巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

不本意ながらPCが生まれ変わりました・・・ | main | オメガスレイヤーズ 第0話「破妖の天使」①
オメガスレイヤーズ 第0話「破妖の天使」②

 3、満員電車
 
 
「あのさ、年下クン。なんでアリサのあと、ついてくるわけ!?」

 駅へと続く道の途中。ポニーテールの少女は、不意に背後を振り返った。
 少し吊り気味の瞳に真っ直ぐ射抜かれて、相沢健人はビクリと全身を強張らせた。相手が150cmそこそこの小柄な女子高生であることを思えばビビリすぎに見えるだろうが、健人の立場からするとあながちオーバーでもない。
 
 なにしろ、この少女は常人離れした異能力を持つ、スーパーヒロインなのだから。
 

 黄色のマントとコスチュームを纏っていた少女は、いまやどこかの高校の制服に身を包んでいた。いつの間に着替えたのか、わからないほど一瞬の出来事だった。健人が数秒視線を外している間に、普通の女子高生の姿になっていたのだ。
 パリッとした白の半袖ブラウスに、やけに短いグリーンの格子柄プリーツスカート。ファッションに疎い健人はよくわからないが、こういう大きめの格子柄はタータンチェックというのだろう。胸元は赤いリボンで飾られていて、可憐な少女によく似合った。
 
「な、なんでと言われましても・・・ボクも帰り道、こっちなので・・・」

「もう一回確認しておくけど、今日見たことは全部忘れるのよ! いいっ!? それがあんたのためなんだからねっ!」
 
 腰に両手を添えて仁王立ちした姿は、アイドル活動でもしてそうな美少女としか思えないが、実際にはわずか数分前、彼女は200体ものゾンビを殲滅したばかりだった。
 
 あまりにも信じられないことが、いくつも健人の目の前で起こっていた。蘇った死者に襲われる、というだけでも衝撃的すぎるのに、風を操るマントのヒロインまで出現したのだ。
 常識外のことが立て続けに起こると、信じる信じないの問題ではなく、どうも常識そのものがぶっ壊れるらしい。もはや『妖魔を退治する破妖師の少女』を前にしても、健人はすんなりと彼女の存在を受け入れつつあった。夢や幻などではなく、あれは現実だったと今ではハッキリ断言できる。
 
「わ、わかってます・・・アリサさんのことは絶対誰にも言いませんし、ネットにも書き込みしません」

「当たり前よ。ヘンなことネットに書いたりしたら・・・って、あんた、なんでアリサの名前知ってるのよ!?」

 自分が言っている台詞のおかしさが、どうやら少女にはわかっていないらしい。
 チャキチャキとした行動の素早さを見ても、基本的に頭の回転は悪くなさそうだが、抜けているところがあるタイプのようだ。しばらくしてから、少女=アリサはみるみるうちに頬を赤く染め始めた。
 
「・・・くっ。アリサとしたことがなんてミスを・・・。ちょっと、年下クン! あんたも名前、教えなさいよ。このままじゃ不公平じゃない」

「え、ええッ!? 不公平って・・・か、勝手に自爆したんじゃないですか・・・」

「え? あんた、ホントに殺されたいの?」

「うわあああッ、やめてくださいって! ・・・あ、相沢健人、です・・・」

「四方堂亜梨沙よ。もしアリサの本名、どこかにバラしたりしたら、『水辺の者』の情報網使ってあんたの家、捜し出すからね。繰り返し忠告するけど、アリサを正義のヒロインとか思わない方が身のためよ」

 凛とした鋭い視線を向けられると、とても冗談の類いとは思えない。
 健人が本気で怯えていることを察したのか、再びくるりと背を向けると、制服姿の女子高生は駅への道を歩み始めた。
 
「・・・あの、アリサさん・・・ひとつ、質問していいですか?」

「ったく、あんたも懲りないわね・・・なによ?」

 振り返ることなく、歩きながら四方堂亜梨沙は言葉だけを返してくる。
 
「ケガレ、でしたっけ? あのゾンビの群れ・・・あのまま放っておいてもいいんですか? 工事現場、すごいことになってましたけど・・・」

 〝軍神”の将威に勝利したオメガカルラこと亜梨沙は、指令系統を失った死者たちを風で斬り刻んだ。
 元々死んでいる身であり、葬らねばやがて人間を襲いだす亡者だ。カルラの施した処置を、残酷だなどとは健人は言わない。しかし、半ば腐乱した亡骸が、合計200体もバラバラで発見されれば、大きな騒動に発展せずにはいられまい。
 
「それは『水辺の者』がなんとかするから、心配しなくていいわ」

「なんとかする、ですか・・・」

「妖化屍やケガレを征伐した後、いろんな意味で掃除するのも破妖師の組織の仕事なのよ」

「じゃあ、もうひとつだけ、聞いてもいいですか?」

「あんた、さっき質問はひとつって言ってなかったっけ?」

「あの・・・アリサさんは、彼氏とかいないんですか?」

 顔を真っ赤にしたポニーテール少女が、凄い勢いで背後の健人を振り返る。
 半ば無意識のうちに口を衝いた己の発言に気付き、健人もまた顔を染めた。アワアワしている亜梨沙の顔を、まともに見られないほど恥ずかしい。
 
「バ、バカっ! バっカ! バ~~カっ! なに聞いてんのよ、まったく! そんなのいるわけないでしょっ! あんた、見かけによらず図々しいわね!」

「ご、ごめんなさいッ! いやその、そんなにカワイイなら、彼氏くらいいるのかな、って・・・」

「あんまりフザけてると、ホントに切っちゃうからねっ! っとに、もう・・・!」

 耳たぶまで真っ赤に火照らせた少女は、前を向いてズンズンと大股で歩いていく。
 消え入りそうにつぶやく声が、急いで後を追う健人の耳に、かすかに聞こえたような気がした。
 
「・・・いつ死ぬかわからないのに・・・彼氏なんか、作れるわけないでしょっ・・・!」

 そのまま無言で、ふたりは駅のプラットフォームにまで辿り着いた。
 夕方の駅構内は、帰宅時のラッシュアワーを迎えてひとでごった返している。ふたりのような制服姿だけでなく、サラリーマンや買い物帰りの主婦、さらには相撲取りらしき浴衣の巨漢まで、電車の到着を待っていた。
 
「珍しいな、お相撲さんなんて・・・ちょんまげを結ってないってことは、まだ新人の力士なのかな」

 これからあの巨体と満員電車に乗り込むことを思うと、健人の心はげんなりする。ただでさえこの時間帯、車内はギュウギュウに詰まり、呼吸するのも息苦しいほどなのだ。
 
「ねえ、あんた、まだついてくる気なの?」

 久しぶりに口を開いた美少女は、こちらもまた、げんなりした様子を隠しもせずに言ってきた。
 
「す、すいません・・・でも、本当に帰るにはこの電車乗らないと・・・」

「はぁ。仕方ないけどさ・・・これからは赤の他人のフリしてよね。妖化屍がどこに潜んでいるか、わかんないから。万一あんたが襲われても、もうアリサは助けないからね。長生きしたけりゃ、もうアリサには関わらないことよ」

 前方をじっと見据えたまま、二度と少女は健人の方を向くつもりはないようだった。
 少し寂しいが、しょうがない、と健人も思う。亜梨沙が言うことはもっともだ。思い返してもおぞましいゾンビどもを相手に、破妖師の少女は闘っているのだ。素人の健人は足手まといでしかなく、生命の危険を冒してまで、亜梨沙が助ける義務などない。
 黄色のマントヒロインとの出逢いは、ボクのなかで永遠の記憶として残そう・・・健人が決意するのとほぼ同時に、電車が駅に滑り込んできた。
 
