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オメガスレイヤーズ 第0話「破妖の天使」⑦ | main | オメガスレイヤーズ 第0話「破妖の天使」⑥
「ウルトラ戦姫物語~七大将軍編~」サンプル②
次回DL作品の「ウルトラ戦姫物語 ~七大将軍編~」のサンプルをあげます。冬コミで頒布したものの、続きですね。
冬コミにて頒布した製本版をお持ちの方ならお気づきかもですが、今回はあれには載っていない、別の闘いを公開しました。
製本版とDL版では結末が変わっていますので、「あれ、全部決着がついたのでは?」と思われる方がおられるかもしれませんが、そういうことです(^^ゞ DL版では他の闘いもたっぷりお見せすることになりますね。

ということで、今回フィチャーしてるのは獅子座の戦姫レオナです。
冬コミで発表した作品の主役、シルフィー、シャインに続き、このレオナが次回DL版の活躍戦姫となりますね。あと人気投票の結果からティアナにも活躍してもらいます。この4人が「七大将軍編 vol.1」の主役ということで。

もちろん他の戦姫にはvol.2以降活躍してもらいますので、その点はご安心くださいねw

今回サンプルとしてあげたところは、ふつうのバトルシーン中心ですのでエロやリョナといった本来のサービスシーンはほとんどありません。そういう意味ではサンプルとして適当ではないのですが、こんな感じの闘いになるよー、という予告編に近いですね。

まだ完成まで時間かかりますので、いずれエロやリョナの、サーピスシーンも公開していきたいとは思っています。

いつも通り、以下のページにサンプルがありますので、ネタバレがあっても大丈夫という方のみお目通しいただければ幸いです。
続きは鋭意制作中ですので、しばらくお待ちくださいね。


 日本との時差、1時間。他の決戦の地がこれから正午を迎えるなかで、唯一この戦場だけがひとあし先に昼の12時を回っていた。高い位置にある太陽が、強い日差しを照りつけている。
 
 南半球、オーストラリア大陸の東海岸に降り立ったのは、長い金髪をツインテールにした戦姫であった。
 セパレートのビキニタイプが多いウルトラ戦姫にあって、ワンピース型のボディスーツを着ている。胴体部を覆うスーツの赤色が目立つが、対照的にほとんど素肌を晒した生脚が随分スラリと長く見えた。身長が特に高いわけでもないのに、モデルのようなスタイルに映るのはそのためだろう。
 
 頭部のヘッドギアには3本の角が備わり、ボリュームある金髪と合わせて見ると、たてがみを生やした獅子の姿をかたどっているのがわかる。
 この戦姫、ウルトラレディ・レオナが獅子座L77星の皇女であることは、こうしたコスチュームの仕様からでも窺い知れることができた。今は光の国で任務についている双子の妹・アスナには、ここまで立派な角の装備はない。王位継承者であるレオナには雄の獅子を、次位のアスナには雌の獅子を、モチーフとしてコスチュームに採用しているがためだ。
 
 もっともL77星が滅び、わずかな生き残りとなった今は、そんな王位などになんの意味もないとレオナは思っている。
 
「時間だ。約束通り、私たちウルトラシスターズは、貴様たちとの決戦を受けたぞ! さあ、出てこいッ、七大将軍とやらよ!」

 カラリと乾いた大気に、獅子の皇女の叫びが轟く。
 目にも鮮やかな青い海と、どこまでも続く白い砂浜。
 ゴールドコースト。世界的に有名なこのビーチが、メフィラス星人が指定した七大決戦場のひとつであった。普段はサーファーや観光客で賑わう浜辺も、戒厳令が敷かれているため人影ひとつ見当たらない。
 
 温暖な気候と燦々と降り注ぐ陽光は、ウルトラ戦姫にとっては間違いなく恵まれた環境と断定できる。
 生粋の格闘家として修行に明け暮れるレオナには、そんな場所を指定したメフィラスが迂闊にも思うし、心憎くも思う。まるで戦姫有利な状況であっても、問題なく倒してみせると宣言されているような気分だ。
 
 目の前の浜辺が、突如歪む。ブウウゥゥンと、空間の捻じ曲がる音がする。
 
 彼方より刺客が送り込まれたのだ、と悟った時には、レオナの対戦相手はその全貌をビーチの白浜に現わしていた。
 
「……カカカ! 久しぶりだな、ウルトラレディ・レオナッ!」

「貴様は……二面凶悪怪獣アシュランッ!」

 かつてかろうじて撃退した敵の名を、獅子の皇女は叫んでいた。
 前面が赤で、後面が青。鬼のような顔と筋肉質な肉体を持つ怪獣は、前後で二つの顔を持っていた。コインの表裏のように、2種類の色分けされた顔と身体が一体となってくっついているのだ。
 
