・・ッ!!」

 ぐったりと背後の絶斗に身体を預けたセイレーンが、唇を震わせる。
 その股間からは、トロトロと、半透明の蜜が溢れ、フレアミニから覗く内股を伝い流れている。愛液が抑えられなくなっていた。苦痛と快楽の両方で責められながら、乙女の牝肉はしっかりと愛撫に反応してしまっている。
 
「ねえ、オメガセイレーン。お前が負けを認めたら、ここの店も人もボクが好きなようにするけど・・・それでもいいのかい?」

 虚空を彷徨っていたセイレーンの瞳が、一瞬鋭くなる。
 もはや勝負はあった。蒼碧の水天使は、もはや六道妖に嬲られるだけの惨めな敗者だ。絶斗がその気になれば、セイレーンの許可などなくてもキャバクラ『シーサイド』を好きなように壊せる。
 それでも、ただセイレーンの心を完膚なきまでに踏み潰したくて、〝覇王〟は辛辣な質問を投げかけているのだ。
 
「ッ・・・ぁ”・・・わ、私・・・は・・・ッ・・・!!」

「ふーん。答えられないんだ。だったらこうだ!」

 セイレーンの胸を背後から揉み潰したまま、絶斗が真上に跳躍した。
 大砲が発射されるかの勢いで、スレンダーな美乙女もまた、垂直に飛び上がる。
 
 グシャアアアアッ!!!
 
 強化された天井に、セイレーンの頭部が首まで埋まっていた。
 ガクンと、四肢が垂れさがる。
 絶斗が胸から手を放し、支えるものがなくなっても、天井に頭から突っ込んだ水天使は、ぶらぶらと首吊り死体のように宙に浮いた。
 
「フンッ!!」

 しなやかな両脚の間を縫って、〝無双〟の虎狼が戟を突き上げる。
 ジュボオオッ、とぬかるんだ泥地に杭を埋め込む音がして、緑色の穂先が膣穴に埋まった。
 そのまま真下から、〝オーヴ〟の戟はセイレーンの陰部を串刺しにしていく。グボグボと、淫靡な音色が股間の奥で響く。
 首から下だけが見える青いスーパーヒロインの肉体は、戟が深く食い込むたびに、ビクンビクンと痙攣した。
 
「全てを諦めて、ボクらに完全服従しなよ、オメガセイレーン。それが嫌なら・・・真っ二つに裂けて死ぬんだねッ!!」

 セイレーンの左右の足首を、絶斗の両手がそれぞれ掴んだ。
 天妖の座にある最強妖化屍が、怪力で引き下げる。
 両脚の付け根、戟を飲み込んだ陰唇の内部で、メリメリと不気味な音が鳴った。さらに深く、串刺しにされていくオメガセイレーン。
 
 ビクウッ!! ビクビクビクッ!! ヒクンッ、ビクビクッ!!
 
 顔の見えない水天使の肢体が、激しく引き攣る。
 〝覇王〟と〝無双〟、最強の二体による串刺し刑。対するセイレーンは一方的にリンチを受け続け、オメガ粒子を大幅に消耗している・・・
 セイレーンこと藤村絵里奈の脳裏に、六道妖に処刑され、胴体だけとなったオメガヴィーナスの遺体が浮かび上がった。
 
 自分も、〝オーヴ〟の戟に貫かれ、縦に両断されて殺されるのだ。
 
 壮絶な最期を、セイレーンは覚悟した。
 
「ゥアア”ッ・・・!! ぅあああ”あ”ア”ア”ッ~~~ッ!!! キャアアア”ア”ア”ッ―――ッ!!!」

 ぶしゅッ・・・ぶしゅしゅッ!! ジョバアアアッ・・・!!
 
 失禁とも潮とも判別できぬ大量の飛沫が、セイレーンの股間から噴き出した。
 ビシャビシャと降り注ぐ半濁液を浴びながら、虎狼も絶斗も手を緩めない。さらに力をこめ、魔石の穂先でセイレーンの中心を抉っていく。
 
「ッ・・・み・・・みと・・・・・・めぇ”ッ・・・・・・!!」

 救いを求めるかのように、青のグローブを嵌めた指先が宙空を掻き毟った。
 
「・・・ィ”ッ・・・!! ・・・認・・・めぇ”・・・・・・ッ!! ・・・わ、私ぃ”・・・・・・も、もう・・・・・・死・・・・・・ッ!! ・・・ゆ、許し・・・てぇ”・・・!! ・・・ま・・・負けぇ”・・・を・・・・・・み、認め・・・・・・」

「はぁ~? なんだって。よく聞こえないな。ハッキリ言ってよ」

 天井に埋まった頭部から、絶え絶えの喘ぎが絶斗の耳に届いた。
 ゲームは終わった。オメガセイレーンは、六道妖の圧倒的な暴力の前に屈しようとしている。
 
 勝利の確信を得た天妖の〝覇王〟は、セイレーンの敗北宣言を確実に聞きたくて、耳をそばだてた。
 
「させない、ヨ」

 新たな声が背後から聞こえた。と思った瞬間には、絶斗も虎狼も振り返っていた。
 
 妖化屍たちの視界を埋め尽くしたのは、一面の炎。
 
「炎舞・大壊っ!!!」

 ボオオオゥゥンンッ!!!
 