 ポニーテールの制服少女に続き、健人も車内に乗り込んでいく。すでに座席はすべて埋まっているため、あとはどこに立つのかを選択するだけだ。続々と乗ってくる人の波に押され、自然ふたりは反対側の扉に押し込まれていく形となった。
 毎日のことながら、キツイ。
 薄い胸板を潰されて、健人は苦悶する。気を紛らわすためにも、二度と会えなくなるかもしれないヒロインの顔を焼きつけようと、亜梨沙に視線を向けた。
 
「え?」

 健人の心拍数が、一気にはねあがる。
 外見はそのあたりの女子高生と同じなのに、今の四方堂亜梨沙は黄色のマントヒロインと重なって見えた。雰囲気が、気迫が違うのだ。くっきりとした二重が印象的な切れ長の瞳は、鋭く一点を凝視して動かない。
 
 肉親の仇を見つけたならば、あるいはこんな視線になるのかもしれなかった。
 
「ちょっとゴメン」

 ボソリと亜梨沙が呟いたのは、健人に向けてではなく、周囲の乗客へ断りを入れたのだろう。人でいっぱいに詰まった車内を、ポニーテール少女はさらに奥へと進んでいく。電車はまだ動いていなかった。元々スリムな体型と、秘めた怪力のゆえだろう、反対側の扉にまであっさりと亜梨沙は辿り着いた。
 慌てて健人も、制服少女のあとを追っていた。ほとんど無意識の反応だった。亜梨沙が道をこじ開けているので、思ったよりスムーズに満員電車のなかを移動できる。
 
『扉、閉まります』

 車掌のアナウンスが聞こえたときには、健人もまた、入ってきたのとは逆の扉にまで進んでいた。
 外が見える。反対方向のプラットフォームと線路。夕陽のオレンジ色が挿し込む景色のなかを、傍らの少女は変わらず厳しい表情で睨み続けている。
 
 それは、線路の中央にポツンと置かれた、異物だった。
 少なくとも健人には、異物としか表現できないものだった。
 
 白くて長いその物体は、健人には、切り取られた女性の左腕のように見えた。
 
「・・・・・・天音・・・っ!!」

 むろん亜梨沙が小さく吐き捨てた『アマネ』という言葉の意味も、健人にわかるはずもない。
 
「六道妖っ・・・!! フザけた・・・マネをっ!!」

 急に亜梨沙が反転する。このギュウギュウの人波を押し分けて、今から電車を降りようというのか。だが、いくらなんでもそれはムリだ。
 プシュー、という空気の抜ける音がして、今まさに扉が閉まりかけていた。先程の闘いで見せた、オメガカルラのスピードならあるいは、とも思う。しかし普通の女子高生の姿に戻った亜梨沙に、そこまでの身体能力があるのかどうか?
 電車の扉が完全に閉まるまで、ほんの数秒。
 傍で見ている健人の心臓も、ドキドキと高鳴った。まして亜梨沙本人に焦りがあったとしても、なんら不思議ではないだろう。
 
 だからこそふたりは、自分たちのすぐ後ろに、あの相撲取りらしき巨漢が迫っていることに、気付くのが遅れた。
 
「なっ!?」

 グシャアアアア”ア”ッ!!!
 
 振り返ったポニーテール少女の肢体に、ふたまわり以上は大きな力士体型が押し寄せた。
 傍目からは、満員電車のなかでのよくある光景、と映るかもしれない。ひとで詰まっているため、ぶつかってしまったのだろうと。ただ150kgくらいはありそうな巨体が、なんとも迷惑と思うくらいで。
 
 しかし、亜梨沙の隣にいた健人には、ハッキリとわかった。これは、ただ混雑によって密着しているのではない。
 廃業したばかりの相撲取り、とでもいった風情の浴衣の大男は、わざと小柄な女子高生を圧迫していた。もっと的確にいえば、亜梨沙を攻撃していた。
 その証拠に、膨れ上がった肉体と背後の扉との間で挟まれた制服姿は、本来の半分ほどの厚みにまで潰されてしまっている。横にいる健人からは、その哀れな様子がよくわかる。
 
「んぐっ!! ん”っ・・・!! んん”っ――っ!!」

 浴衣がほとんどはだけているため、筋肉と脂肪でパンパンに張った巨漢の素肌が、直接亜梨沙の全身を押し潰していた。身体の前面、顔を含めたほぼすべてが、巨体のなかに埋まってしまっている。
 バタバタと、亜梨沙の手足が激しくもがく。
 だがいくら大男の顔や胸を殴っても、脚の脛を蹴っても、ビクともしない。効いていない、というだけでなく、痛みすら感じていないようだった。
 
「ひいぃ”ッ・・・!! ア、アリサッ・・・さんッ!!」

 メリッ、メリメリッ・・・
 
 肉の軋む音色がわずかに響き、暴れる亜梨沙の両足が、完全に宙に浮く。
 身体が持ち上げられるほどの強い力で、ポニーテールの少女は圧迫されている証明だった。巨体の胸に顔が埋まっているので、このままでは呼吸も満足にできない。
 
 ブオオオォォウウウッ!!!
 
 亜梨沙の両手が力士体型の胸に触れる。と、突然唸りが聞こえて、巨体の肉が掻き分けられた。
 健人にはすぐわかる。破妖師の少女が風の能力を駆使したのだと。
 風船のように膨らんだ肉のなかから、亜梨沙の顔が現れた。瞳の焦点があっておらず、半開きの口から少し涎が垂れている。
 
「はぁっ、はぁっ・・・!! こ、のっ・・・!!」

 動き出した電車のなかで、再びかすかな風の音を聞いたのは、隣の健人くらいだろう。
 バシイイィッッ!! となにかを叩きつける音が、大男の顔で起こる。ニヤけていた表情に、数本の黒い線が刻まれる。
 
 切った。健人は確信した。亜梨沙が風を使って、襲撃者の頭部を切り裂いた・・・
 その認識が誤りであったことは、次の瞬間、悟ることになる。
 
「うっ!?」

 驚愕の呻きは、亜梨沙と健人、ふたりから漏れていた。
 力士然とした巨漢は、ニヤついたままだった。切れていない。それどころか大男の代わりに、周囲に吊り下げてある車内広告が、見えない鎌で切られたようにズタズタに裂かれる。
 
「うおおっ!?」「きゃあっ!?」「なんだ、突然に?」

 ギュウギュウの車内で悲鳴がいくつか湧く。大半の者はキョトンとしている。
 扉周辺で、小さな女子高生が相撲取りのような巨漢に押し潰されていることなど、誰も気付いていなかった。縦にも横にもデカイ肉の壁が、完全に視線を遮断している。
 
 この風船のような大男は、亜梨沙の風を弾き飛ばした。
 
 信じ難いことだが、健人はそう判断するしかなかった。ただの巨漢ではない、異常な能力の持ち主・・・恐らくは、亜梨沙が言っていた『アヤカシ』の類いに間違いない。
 
「こんな狭いところで風を使えば、周りの乗客たちまで切っちまうかもね」

 健人の背後で、突如女の声がする。
 
「まあ、お前が本来の力を発揮できたとしても、そいつ・・・〝跳弾”の剛武(ごうむ)を切ることはできないけどねぇ・・・ムダな足掻きはやめとくんだね、オメガカルラ」

 亜梨沙の正体を、背後の女は知っている。
 カルラという名前を知る者など、健人が想像する限り、2種類の存在だけだ。つまりは『水辺の者』とかいう亜梨沙が属する破妖師の組織か・・・その敵である妖化屍か。
 
「っ・・・〝妄執”の・・・縛姫(ばくき)・・・っ!!」

「半年前、あの教会で会って以来だねぇ・・・その生意気な顔、変身を解いていようと私の眼はごまかせないよ」

 恐る恐る、背後の女の姿を、健人は覗き見る。
 眼以外をほとんど隠した大きめのマスクが、まず視界に飛び込んだ。40代と思えるが、眼だけを見れば以前はかなりの美形であったことが窺われる。ゆったりとした白いドレスに、耳にはアクセサリー。銀座などが似合いそうな美魔女、というイメージが勝手に健人の脳裏に浮かんだ。
 髪は毒々しいまでのオレンジ色で、ソバージュがかけられている。純然たる日本人ではなく、欧米の血が入っているようだ。
 そのオレンジの髪が数本、束になって健人の首に巻き付いていた。
 