「フン! 今のオレ様は〝羅将〟アシュラン! メフィラス様に認められた、七大将軍のひとりだ! 以前の借りを返すため、お前との闘いを申し出てやったわ!」

 否が応でも、レオナの脳裏には前回の闘いがフラッシュバックする。
 ウルトラ姉妹の四女であり、〝三女神〟のひとりであるウルトラレディ・ジェニスを、アシュランは真っ向勝負で圧倒してみせた。レオナ自身も1対1では、敗北寸前まで追い込まれている。
 2つの顔を持つアシュランには、こちらもふたりで対抗するしかない……結局はジェニスと手を組むことで勝利を収めることはできたが、レオナの心には自身のふがいなさと屈辱が強く残る結果となった。
 
「再戦は、むしろ私の願うところだ」

 借りを返す、というならば、その想いは自分の方にこそ強くある。
 対戦相手がアシュランに決まったのは、レオナにとっては幸運以外の何モノでもなかった。アシュラン相手にならば、以前よりもどれだけ自分が強くなったのか、確かめることができる。
 1年前にゴモラに敗れて以来、獅子座の戦姫は師匠であるウルトラレディ・セレスとの修行に明け暮れたのだ。自身の成長を知るのに、アシュランは格好の敵と言ってよかった。
 
「カカカ! 聞いているぞ。なにやら随分と、特訓に励んだらしいじゃないか。だがなッ、このオレ様もメフィラス様の力によりパワーアップを遂げているのだ!」

 真っ白な砂地を、〝羅将〟の前面……赤色の足が、ジリジリと踏みにじる。レオナとの距離を、詰めていく。
 
「ふたりがかりでしか勝てなかったお前がッ……! たったひとりで、このオレ様に敵うかあァッ――ッ!!」

 重い足音を響かせて、アシュランは一直線に金髪ツインテールの戦姫に襲い掛かった。
 鬼を思わせる分厚い肉体が示す通り、スピードは速くないがパワーとタフネスは脅威。それが二面凶悪怪獣の戦闘力。
 そんな〝羅将〟の突撃を、真っ向から獅子座の皇女は受け止める。
 
 ドガアッ!! ガガッ! バチイッ!!
 
 次々と繰り出される両腕のパンチを、レオナは全て手刀で弾き飛ばした。
 空手でいうところの、捌き(さばき)。
 猛然と迫る拳を、左右の手で打ち払う。軌道を変えてしまう。
 純粋なパワーではアシュランの方が上でも、キレとスピード、そして技術で、レオナは完全な防御に成功していた。何発打撃を放っても、アシュランの攻撃はレオナの胴体にヒットしない。
 
 レオナがウルトラ戦姫随一の武闘家と呼ばれているのは、この高い格闘能力を誇るが故であった。
 
「むッ! こいつッ!」「……くッ……!」

 以前闘った時よりも、ずっと強くなっている。
 拳を合わせたことで、両者はともに敵の成長を感じ取っていた。

「これがセレスとの修行の成果か、レオナッ!?」

「アシュランッ! 貴様、メフィラスになにをされたのだ!?」

 師匠との特訓の手応えを感じつつも、レオナの胸には警戒が高まる。
 努力の末に成長を遂げた自分とは異なり、アシュランはドーピングともいうべき手法で、メフィラス星人から新たな能力を得たのに違いないのだ。どんな改良を施されているのか、油断ができない。
 
「カカカ! よかろう、教えてやるッ! これでもまだ、オレ様の攻撃を防げるかなッ!?」

 アシュランの台詞が終わらぬうちに、その肉体に変化は起こっていた。
 両腕の肩回りが、異様に膨らんでいる。
 と見る間に、〝羅将〟の肩口から、新たに2本の腕が飛び出す。
 青い色の腕だった。つまりは左右の肩から、赤と青、2本ずつ。合計4本の腕が、アシュランから生えていることになる。
 
「うッ!? なんだと!」

「これがメフィラス様より授かった、進化した〝羅将〟の姿だッ! カカカ! 2本の腕で、どうやって4つの拳を防ぐつもりだッ!?」

 2倍になった猛打が、空手の構えを取るレオナに、一斉に殺到する。
 獅子の皇女の金色の瞳に、視界を埋め尽くすパンチの嵐が映り込んだ――。
 
 ドガガガガッ!! ガガガアアッ!!
 