 炎の渦と熱風が、少年妖魔と巨漢の武人を叩く。
 不意の襲撃にも、咄嗟に防御を固める辺りはさすがの天妖と修羅妖か。
 
「バッ・・・バカなッ!? なんでお前が・・・ッ!?」

 絶斗の糸のような両目が、限界まで見開かれていた。
 まさかこの場所に、救援の者が現れるなんて――。いや、そんなことに驚いているのではない。なぜ、コイツが。この場に来るはずのないコイツが、目の前に立っているのか。
 
「シャキーンっと!!」

 ショートヘアに赤いヘアバンド。
 いかにも活発そうな少女は、ハッキリと武道をたしなんでいるとわかる姿で構えをとっている。全身深紅のコスチュームを纏っていた。ノースリーブのスーツも、ショートパンツも、ブーツもグローブも全て赤。背中でなびく、短めのケープも。
 
 間違いなく、オメガスレイヤー。それも炎属性の。
 
 だがしかし、炎の究極破妖師は六道妖に殺されたはずではなかった。それも、今、隣に立つ〝無双〟の虎狼の手によって。
 
「紅蓮の炎天使オメガフェニックスっ、推参っと!!」

 猫を思わせる顔立ちの美少女は、ニヤリと悪戯っぽく笑ってみせた。
 
「あたしは不死鳥。地獄から舞い戻ってきたヨ! 〝無双〟の虎狼っ!! あなたに借りを返すためにネ!」



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| オメガスレイヤーズ | 00:27 | トラックバック:0コメント:7
コメント
いろいろなイベントが公私ともに舞い込んでいたために、今回ちょっと遅くなってしまいましたが…オメガスレイヤーズの最新分、更新しました。
予定では次回で0話は終了し、その後はDL販売用に変わっていきます。
表紙に使っているのは炙りサーモンさまに描いていただいたオメガセイレーンです。今回はセイレーンさんが主役ですので…
堪能いただければ幸いですw
2017.04.28 Fri 00:28 | URL | 草宗
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017.04.28 Fri 23:48 | |
>コメントくださった方
ありがとうございますw 楽しんでいただけたようでなによりでした(*´▽`*)

オーヴがない状態なら、セイレーンは虎狼に勝つつもりだったでしょうね。実際、優勢だったと思います。
そんな究極戦士が敗れていくのが、オメガスレイヤーズの見どころのひとつですのでw、今回ギャップを感じてもらえたならなによりです。
お小水wのシーンはボク自身すごく気に入っているんで、喜んでもらえてよかったですw 絶斗にはああいう行為が似合いますよね。

セイレーンさんはどことなく脆い部分があるので、屈服寸前まで追い込むのはとても楽しかったですね(*´▽`*)
0話はあくまで本編へのつなぎなので(^^ゞ、そうした視線であと1回、楽しんでいただければ・・・
少しでも期待に応えられるよう、頑張ります。
2017.04.29 Sat 00:28 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
いろいろとイベントがあって時間がとれなかったんですが、時間を少しずつ見つけてなんとか完成にこぎつけました^_^;
おそらく敵側の役者の違いが原因だと思いますがw、やはり絶斗や虎狼がでてくると、敗色濃厚の雰囲気が漂うな、と自分では思っています(^^ゞ 本当は他のキャラでもそうしなくちゃいけないんですけどねw

絶斗はキャラが自分で動いてくれるので、酷いことをどんどんやってくれて、作者としては助かっています(^O^)
凛香はボクも好きなキャラですので、あそこで終わらせるには勿体ないですからねw 今後もいろいろな意味で活躍wしてもらおうと思っています。

DL作品を月に1回はつくる、というのは究極の目標なんですが、今の状況だと購入いただく皆様に負担がかかるので・・・もちろん生活できるかどうかも大きな問題なので、簡単にいくことではありませんが、あくまで目標としてしっかり認識していきたいと思っています。
2017.04.30 Sun 00:02 | URL | 草宗
GWでやっとまとめて読むことができました。今回のセイレーン、堪能いたしました。わたしにとってエロとはヒロインの苦悶そのものです。心を折られて屈服させられるというのもツボでした。こういう嗜好は少数派なのかもしれませんが、草宗さまの作品の最大の魅力だと思っています。今後どういう形であれ、オメガの続きが読めるのを楽しみにしております。
2017.05.09 Tue 03:06 | URL | オメガ好き
>オメガ好きさま
貴重なGWの休みに拙作に時間を使っていただきありがとうございますw
ボクにとっても、まさにヒロインの苦闘こそがエロでして・・・仰る通り、全体からみれば少数派でしょうけど、今後もその嗜好だけは外さない作品を作り続けていくと思います(^^ゞ

今後は、オメガの連載はちょっと新しい方法を考えておりまして、今月中には発表できればと思っています。
新しい方法だけに戸惑わせてしまうかもしれませんが、応援いただければ有り難いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
2017.05.09 Tue 08:56 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
いえいえ、「こんな感想」大歓迎です(*´▽`*) すごく励みになりますし、嬉しいですし、参考になりますし、かといって今後の展開を縛る、までには左右されませんので遠慮なくお寄せいただければ小躍りして喜びますw

とりあえずフェニックスが嬲られるのは、どういう形であれ(いつかはともかく)確定していますのでw、ご期待いただければと思います。
そのために復活させたようなものですからね(*´▽`*)
2017.05.12 Fri 09:49 | URL | 草宗
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