「〝軍神”の将威を殺ったのはお前だね? 切り刻まれたケガレどもの様子を見れば、すぐにわかったよ」

「・・・それでアリサが苦手にしそうな妖化屍を、連れてきたってわけ」
 
 囁くようなボリュームでふたりは話し続けた。
 どうやら亜梨沙も妖魔たちも、聴覚についても常人の何倍も鋭いらしい。3人に囲まれる形となった健人だけが、走る電車のなかで、かろうじて会話を聞き分けられた。
 
「お前たちオメガスレイヤーがいなくなれば、この世は私たち妖化屍の思い通りになる。弱体化している今こそ、殲滅するチャンスだからねぇ・・・」

 マスクの下で、縛姫と呼ばれた妖女は顔を歪めて笑ったようだった。
 
「コイツ・・・〝跳弾”の剛武、っていったっけ? ゴムみたいな身体みたいだけどさ・・・だからって、アリサに勝てると思ってんの?」

 圧迫の苦しみに襲われているはずなのに、押し潰されている少女は、ニヤリと不敵に笑い返した。
 なんて精神力なんだ。健人は驚かずにはいられない。
 変身前、普通の女子高生の姿。多くの一般人が乗った閉鎖空間。風の刃が効かない、ゴムの肉体を持つ敵。さらに現れたボスらしき女妖魔・・・どこをどう考えても、亜梨沙の窮地は明らかだ。数十分前、カルラの鮮やかな勝利を目の当たりにした健人でも、とても勝てないとわかる。
 
 なのに亜梨沙自身は、カケラも強気の姿勢を崩そうとはしなかった。
 ここまでいくと自信過剰というより、自信しか持てない頭の構造になっているかのようだ。
 
「勝てるさ。とはいえ、お前たちオメガスレイヤーのしぶとさもよく知っているからねぇ・・・そこで万一に備えての、人質ってわけさ」

 キュッと、健人の首が絞めつけられる。
 巻き付いた縛姫のオレンジ髪のせいだ、と気付くのに数秒を要した。このマスクの妖女は、髪を自在に操ることができるというのか。
 
「お前たちふたりが並んで歩いてるのは、少し前から観察させてもらったよ。ボーイフレンド、ってヤツかい? なにかと鼻持ちならない小娘だねぇ」

「ア、アリサさんッ! ・・・ボ、ボクのことは、気にしなくていいですから・・・ッ!!」

 無意識のうちに健人は、声を出してしまっていた。
 亜梨沙がもう助けない、と宣言したことは、しっかりと脳裏に刻まれている。健人がわざわざ断らなくても、きっと破妖師の少女は人質のことなど無視するだろう。
 それでも、万が一にも亜梨沙の足を引っ張らないように、気丈に振る舞う必要があった。
 
「バーカ。こんなもやしっぽい年下クンが、アリサの彼氏なわけ、ないでしょ」

 覚悟はしていたものの、突き放すような亜梨沙の言葉は、やはり健人には少々堪えた。
 
「でもね。弱っちいくせにアリサを守ろうとするのは・・・嫌いじゃないけどね。その優しさに免じて、今回は特別にあんたを守ってあげるわ。健人」

 扉と巨漢に挟まれた美少女は、少年に向けてニッと微笑みかけてきた。
 こんな状況下とは思えぬ穏やかな表情に、健人の心臓はドキリと鳴った。
 
 なんだよ。
 なんなんだよ、このひとは、もう。
 特別、特別って言いながら・・・結局また、ボクを守ろうとするんじゃないか。
 自分の方が、絶体絶命のピンチのくせに。
 
 グチャアアアアアッッ!!!
 
 赤く染まりかけた健人の頬が、肉の潰れる凄惨な音色に、蒼白に変わる。
 巨大なゴム毬のような力士体型が、亜梨沙のスレンダーな肢体をさらに潰して薄くしていた。
 
「かはあ”ァ”っ・・・!! ア”っ・・・!!」

「グハハッ・・・!! おい、オメガカルラよォ・・・いい加減、その減らず口は閉じてもらおうじゃねえか」

 〝跳弾”の剛武と呼ばれた巨漢が、初めて野太い声を出していた。
 
「知ってるぜ、変身前のてめえらは、10分の1も力を発揮できねえんだってな? そのちいせえ身体で、オレのプレスに耐えられるかァ?」

 メリメリメリッ・・・ミシッ・・・ミチミチッ!!
 
 健人は見た。剛武の巨体が、さらに風船のように膨らんでいくのを。
 ただ全体が大きくなるのではない。身体の前面、胸と腹のみが、異様に前に突き出していく。必然的に、電車の扉との間に挟まれた白シャツの少女は、骨も肉も圧迫されることとなる。
 
「・・・がァ”っ・・・!! ・・・ァ”っ・・・!!」

「グフッ!! ウハハッ! ヘタに悲鳴あげると、周りの乗客どもに気付かれちまうぜェ。ま、そうなると騒がれるのは厄介だから、殺すしかなくなるがよォ」

 瞳も口も大きく開いて、ポニーテールの女子高生は天を仰いだ。
 〝跳弾”の剛武に指摘されずとも、周囲にこの事態がバレるのはマズイと、亜梨沙もわかっているようであった。懸命に悲鳴を抑えているのはそのためだ。
 ただ自分が助かるだけなら、扉のガラスを破って逃げる、という方法もあっただろう。しかし走行中の満員電車でそれをすれば、大惨事になるのは確実だった。つまり亜梨沙は逃げることも容易にできない。
 
 亜梨沙からすれば、人質に取られているのは健人だけではなく、乗客全員といってもいいのかもしれなかった。状況はあまりにも、破妖師の少女に不利だ。
 
「ホホホ・・・いいザマだねぇ。だが念には念を入れさせてもらうよ。骸頭からオメガスレイヤー殺しのために、いろいろと借りてきたからねぇ・・・」

 マスクをした熟女が、ドレスの袖から小さな箱を取り出した。金属製の小箱は、見るからに密封性が高そうだ。
 箱のなかから縛姫が出したものは、ピンポン玉ほどの鉱石が飾られたネックレスであった。
 石は自ら、ほのかな緑色を発光している。
 
「くぅ”っ・・・!? ま・・・さかっ!!」

「〝オーヴ”の洗礼を浴びるのは初体験だったかい、オメガカルラ? あまり大きいとこちらにも影響しちまうからねぇ・・・このサイズにしてやるよ。もっとも」

 明らかに動揺した亜梨沙の首に、緑石のネックレスが提げられる。
 
「う、うう”ぅ”っ!! ・・・ああ”っ・・・!! くっ、ぐぅ”っ!!」

「アンチ・オメガ・ウイルスの効果は、この大きさでも十分だけどねぇ。ホホホ、力が抜けていくだろう?」

 亜梨沙が元々嵌めていたネックレス・・・黄金に光るリングのアクセサリーに、緑の鉱石が重なっていた。
 切れ長の二重の瞳が、ピクピクと痙攣している。縛姫がいうように、亜梨沙の肢体は脱力に襲われているようであった。その原因が、〝オーヴ”と呼ばれた緑の鉱石にあるのは間違いない。
 
「なっ・・・こん、なっ・・・!? ・・・はぁっ、はぁっ・・・!! い、息、がぁ”っ・・・!!」

「オメガスレイヤーの力の源、オメガ粒子の活動を抑制するウイルス・・・ふふふ、胸の近くに飾られたら、肺も心臓も動きが鈍くなるってわけさ」

 満員電車の片隅で、ひとりの女子高生が刻一刻と命を削られていることに、健人以外の誰も気付いていなかった。
 しかもこのポニーテールの少女の正体は、不気味な亡者を退治する破妖師なのだ。
 人知れず妖魔と闘うヒロインが、今、その敵に襲われ、成す術なく敗れようとしている。
 