「……これが貴様の切り札か、〝羅将〟アシュラン?」

 肉と肉とが激突する響きのなかに、レオナの声が涼やかに流れた。
 襲い掛かる拳は2倍に増えたというのに。
 依然変わらず、アシュランの打撃をレオナは全て、空手流の捌きで弾き返していた。
 
「バ……バカなッ!? てめえは一体ッ……!!」

「セレスさんの打撃と比べたら、貴様のパンチなどあくびがでるほど遅い。腕が何本あろうと、今の私には通用しないッ!」

 ドボオオンンッ!! という、重い一撃が深々と肉に埋まる音色が響く。
 だがそれは、アシュランの拳がようやくレオナに届いた報せではなかった。その逆。獅子戦姫の突き出した右膝が、〝羅将〟の鳩尾を抉った証明。
 
「グオオッ!? オオ”ッ……!!」

「パワーアップした貴様の力がその程度ならばッ……勝負はもらうぞ、アシュラン!! 私には、借りを返さねばならない敵がまだいるのだッ!!」

 ボディへの打撃を受け、呻きながら後退するアシュラン。確かな膝蹴りの感触に、チャンスと捉えたレオナは一気呵成に突撃した。
 今回の七大決戦では、早く勝利を収めれば、仲間の加勢に向かうことができる。早期決着を狙ったのは、先の展開が脳裏をかすめたからでもあった。
 
「ナッ……メるなよッ、獅子座出身の不完全な戦姫くずれがッ!!」

 ヨロめき下がったアシュランが、鬼そっくりの顔をあげる。怒りに燃える朱面のなかで、眼光が輝き、口が開く。
 真っ直ぐ突っ込むレオナに対し、両目からビーム、口から業火が、カウンターで浴びせられた。
 不意の反撃に、しかし身体能力の優れた獅子戦姫は咄嗟に反応する。迫る白い光線と炎を、直撃の寸前で跳躍してかわす。
 錐揉みしながら高々と宙を舞ったレオナは、アシュランの頭上を飛び越え、その背後へと着地した。
 
「カカカ! バカめがッ! オレ様には〝裏の顔〟があることを忘れたか!?」

 アシュランの背中には、同じ顔と身体をした青い裏面がくっついている。
 その青い顔が、すでに攻撃態勢を整えていた。表の赤い顔と同様、ビームと炎を発射する。
 
「しまッ……うわあああッ!!」

 眼からの怪光線を反射的に避けただけでも、レオナの身体能力がなければ到底できない神業だったであろう。
 しかしさすがに、噴きつける猛炎までは、かわすのは不可能だった。金髪のツインテールが、深紅のスーツに包まれたしなやかな肢体が、炎に包まれる。たまらず砂浜を転げ回ったレオナは、ゴールドコーストの青い海へと飛び込んだ。
 
 シュウウウ……と、凄まじい勢いで、黒煙が立ち昇る。
 強化スーツにも素肌にも、ところどころに焦げ跡を残したレオナは、素早く浅瀬で立ち上がった。両肩が上下しているのは、少なからぬダメージを受けた証拠だ。
 
「アシュラン、貴様ッ!! ……私が、不完全な戦姫くずれだと? 先程の台詞はどういう意味だッ!!」

「カカカカッ!! お前たち獅子座の出身者は、偽物だと言っているのだ! 光の国出身の、他のウルトラシスターズとは違うのだよッ!!」

「貴様ッ……!! この私を愚弄するつもりかッ!!」

「確かにお前の格闘能力は大したものだ。接近戦では実に危険な存在であることは認めてやるぜッ! だがな、お前たち獅子座の戦姫が、ろくに光線も使えないのはわかっているッ!! 肉弾戦に付き合わなけりゃあ、てめえを倒すのはワケもねえんだよッ!!」

 黄金の瞳を吊り上げたレオナは、無意識のうちに唇を強く噛んでいた。
 戦姫随一の武闘家……その冠の裏にある意味を、レオナ自身が知っている。光線技の苦手な戦姫。獅子座出身者の宿命を受け入れたレオナは、ウルトラシスターズの一員となるためには徹底的に格闘技の腕を磨くしかなかったのだ。
 
 光線技ができない代わりに、武術の腕を極限まで高めた。その事実はレオナにとって誇りであると同時に、心の深い部分に劣等感となって根差してもいた。
 不完全だと揶揄したアシュランの言葉は、誇り高き獅子の皇女から冷静さを奪うには十分であった。
 