「こちら側の扉は、あと4駅・・・15分は開かないようだよ。それまで、ただのお嬢ちゃん同然のお前を嬲り放題ってわけだねぇ・・・」

「くっ・・・!! アリサ、を・・・舐めない方が・・・いいわよっ・・・!!」

 ミチミチと全身を軋ませながら顔を歪める少女を、健人は祈るような気持ちで見守るしかなかった。
 
「ホホホッ・・・!! 萌黄の風天使オメガカルラ・・・お前はもう、終わりだよ」



 4、剛武
 
 
 亜梨沙って、ホントにバカなことするよね。
 
 そんな言葉を、これまでの人生で何度も聞いてきた。
 肉体を潰される苦痛と息苦しさで、遠のく意識のなか。四方堂亜梨沙は、過去の情景を思い出していた。台詞の主はひとりではなく、複数。要するに、何人もの相手に似たような言葉を掛けられてきたということだ。
 
 おせっかいというか、世話好きというか。見かけによらず、お人好しなのよね。
 
 学校の成績からすると、バカと言われても否定しにくいが、いかにも甘ちゃんのような言われ方をされるとムッとせずにはいられない。
 幼少のころより鍛練を課せられ、自分が闘う宿命を背負って生まれた身であることは、覚悟したつもりだ。それ相応の厳しさも、持っている自負がある。
 
 だからいかにも頼りない、ひょろっとした体躯の少年を助けたのも、亜梨沙は当然のことだと思っていた。自分以外の誰でも、他のオメガスレイヤーたちも、絶対助けるに決まっている。決して亜梨沙が甘いからとか、お人好しのせいではない。
 
 なにも出来ない、弱そうな年下クンが、会ったばかりのアリサを助けようとしたのよ?
 なにがあっても守ってやるには、十分すぎる理由じゃない。
 助けるべきひとを助けられないなら・・・なんのためのオメガスレイヤーか、わけわかんないわ。
 
「グハハッ・・・! ただでさえ細い身体が、ペラペラになってきたな? このままだと全部の臓器がペシャンコになるぜェ、オメガカルラよ」

 耳元で囁く野太い声に、亜梨沙の意識が現実に戻される。
 目の前には、ニヤついた男の顔と、肉の壁。
 元相撲取りらしき巨漢に圧迫され、亜梨沙の体内で骨がゴリゴリと鳴っていた。少しでも油断すると、胃の中身がすべて逆流してしまいそうだ。
 
「やれるもんなら・・・やってみなさいよっ・・・!! 変身できなくても、オメガスレイヤーに選ばれた者のタフさ、舐めないでよね・・・」

 傍らで、〝妄執”の縛姫に捕まった少年が、泣きそうな顔で見つめてくる。
 ホントにバカね。あんたは、自分が逃げることだけ考えなさいよ。
 
 首から提げられた緑の鉱石・・・〝オーヴ”の効力が想像以上であることを、亜梨沙は思い知っていた。見えない手で握り絞められているように、心臓と肺が苦しい。リングの形をしたオメガストーンからも、風属性のオメガ粒子がどんどんと減っていくのがわかる。
 
 しかも〝跳弾”の異名をもつこの妖化屍は、少々の風で斬りつけても効果がなかった。
 分厚いゴムのような肉で覆われているため、血管にも内臓にも風の刃が届かないのだ。オメガカルラの全力を出せればともかく、今の状況では勝ち目はない。
 自分のことは見捨ていいから、健人だけは助かって欲しい。それが本心からの、亜梨沙の願いだった。
 
「そうかい。じゃあそろそろ、本気出させてもらうぜェッ・・・!」

「本・・・気・・・っ!?」

 唇をゆがめる〝跳弾”の剛武に、思わず亜梨沙の声が震える。
 
「ゴムの性質を持つオレの身体、その恐ろしさを萌黄の風天使に知ってもらおうじゃねえか」

 目の前に差し出された巨漢の右腕を見て、亜梨沙は息を呑んだ。
 バネのように、螺旋に渦巻き、縮んでいる。
 凄まじい弾力で、強烈な一撃が発射されるのは確実だった。その剛武の右拳が、ピタリと亜梨沙の側面・・・左の脇腹に当てられる。
 
「うっ!? ・・・くぅ”っ・・・!! や、やめっ・・・!!」

「縦から圧迫されているところを、脆いアバラに横からの打撃だ。こいつはキツイぜェ」

 ドキャアアアアッッ!!!
 
 白い制服のシャツから覗く、うっすらと筋が浮かんだ横腹に。
 巨漢の拳が容赦なく撃ち込まれる。至近距離から大砲を放つ一撃が、グシャリと亜梨沙の肋骨を砕く。
 
「うぐう”ぅ”っ――っ!! ・・・ゥ”っ・・・!! ・・・ぐうぅ”・・・っ!!」

「よく悲鳴を抑えたじゃねえか。だが、〝跳弾”って異名の意味がすぐわかるぜ」

 撃ち込まれた右拳が、亜梨沙の脇腹から戻される。それは剛武が引き抜いた、というより、自然に反動で弾んだという感じ。
 その引き戻された右腕が、再びバネのように収縮していく。
 弾む力をため込んだ拳は、またも亜梨沙のアバラに向かって射出された。ゴム製のスプリングで飛ばされたパンチは、寸分違わず、先程と同じ場所に着弾する。
 
 ズボオオオオォォッ!!!
 
「んぐう”ぅ”っ!! んん”っ――っ・・・!! がはアっ、あぁ”っ・・・!!」

「グハハハッ!! オレが気の済むまでほぼ永遠に、拳を撃ち込めるってわけだ」

 ドドドッッ!! ドドッ!! ドドドドボオオッッ!!!
 
 撃っては戻り、戻っては撃ち込む。ゴムの弾力を利用した、連続パンチ。
 これではまるで、バズーカ砲をマシンガンのように一箇所に乱射するようなものであった。
 スプリングで加速しているため、打撃は速く、鋭かった。しかも一瞬のうちに、何十発という単位で連続で撃ち込まれるのだ。
 
(ぐああ”っ、あああ”っ――ッ!! ろ、肋骨っ・・・が!! うあああ”っ、折れた骨が内臓に・・・刺さるっ!! ぐ、ぐちゃぐちゃにっ・・・されるっ!!)

「ア”っ・・・!! ぅあ”っ・・・!! ぐぶぅ”っ――っ・・・!!」

「ア、アリサッ・・・さん・・・ッ!!」

 かろうじて絶叫を堪える亜梨沙の口から、鮮血の飛沫が細かく舞う。
 深刻なダメージを受けていることは、健人にも伝わったようだった。思わず近づこうとする少年を、縛姫のオレンジ髪が引き留める。
 
「フハハッ・・・脆いな、オメガカルラ。左のアバラは全部砕けちまったぜ? じゃあ次は正面からだ」

「かふっ・・・!! ァ”っ・・・!! アア”っ、やめ・・・ろっ・・・!!」

 苦悶するポニーテール少女の声を、力士体型の妖化屍は無視する。
 相変わらず身体全体を密着させているのに、とぐろを巻いた右腕が強引に、肌と肌の間に割り込んできた。これも柔軟性に富むゴムならではできる荒業だろう。
 剛武の拳が腹部の中央に当てられる。亜梨沙の鳩尾に。
 
 ゴリュッ!! ギャルルルルルッッ!!! ドオオオォッ!!
 
 はじめ亜梨沙は、自分のお腹がドリルで抉られているのかと錯覚した。
 
 実際に抉っていたのは、剛武の右拳だった。螺旋を描いて捻じられた腕が、一気に戻って旋回しているのだ。
 元々骨が軋むほど圧迫されている亜梨沙にとって、そのうえで突き刺さる拳のドリルは、直接内臓に響いた。ギュリギュリと、胃も腸も捻じられるのがわかる。
 しかも先程の脇腹への猛打で、亜梨沙の腹部には砕けた肋骨の破片が散乱している。
 ドリルで掻き回されたアバラの破片が、ブスブスと内部で刺さっていく。
 
「ぐあア”っ!! あァ”っ!! ア、アア”っ・・・っ・・・!! ァ”っ・・・!!」

「ホホホッ!! 苦しかったらもっと大声で叫ぶがいい、オメガカルラ・・・そんなにビクビクと悶え踊っているじゃないか!」

 宙に浮いた亜梨沙の両脚が、バタバタと空を蹴った。
 マスクに表情は隠れていても、〝妄執”の縛姫が笑っているのは眼だけでハッキリとわかった。亜梨沙がなにもできずに破壊されていく様子を、六道妖のひとり・人妖である女妖魔は愉しんでいるのだ。
 
「グフフッ・・・!! ミンチになれッ、オメガカルラッ!!」

 小さく、しかし鋭い剛武の声が、亜梨沙の耳元で吐き捨てられる。
 その瞬間、〝跳弾”の胸から太鼓腹にかけて・・・制服少女に密着している面が、荒れ狂う海原のごとく激しく波打つ。
 これもゴムならではの特性であった。
 極端に凹凸する肉が、電車の壁とにサンドイッチされた亜梨沙を、グシャグシャと圧縮する。さらには細かな震動までが、スレンダーな肢体に容赦なく注がれる。
 
 ブウウゥゥンンンッ・・・!! ゴリゴリッ!! ブチブチブチッ!! グチャアァッ!!
 
「はぁぐぅ”っ!!? ぅ”ぶっ!! ・・・ぁ”っ、あがあ”っ!! ・・・ぐふぅ”っ――っ・・・!!」
 
 なんとか悲鳴を抑える亜梨沙の口から、ブシュッ、と血の塊が飛び出す。浴衣からはだけた剛武の胸元に、バチャリと降りかかる。
 ポニーテールを振り乱し、少女の頭部がガクガクと前後に揺れた。全身を潰される拷問に、亜梨沙は悶えることしかできない。
 
 ゴビュッ!! ・・・・・・ブシュッ!! ・・・・・・グブッ!! ・・・・・・
 
 膨れ上がった巨体が波打つたびに、搾り取られるように亜梨沙の口から赤い液体が溢れる。
 華奢な女子高生が、押し潰されて鮮血を吐く・・・そんな凄惨な光景が、満員電車の片隅で繰り広げられている。だが車内をギュウギュウに詰めた人々は、誰も惨劇に気付いていなかった。相撲取りのような肉の壁が、世間一般とオメガスレイヤーの処刑場を隔てている。
 
(あああ”あ”っ――っ!!! む、胸っ・・・も・・・っ!! お腹、もっ・・・!! 潰れぇ”っ・・・ア、アリサの・・・カラダ、がっ・・・!!)

 くたりと強気な少女の顔が垂れ、剛武の胸にもたれかかった。
 表情は険しいままでも、亜梨沙の瞳はすでに焦点が合っていなかった。半開きの唇からは、ツツ、と血の糸が流れ続けている。
 
「さすがにダメージは深刻なようだねぇ・・・だがまだよ。この程度でオメガスレイヤーを倒せるなら、私たちも苦労はしていないさ」

 縛姫の声を合図に、ゴムの身体を持つ巨漢が左右の腕を捻じっていく。
 同じ螺旋を描くのでも、右はバネのように渦巻き、左はドリルを発射できるよう旋回させている。剛武が2種類の打撃を亜梨沙に加えるつもりなのは明らかだった。
 
 巨大な拳がピタリと己の左右の乳房に当てられた時、亜梨沙は思わず恐怖に引き攣った。
 
「くあ”ぁ”っ・・・!? ああ”っ・・・!! や、やめ・・・てっ・・・!!」

「グフフッ、『純潔』を守らねばオメガスレイヤーは弱体化するんだったな? 女子高生のバストがどれほどの感度か、試してみようじゃないか」

 スプリングのように収縮した〝跳弾”の右腕が、亜梨沙の左胸に拳を連射する。
 ドリルのように捻じられた左腕は、右の乳房を穿ちながら深く深く埋まっていく。
 78cm、Cカップだが、形のいい乙女のバストは、制服のシャツ越しに暴虐によって蹂躙される。
 
 ズドドッ!! ドドドドオオォッ!! ドボボボボッ!!
 ギャリギャリッ!! ギュリリリリッ!! ギュオオオオッ!!
 
「ア”っ!? ア”ア”っ!! ィ”っ・・・!! ぎぃィ”っ・・・ィ”っ~~・・・!! ィ”ア”ア”っ――っ・・・!! かはァ”っ!!」

 天を仰ぎ、歯を食い縛って。
 柔らかな双乳を抉られる激痛に、亜梨沙は全身を痙攣させた。
 灼熱のような痛みだけではない。胸を嬲られ、じわりとしたシビレのような快感も湧き上がっているのが、否定したくても実感してしまう。
 
(むねぇ”っ!! 胸ぇ”っ・・・!! アリサの胸っ、貫かれぇ”・・・ちゃうぅ”っ――っ!! あ、ああ”っ・・・!? ち、乳首・・・勃っ・・・ちゃう・・・!! こ、こんなっ・・・!! し、シビレて・・・き、気持ち・・・よく・・・っ!!)

「き、効かないっ・・・!! こ、こんなっ・・・ものっ・・・!! 全然アリサ、はっ・・・感じるわけ・・・ない・・・っ・・・!!」

「ホホホッ!! 瞳を蕩けさせ、苦痛に顔を歪めた小娘の台詞じゃないわねぇ、オメガカルラ?」

「縛姫よ、こいつは笑わせてくれるな! 全身が弛緩し、もはや敗北は決定したというのに・・・言葉だけは、いつまでも反抗し続けるとは」

 力の入らなくなった亜梨沙の肢体を、剛武はいいように反転させる。
 それまで扉に押し付けていた背中と、妖化屍と正対していた胸とが、逆になった。さんざん殴られ、抉られた乳房が、透明なガラスに押し付けられる。一旦〝跳弾”のプレスから解放された亜梨沙の肢体は、すぐに背後から強烈な力で圧迫された。
 
 走る電車を外から眺める者があれば、ガラスに押し潰された、女子高生の乳房が拝めることだろう。
 
 その亜梨沙の白い制服が、ずんぐりした大男の手で、胸まで一気に引き上げられた。
 
「・・・くぅ”っ・・・!?」

 視線を彷徨わせる美少女の頬が、ピンク色から赤へと色を濃くする。
 胸から下腹部にかけて、制服をまくられた亜梨沙は艶やかな素肌を晒しているのだ。思春期の女子高生にとって、これほどの恥辱はない。
 
 剛武のゴムの両手が、隙間から強引に捻じ込まれてくる。
 純白のブラジャーが外される。代わりとばかり、ビロンと伸びた〝跳弾”の掌が、ガラスに潰された左右の乳房を覆い包む。
 
「グフッ、グフフッ!! 態度は硬いが・・・小娘のオッパイは柔らかいなァ、オメガカルラ」

 ブウウウゥゥンンッ・・・!! 
 