「オレ様には特殊光線もあれば、灼熱の炎もあるッ! てめえと違って遠距離での闘いもできるんだぜッ!? 本気を出せばお前など敵じゃないのだッ!!」
 
「……そんな欠点があるとわかっていて……私が特訓で、克服しないと思ったのか?」

 本当なら切り札としてとっておくはずの新技を、惜しげなく使用するとレオナは決意していた。
 元々、倒せるならば可能な限り素早く勝利するのが、この七大決戦では重要なのだ。チャンスがあれば必殺技を躊躇しないと、心の準備は出来ていた。
 アシュランの挑発のせいで、そのタイミングが少し早くなった。それだけのことだと、レオナは自分に言い聞かせる。
 
「はァ? 克服だと? カカカ! できるわけがなかろうッ! お前たち獅子座出身者は、光線が苦手な体質ではないかッ!! たかが1年ほどの訓練で、なにができるものか」

「セレスさんとの地獄のような特訓で、私は2つの新たな技を手に入れた」

 鋭く言い放つレオナの声に、〝羅将〟の顔がこわばるのが距離を空けてもよく見えた。
 
「2つ、だ。離れて闘おうとする敵を、いかに攻略するか。それは私にとって、大きな課題のひとつだった。その課題を乗り越えるために、辿り着いたのが2つの新たな技だった」

「……カカカッ!! そう簡単に獅子座の戦姫が光線を撃てるものかッ! お前はここで丸焼けになって死ぬんだよッ、ウルトラレディ・レオナッ!!」

 今は正面になっているアシュランの青い顔が、再び大きく口を開けた。
 
「いいだろう。決着をつけよう、〝羅将〟アシュラン」

 浅瀬の飛沫を舞い上がらせ、長いレオナの脚が駆け出す。
 深紅のブーツを履いた左右の脚は、さらに赤い光を纏って煌々と輝いていた。そう、まるでレオナの必殺技である、レオナキックの態勢に入ったかのように。
 
 悪い予兆を感じたのか。
 ギョッとしたアシュランが、思わず口を閉じる。青い顔は、動揺した様子を強調するかのようだ。
 
「一気に決めさせてもらうぞッ!! くらえ、これが私の新たな必殺技ッ、名付けて――」

「おっと、ここで簡単に〝羅将〟に死なれては……困りますわね」

 突如、なにもない上空から降ってきたのは、低い女の声音であった。
 声がした、と思しき空間がぐにゃりと歪曲する。オーストラリアの青い空に、奇妙な捻じれが発生していた。コーヒーに入れたクリームのような、マーブル模様。空中に生まれたその歪みから、人間の形をした黒い影が飛び出す。
 
 レオナとアシュランの間に立ち塞がるように、影は砂浜に降り立った。
 その正体は、やはり女であった。女の異星人。修道服のような漆黒のコスチュームに身を包み、右手には十字架を模したらしき剣を握っている。
 初めて会ったはずなのに、初対面とは思えぬその女異星人が、新たに送り込まれた刺客であることを、レオナは瞬時に悟っていた。
 
「き、貴様はッ……レディ・マグマッ!! ……なのか!?」

「汚らしい口で、我が神の名を呼ぶのはおやめなさい……亡星の姫君、ウルトラレディ・レオナ」

 レオナの母星、獅子座L77星を滅亡させた張本人レディ・マグマと、瓜二つの容姿と雰囲気を漆黒の女異星人は持っていた。
 グツグツと心が沸き立つのを、レオナは抑えることができない。
 七大将軍との決戦のはずが、新たな敵が割って入ってくる。そんなことが、怒りの原因ではなかった。自称〝覇王〟のメフィラス星人が、その手の奸計を駆使することは予め想定している。
 
 生理的嫌悪、というのが近い。
 見ているだけで、細胞がフツフツとたぎってくる。そんな存在が、かつてレオナの胸には巣食っていた。宿敵レディ・マグマ。暗黒宇宙を支配するエンペラ星人の〝帝国〟において、四天王に選ばれていたひとり。メフィラス星人と同格であった女異星人は、レオナにとって家族を、そして故郷を滅ぼした仇であった。
 
 そのレディ・マグマと、修道女を真似たこの女異星人は、そっくり同じなのだ。
 外見だけの問題ではない。同じ種類の存在だと、肌感覚で察することができた。恐らくDNA鑑定をしても、両者は極めて似通っていることだろう。
 