 ガラスと胸との間に挟まった剛武の手が、激しく波打つ。
 先程亜梨沙の全身をミンチにしたのと、同じ技だった。だが今度のターゲットはふたつの乳房だけであり、微細な震動はむしろ破壊よりも愛撫に近い。
 
 そのモーターの震えにも似た絶妙な刺激が、尖り立った鋭敏な乳首に注がれていく。
 亜梨沙にとっては、官能の電撃がふたつの胸の先端を射抜いているようなものだった。
 
「ぇ”はあ”っ、ア”っ!! ぇ”あ”ア”っ―――っ!! ・・・んんぅ”ぅ”っ~~っ!!」

「グハハハアッ!! オメガカルラッ、敗れたりッ!!」

 快感によって身体がヒクつくのを、もはや亜梨沙は隠せなかった。
 下腹部がジンと疼き、恥ずかしい蜜が溢れてくるのを止められない。乳首から送られる桃色の電流に、ビクビクと全身がはねてしまう。
 
「アリ・・・サ・・・ッ・・・さんッ・・・!?」

 怯えたような健人の呟きが、耳朶に届いてくる。
 乳房への責めに感じ、たまらず嬌声を漏らしているのが、少年にもバレたに違いなかった。健人は悟ったのだ。亜梨沙のカラダが愛撫に陥落し、ある意味でオメガカルラは・・・完敗したことを。
 
「あはあ”ぁ”っ、そ、そこはぁ”っ・・・!! ひゃめっ!! ・・・ひゃめぇ”ろぉ・・・っ!!」

 声のボリュームこそ抑えているが、ろれつが回らないことまでは誤魔化せない。
 股間に固いモノが当てられていることに気付き、亜梨沙は瞳を剥いた。いつの間にか、バストを覆っていた剛武の両手は、緑のチェック柄スカートをまくりあげ、さらに内部の純白ショーツまでずり降ろしている。
 
 露出した乳房と股間を、亜梨沙は扉のガラスに押し付けているのであった。
 むろん電車の外からは、女子高生の局部は丸見えだった。むしろ完全なヌードではなく、まくりあげた白シャツとグリーンのプリーツスカートが見えるだけに、素肌の卑猥さが際立っている。
 
 夕暮れ時の街は、どれだけの人々が走る電車を眺めているか、想像するだけでゾッとする。しかし亜梨沙は、その人数を確認することなどできなかった。
 あまりの恥辱に焼かれた少女は、視界が潤んでほとんど何も見えなかった。
 乳首が屹立して尖っているのも、股間から沁みだした透明な蜜がガラスを汚しているのも、亜梨沙は自覚している。なにも知らない者から見れば、露出狂の女子高生が自ら猥褻な姿を晒していると見えることだろう。
 
 ズブ・・・ずぶぶッ・・・ズズズ・・・・・・
 
 固い異物が、股の間の大事な秘部に埋まってくる。
 太く大きなそれが、剛武のイチモツであることは確認するまでもなかった。敗北したオメガスレイヤーが、どんな末路を辿るのか。半年前の悪夢のような事件の現場にいた亜梨沙は、仲間たちの悲惨な姿を覚えている。
 
「・・・殺・・・せぇ”っ・・・!! バラバラにでもっ・・・なんでもすれば、いいっ・・・!! 辱められるならっ・・・いっそ殺してぇ”っ・・・!!」

 深く、深く、妖化屍の肉茎が股間に突き刺さってくる。
 膣穴いっぱいに剛武の男根が埋まるのを悟り、亜梨沙の瞳から涙がこぼれた。悔しくて、恥ずかしくて、意識があることが拷問に思えた。
 
「フフンッ、そうかい。ならば望み通り、殺してやろうかねぇ」

 ニタニタと笑う化粧の濃い顔が、亜梨沙の間近に迫ってくる。
 縛姫の台詞に、思わず破妖師の少女は安堵しかけた。生き恥を晒すなら死ぬ方がずっとマシだと、本気で亜梨沙は思っていた。
 次の瞬間、亜梨沙は自分が、やはりどこか甘い人間なのかもしれないと思い知った。
 
「お前をたっぷりと、利用した後でねぇ・・・」

 衝撃が、制服少女の股間から脳天までを、一気に貫いた。
 膣壺に埋まった剛武のペニスが、激しく震動している。マシンガンのように突き上げる。ピストン運動という表現では、とても追いつかない猛速度の挿入。
 
 〝跳弾”の男性器が、ゴムで出来ていることに、ようやく亜梨沙は気付いた。
 
 異様な速度と強さで、伸縮するゴム肉茎。すでに愛蜜を分泌している少女の膣は、容易く突き上げを受け入れた。じゅぶじゅぶッ、と撹拌の音が鳴る。
 さらには尖った乳首がガラスに擦れることで、亜梨沙を責める悦楽は倍増していた。背後から圧迫されているため、股間を衝かれるたびにコリッとふたつの乳首が転がる。すでにカチコチに屹立し、過敏になった突起は、鋭い刺激を子宮に送る。
 
「うはああ”ぁ”っ、ア”ァ”っ・・・!! んはああぁ”っ~~~っ!!! ん”っ、んん”っ・・・!! んぎぃ”ィ”っ~~~っ!!! ・・・ィ”ア”はぁっ・・・!!!」

 じゅぼぼッ!! ずぼぼぼおおおッ・・・!! ずびゅッ、じゅぶぶぅッ!!!
 
 ゴム製ペニスが膣奥を突き上げる。摩擦による快感が、震動と重なって子宮を貫く。
 愉悦の波動は、亜梨沙の下腹部に宿る女の芯をも蕩かすようであった。快楽に、とける。下半身全体が痺れ、肉壺に沁みだす蜜が垂れ流しとなる。
 ゴム肉の突き上げによる衝撃は、脊髄を貫き、亜梨沙の脳にも叩き込まれた。
 怒涛のような快感に、意識が飛び掛かる。脳細胞が、気持ちよさにピンクに染まる。
 
 どどどッ!! じゅぼぼぼッ!! ・・・ずびゅるッ!! じゅぶじゅぶじゅぶッ!!
 
「ぇはあ”あ”ぁ”っ――っ!! ふぶぅ”・・・ぅひいぃ”ぃ”っ~~~っ・・・!!! ふぇあ”あ”ぁ”っ、ん”あ”ぁ”っ・・・!!! ふぎいい”い”ぃ”あ”ア”ア”ァ”っ―――ッ!!!」

『間もなく列車が止まります。車内大変混み合いまして、ご迷惑をお掛けしました』

 たまらずあげた嬌声の叫びは、偶然に流れた車掌のアナウンスに掻き消された。
 再び静寂が訪れたときには、扉と肥満体に押し潰された女子高生は、ガクリと全身を弛緩させポニーテールをだらりと垂れ流すのみであった。
 
 ぴちゃちゃっ・・・ぷしゅッ!! ・・・ぼたぼたっ・・・
 
 股間から様々な雫が落ちていても、満員の車内では気付く者もいなかった。
 四方堂亜梨沙は白目を剥いて、意識を失っていた。ゴム肉茎の連射挿入と、乳首への愛撫により、あえなく絶頂を迎えたのだ。
 
 半開きになった口から、トロトロと涎が溢れている。
 透明な唾液はガラスを伝い、亜梨沙自身の乳房と腹部、そして下腹部とを順に濡らしていった。扉に押し付けられた少女にとっては、自身の涎も簡易なローションとして使われてしまうことだろう。
 
「ホホホッ・・・さて・・・こちらの扉が開くまで、あと10分はあるねぇ・・・」

 健人以外の乗客に悟られることなく、その後亜梨沙は犯され続けた。
 ぶしゅぶしゅと、愛液を噴射するのも構わず、股間に埋められたゴム製ペニスは突き上げを繰り返した。
 
 元力士のような巨漢とマスクをした熟女が、ぐったりとした女子高生を抱えて電車を降りたあとには、大量の水溜りが床に広がっていた。
 敗北した破妖師の少女が虜囚に堕ちたことなど、誰もわかるはずはなかった。
 
 
 
 すっかり陽は暮れ、街は夜の闇に包まれていた。
 
 四方堂亜梨沙と相沢健人が連れ込まれたのは、どこかの学校の体育館であった。縛姫らがあらかじめ用意していたのではなく、適当に降りた駅で、適当に見つけたのだろう。
 すでに教員が帰ったあとらしいのは、幸いだったというべきか。少々の邪魔者くらいは、妖化屍は恐れるより簡単に殺してしまう。死者である彼らは、生きている者を殺すのが本能であることを忘れてはならない。
 
 バスケットボールのコート、2面くらいのフロアと高い天井。
 電灯はつけられていないが、亜梨沙の眼ならこれくらいの闇は問題ではない。むろん、妖化屍の2名も同じだろう。
 
 ポニーテールを〝跳弾”の剛武に握られ、脱力した亜梨沙の肢体は宙に吊り上げられていた。
 目の前で、痩せた少年が冷たい床に正座させられている。
 健人をここまで連れてきたのは、万が一にも亜梨沙が逃げられないように、だろう。そうした縛姫の嫌らしさが、亜梨沙は生理的に不快だった。
 
「ホホホッ!! いい気味だねぇッ・・・!! これで風属性のオメガスレイヤーも、おしまいのようだ!」

 甲高い声で、オレンジ髪の中年女が哄笑する。
 マスクを取った縛姫の顔は、中央がクレーターのように陥没していた。
 そういえば、天音が殴ったんだっけ。
 今は亡き、白銀の光女神のことを亜梨沙は思い出す。あれから半年、残ったオメガスレイヤーたちで頑張ってきたが・・・ついに自分も、最期の瞬間を迎えるようだ。
 
「殺す前に、お前には聞いておきたいことがある。骸頭がいろいろと貸してくれたのも、オメガスレイヤーどもの殲滅を期待してのことだからねぇ・・・」

 ツカツカと囚われの少女に歩み寄った〝妄執”の女妖魔は、亜梨沙の顎をクイと持ち上げた。
 
「電車内で殺せたのに、わざわざこんなところに連れ出した理由がわかるかい? 残る地と空・・・ふたりのオメガスレイヤーの秘密を教えてもらおうじゃないか。こいつらのことは、骸頭もまだわかっていないようだからねぇ」

「・・・・・・アリサも・・・ひとつ、教えてあげるわ・・・」

 くっきりとした二重の切れ長の瞳で、制服の女子高生は縛姫を睨み付けた。
 依然として〝オーヴ”の鉱石は、ネックレスに繋がれて首から提げられている。剛武による圧迫からは解放されたとはいえ、脱力と息苦しさに変わりはない。
 当然のように妖化屍たちは、すでに亜梨沙に反撃する力など皆無だと、思っているに違いなかった。
 
「・・・なんでわざわざ・・・こんなところまで、連れ出されてきたと思う・・・?」

「はぁ? なにを言っているんだい、この死にかけの小娘は?」

「やっと本気だせるところまで・・・待ってたのよっ!!」

 首から提げられた黄金のリング・・・風属性のオメガストーンが、眩い光を放つ。
 衆人環視で変身できない、そして多くの人々を犠牲にするわけにはいかない亜梨沙は、待っていた。オメガ粒子を全開にできるチャンスを。
 すでにボロボロなのは自覚しているが・・・ようやく巡ってきたそのチャンスを、ムダにするつもりはない。
 
「私がっ!! 萌黄の風天使、オメガカルラよっ!!」

 ぐったりと脱力していた肢体に、急激に躍動が戻った。
 揃えた両脚で、〝跳弾”の剛武のどてっ腹を蹴りつける。
 風船のごとく膨らんだお腹が、ぐにゃりと凹む。並の妖化屍ならその一撃で粉砕されるであろう威力に、ポニーテールを掴んだ手がたまらず離れる。
 
「グハハッ!! だがッ!! 効かん、効かんぞォッ!! オレのゴムの肉体には、貴様の打撃など痛くもかゆくもないわッ!!」

「それでいいのよ。バーカ」

 ゴムの弾力に、亜梨沙の小さな体躯は吹っ飛んだ。
 宙を舞う少女は、くるくると旋回しながらコスチュームを変えていく。鮮やかな黄色のスーツと、長いケープ。フレアミニのスカートに、四肢に嵌めるブーツとグローブも全て黄色で統一されている。
 
 たん、と軽やかに体育館のフロアに着地した時には、お臍と胸元、そして長い脚をも露出させた萌黄の風天使が、変身を完了させていた。
 
「確かに万全にはほど遠いけどね・・・オメガカルラは、まだ終わってないから」

 ニッと、敢えてふてぶてしく、オメガカルラは微笑んでみせた。
 実際には、剛武のプレスで潰された肉体は、呼吸するだけで激痛が走るほど壊されていた。いまだ首に嵌められたままの〝オーヴ”のネックレスも、立つのもやっとというほど、力を奪っていく。
 
(・・・終わってないけど・・・変身するのが限界・・・よね・・・)

 電車のなかで剛武に凌辱された時点で、もはや闘う力など残っていないことは、カルラが一番わかっていた。
 それでも萌黄の風天使は、抵抗できるフリをする必要があった。敗北は決まっていても、破妖師の少女には、まだできることがある。
 
「ホホホッ・・・!! まだ動けるとはねぇ! 本当にお前たちオメガスレイヤーのしぶとさには呆れるよ!」

 〝妄執”の縛姫が、足元の床からなにかを拾い上げる。
 携帯式のキャノン砲のようなその武器に、カルラは見覚えがあった。六道妖の首謀者的立場にいる地獄妖・骸頭が、愛用していた切り札。
 〝オーヴ”のレーザーを発射するキャノン砲が、黄色のヒロインに向けて突きつけられた。
 
「だがこんな時のために、この小僧を人質として連れてきたんだよ。コイツを助けたければ、〝オーヴ”の餌食になるんだねぇ」

 ピンク色の唇を、カルラはわずかに噛む。だがそれは、悔しさだけが理由ではない。
 
 思った通り。きっと縛姫は、アリサが動けると知ったら、健人を利用すると思ってたんだ。
 
 自分が死んでも、なんとしても健人だけは助けたかった。守ってあげると、約束したから。
 助けるべきひとを助けられないなんて・・・もう、そんな辛い想いは、二度とカルラはしたくなかった。
 半年前、オメガカルラは、助けようとしたふたりの姉妹を救えなかった。目の前で、殺されてしまった。
 
「動くんじゃないよ、オメガカルラ。お前がこの〝オーヴ”のレーザーを浴びれば、ガキのひとりくらい見逃してやろうじゃないか」

 ダンッ、と地を蹴る音を残して、〝跳弾”の剛武が高々と跳躍する。
 150kgはあろうかという巨体からは想像しにくいが、ゴムの肉体をもつ妖化屍なのだ。驚異的なジャンプも、眼をみはる移動速度も不思議ではない。
 ほぼ一瞬にして、力士体型の巨漢はカルラの背後に降り立った。その間、黄色のヒロインは微動だにしない。
 
「健人っ!! アリサのことはいいから、この隙に・・・逃げるのよっ!!」

 よろよろと、細身の少年が立ち上がる。
 戸惑っているのが、覚束ない足取りでよくわかった。前に来たり、後ろに下がったり。なにもできない高校生は、それでもカルラのために逃げていいのか、迷っている。
 
「いいからっ!! あんたは逃げることが、アリサのためなのっ!!」

 剛武の太い両腕が、背後からポニーテール少女を羽交い絞めに捕らえる。
 レーザーキャノンの砲口が、自分に照準を合わせるのを見ながら、オメガカルラは晴れやかに笑った。
 
「あんたが生きてくれれば・・・アリサは報われたって思えるの。たとえ死んでも、満足できるから、さ」

 オメガヴィーナスこと四乃宮天音と、その妹・郁美を救えなかった時から、半年。
 自分の無力さを嘆く日々から、ようやく解放されるとカルラは思った。
 
「元気でやるのよ、健人」

 思い切ったように背を向けて、少年が駆け出すのと、縛姫が引き金を引くのは同時だった。
 緑に光る奔流が、キャノン砲から射出され、一直線に萌黄の風天使に迫る。
 
「ホホホホッ!! あの世でオメガヴィーナスが・・・待っているよッ、オメガカルラッ!!」

 ドオオオオオォウウウッッ!!!
 