「私の名前はシスター・マグマ……偉大なるレディ・マグマは我が姉であり……この宇宙で私が愛する、ただひとりの神ですわ」

「あの女の妹だからシスター……そしてシスターだからその修道服か。笑えないジョークだ」

「我が神と貴女がた獅子座の者との因縁は存じ上げております……私から伝えられる言葉はただひとつ」

 修道女姿の女異星人は、恭しく頭を深く下げた。
 
「あの御方の手にかかって殺されるなど……なんと光栄な者たちなのでしょう。心より祝福いたします。虫ケラのごとき分際で、よくぞ我が神に近づくことができたと……」

「貴様ッ!! ふざけるなァッ!!」

 心底から羨ましそうに話すシスター・マグマに、レオナの怒りは沸点に達した。
 
「おや、怒ったのですか? ……ですが同胞を失った嘆きと憎しみは、私とて同様ですわ……我が神レディ・マグマを葬った貴女たち、ウルトラ戦姫への憎悪は膨れ上がるばかりです」

 ブウウゥゥンと、また何かが転送されたことを報せる空間の歪曲音が、レオナの背後で響く。
 さらにまだ罠があるのか!? 新たな敵の気配を感じつつも、獅子戦姫の瞳はシスター・マグマに釘付けであった。憤怒が視線を逸らすことを許さない。さらにいえば、視線を外せばすぐにも襲ってきそうで気が抜けない。
 
「メフィラス軍、最高幹部のひとり……この四天王〝謀将〟シスター・マグマが、我が神の導きによって貴女を抹殺してさしあげますわ……」

「ちょ、ちょっと待てッ!! 約束が違うじゃねえか、救援に入るのはオレ様が窮地に陥った時、って話だったはずだぞッ!?」

 傍らまで来てがなり声をあげる〝羅将〟に、ニセの修道女は冷たい視線を送る。
 
「愚かですわね……貴方はとっくに窮地であったと、まだ気付いていないのですか? 〝羅将〟アシュラン」

「はァ? なんだと?」

「レオナが新たな必殺技とやらを放っていれば……貴方は恐らく死んでいましたわ。予定は変更です……準備した戦力の全てを傾け、ゴキブリのようにしぶとく生き残った獅子座の姫君を亡き者にいたしましょう……」

 レオナの背後で、雄々しい咆哮が轟いた。
 浜辺がビリビリと震え、海面が波立つ。雄叫びひとつで、周囲四方を震撼させる生命力。
 今更のように、背後に出現した3体目の刺客の脅威をレオナは悟った。もう、シスター・マグマだけに注意を払っている場合ではない。慌てて振り返る。この力強い咆哮の主を、レオナの細胞は覚えている。
 
 シスター・マグマに劣らぬ因縁の敵が、レオナの後方で仁王立ちしていた。
 
「……やはりッ……ゴモラッ!!」

「七大〝裏〟将軍のひとり、〝角将〟リターン・ゴモラ……略してリゴモラです……アシュランのような表の七大将軍と、怪獣墓場より蘇りし裏の七大将軍。そして四天王の私……貴女には、私たち3体の相手をしてもらいましょう」

 あまりに不条理なシスター・マグマの宣戦も、レオナにはほとんど聞こえていなかった。
 古代怪獣の二つ名に相応しい、大型の肉食恐竜を彷彿とさせる頑強なガタイと長い尻尾。そして三日月を乗せたような巨大な角。
 正統派のパワー怪獣の代表格ともいうべきこのゴモラ……いや、リゴモラに1年前敗れ、レオナは屈辱を味わったのだ。いわば今回の決戦の、火種となった闘いといっていい。
 
「フ……そうか。これはまた、随分と豪華な面々が私のために集まってくれたものだ」

 思わず浮かべたレオナの微笑みに、シスター・マグマは怪訝そうに表情を歪めた。
 圧倒的な戦力を揃え、〝謀将〟としては獅子戦姫の処刑を確実視していることだろう。だが、当のレオナ自身が抱いた感情は、絶望や恐怖などとはまるで異なるものだった。
 
「感謝するぞッ、シスター・マグマッ!! そしてメフィラス星人ッ!! アシュランにマグマ星人、そしてゴモラッ……借りを返したい相手をよくぞ一堂に会してくれたなッ! かつてこの身に受けた屈辱、このウルトラレディ・レオナはまとめて晴らしてみせるッ!!」

 獅子戦姫の裂帛の叫びが、ゴールドコーストの海岸に響き渡った。
 
 
 
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