 〝オーヴ”を大量に含んだ光の帯が、オメガカルラの右胸に直撃した。
 
「うあああ”あ”あ”ア”ア”ア”ァ”っ―――っ!!! ウアア”っ、アア”っ!!! ・・・ウギャアア”ア”ア”っ~~~っ!!!」

 右の乳房を包んだスーツが、砲撃の威力に弾け飛ぶ。
 美乳を露わにしたカルラは、ガクンと崩れ落ちかけた。体内にわずかに残っていたオメガ粒子が、急激に消耗していくのがわかる。
 床に崩れようとしたスレンダーな肢体を、〝跳弾”の剛武が真正面から抱き止めた。
 助けたのではない、その真逆。
 剥き出しになっている細い腰に両腕を回した巨漢は、凄まじい怪力でカルラの胴を締め上げた。
 
 メキメキメキッ!! メチィッ!! ・・・ゴキゴキッ、メシィッ!!
 
「がぁ”っ!? アアア”ア”っ・・・!!! ウアアア”ア”っ~~~っ!!! こ、しっ・・・がっ!! お、折れぇ”っ・・・!! 砕けぇ”、てっ!!!」

「グハハハハアッ!! バカはお前だッ、オメガカルラ!! 最後の力が残っていたなら、自分が逃げればいいものをッ!!」

 腰を砕いていく強烈なパワーに、華奢な風天使が悶絶する。
 激しく痙攣し、絶叫する口から泡をこぼす。
 〝オーヴ”のレーザーキャノンで力の源泉を失ったカルラは、本来の1%もオメガ粒子は残っていない。その肉体の頑強度は、もはや本来の姿である女子高生・四方堂亜梨沙と変わりない。
 
「ギャアアア”ア”っ・・・うあああ”あ”っ―――っ!!! うぐうう”う”ぅ”っ~~~っ!!!」

カルラ1


「グハハハハアッ、トドメだッ!!」

 ボギィンンッッ!!!
 
 オメガカルラの背骨が、砕けた。
 
「はぐう”ぅ”っ―――っ・・・!!! ・・・ァ”っ!!! ・・・ぁ”・・・・・・」

 大きく小柄な少女の全身が震え、やがてビクビクと小刻みに痙攣を続ける。
 白目を剥き、泡を吹いて、オメガカルラは失神していた。
 ボタボタと、液体の滴る音色がフロアに響き、カルラの足元に黄色の水溜りを広げていく。
 背骨を折られた無惨な風天使は、下半身に力が入らず、失禁の雫を振り撒いていた。

カルラ2

 
「ホホホッ・・・オホホホッ!! これでまたひとり・・・オメガスレイヤー、五天使のひとりを倒したわッ!! 私たち、六道妖の望む世界が・・・間もなく実現できるのよッ!!」

 闇に包まれた体育館に、勝利を宣告する妖化屍の哄笑が響き続けた。
 萌黄の風天使、オメガカルラは敗れた。
 
 
 
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| オメガスレイヤーズ | 00:29 | トラックバック:0コメント:7
コメント
オメガスレイヤーズの続きをアップしました~w 今回も炙りサーモンさまhttps://twitter.com/riorio0429 に挿絵を描いていただいたので(*´▽`*)、掲載させていただきました。ちなみに嬉しいイラストは、今は特別に描いていただいてるだけで、今後は滅多にないですからよろしくお願いします(^^ゞ 標準装備ではなく、あくまで特別ですからw もちろん、DL化のときは、何枚かお願いしますが(^^ゞ

あとツイッターを始めてみました。
https://twitter.com/kusamunedesu

ホントをいうと、ちょっとツイッターは怖いというか、いろいろな意味で扱いが難しくて苦手意識があったんですが・・・とりあえずやってみることに。普段思っていることや、リョナやらヒロピンについての思いを吐露できればとか思ってます。いろいろありますがw、まずは作品を愉しんでいただけることを祈ってます(^^ゞ
2016.10.11 Tue 00:38 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
ありがとうございます(∩´∀`)∩
いやあー、よかったですw ボク自身、今回のシチュは気に入っていたので・・・自分のなかでは本編ではまずこれを書こう、と思った程、思い入れあるシーンですから、気に入っていただけたようで本当に嬉しいです。
(結局展開上、一番初めのバトルにはなりませんでしたが(^^ゞ)
胸は大きくなくても、スレンダーなヒロインでも魅力はある、というのを亜梨沙には是非見せていってもらいたいですねw

満員電車であれだけ派手に暴れたらさすがに気付くか・・・とは正直思ったんですが、とにかく『窓ガラスに裸身を押し付けられる』っていうのをやりたかったんです(^^ゞ ボクのなかでは絶対にエロかったんでww

少々目をつぶってもらって、楽しんでいただければ(^^ゞ
2016.10.11 Tue 21:44 | URL | 草宗
今回はとにかくシチュエーションが素晴らしいですね。もうそれだけで大興奮、お腹いっぱいです。さらに剛武の設定と責めもとてもよかったです。草宗さまのアイデアに脱帽です。カルラがどうなるのか、次回も楽しみにお待ちしております。
2016.10.13 Thu 01:41 | URL | オメガ好き
>オメガ好きさま
ありがとうございます(^^ゞ
ボク自身も今回はシチュエーション勝負だったというか・・・満員電車で、というアイデアが個人的にはすごくお気に入りだったんで、楽しんでもらえたなら嬉しいですw

剛武の設定も気に入ってるんですが、コイツ、実は相当強くね? とか思ったりw 単純な戦闘力では縛姫より上なんじゃないですかね(^^ゞ

書いているうちにどんどんカルラへの愛着が湧いているので(もちろん最初から好きは好きですがw)、しっかり可愛がってあげたいですねw(意味深)
2016.10.13 Thu 08:40 | URL | 草宗
更新お疲れ様です。

健人に彼氏の事を聞かれて真っ赤になる亜梨沙が、普通の女の子をしていて、可愛いかったよ。
早速天音をこんな使い方をするなんて酷いし、電車を利用して亜梨沙の能力を使わせないようにするなど、亜梨沙への対策が完璧ですね。
密閉された空間で痴漢のような責め、かなり楽しめましたよw
新キャラの剛武も味のある敵で、さらにイラストもカッコ良くてかなり好きw
この先カルラをどう料理してくれるのか、楽しみにしていますね。
2016.10.16 Sun 01:52 | URL | さとや
>さとやさま
なにげに隙が多いというか、油断して素の顔をぽろっと出しちゃうのが亜梨沙なんです(^^ゞ
そうなんです、天音の使い方に六道妖の恐ろしさというか、酷薄ぶりを感じていただければ・・・

満員電車のシチュや剛武の能力など、今回は自分自身では気に入っているものが多いですね。
なんとかもう1、2段階はギアをあげられるよう、頭を悩ませたいと思います(^^ゞ
2016.10.16 Sun 21:38 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
思ったより早く仕上げられてよかったです(^^ゞ
前日譚を書き終えたときの反省点として、「展開を進めるのに気を使い過ぎて、キャラの描写が弱かった」というのが個人的にあったので、本編は意識しました。

満員電車のシチュはAVの痴漢モノなどでは定番ですがw、これは使えるとずっと思っていました(^^ゞ 
剛武も気に入ってるキャラで、ぶっちゃけ〝軍神”の将威は噛ませ犬なんですけどw、本編最初の強敵ということで力が自然に入りました。

ピンチで楽しんでもらいつつ、内容で続きが気になってもらえるよう、頭働かせて頑張ります(^^ゞ
2016.10.16 Sun 21:47 | URL | 草宗
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