巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

オメガスレイヤーズ ~カウント5~ あとがきと今後の予定 | main | ウルトラ戦姫物語 パラレル編 第2章「最強最速の最期」
オメガスレイヤーズ ~カウント5~ 最終話 カウントゼロ。始まりの終わり⑥(完結)
 11、希望
 
 
「儂ら六道妖のッ・・・勝利じゃああああッ~~ッ!! 光属性のオメガスレイヤーをッ・・・オメガヴィーナスをついに乗り越えたのじゃッ!! 妖化屍にとっての最大の脅威は、もうこの世に存在せんわいッ!!」

 地獄妖・骸頭の、歓喜に満ちた絶叫が響く。
 正しく、歓喜だった。この地に国家が誕生しようか否かという時代から、一千年を遥かに越えて生き長らえてきた妖魔は、純粋に喜びに震えていた。
 妖化屍を葬るために存在する、究極の破妖師=オメガスレイヤー。その頂点に君臨するオメガヴィーナスを、6体の妖魔はついに滅ぼしたのだ。
 
 革命というべき、一大事件であった。
 本来、勝つはずのない者が勝ってしまったのだ。じゃんけんで、グーがパーに勝つことなど有り得るだろうか? ポーカーで、ワンペアがロイヤルストレートフラッシュに勝つことが有り得るだろうか? 有り得なかった。いや、あってはならないことなのだ、そんなことは。
 
 そのあってはならない事態が現実に起こってしまった。
 だからこそ、六道妖の勝利は、革命的であった。太古から連綿と続く常識が、今、この瞬間に覆ろうとしている。
 選び抜かれた妖化屍たちの結託と、科学とIT技術が進歩したことによる情報分析とが、最強のオメガヴィーナスに敗北をもたらした。妖魔を狩る者が、逆に狩られる惨劇を生んだ。

 
「ねえ、骸頭のオジサン。あまり喜びに浸ってる余裕はないみたいだよ」

 おかっぱ頭の少年妖魔が、細い眼を教会の扉に向けながら言った。
 コロコロと口の中で飴玉のように転がしているのは、オメガヴィーナスから抉り取った右目だ。天妖にとって光女神の眼球は、なにより美味なご褒美に違いなかった。
 
「むぅ!? なんのことじゃ、絶斗よ」

「すげー速さで、誰かこっちに向かってる。足音は、ふたり分だね」

「・・・他のオメガスレイヤーに間違いあるまい。少なくとも、同等の能力を誇る者だ」

 天妖の言葉を、修羅妖である虎狼が補足した。
 オメガスレイヤーの劣化版、ともいうべき妖化屍は、当然のように視力や聴力なども常人離れしたものを持っている。オメガ粒子の恩恵に多く預かった絶斗や、元々の身体能力が高い虎狼が、六道妖のなかでも飛び抜けているのもまた必然であった。
 
「他の、じゃとッ!? ならば地か風か雷かッ!?」

「そこまではわかんないって。ま、まだ遠いから、焦ることはないけどねー」

 楽天的な絶斗の言葉を、皺だらけの老人は聞き流した。
 目的の99%は達成しているとはいえ、六道妖が受けたダメージも決して小さくはない。今、新たなオメガスレイヤーと闘って、無事でいられる保証はなかった。最悪の場合、せっかく倒したオメガヴィーナス=四乃宮天音にトドメを刺す前に、奪還されてしまう恐れもある。
 
 骸頭は気付いていた。オメガヴィーナスの心臓は、まだかすかに脈打っていることに。
 確かに白銀の光女神は無惨に変わり果てていた。胸の焦げ跡のような『Ω』マークは消え失せ、天音の体内にオメガ粒子は残存していないことを報せている。『オメガヴィーナス』という存在が消滅したといっても、間違いではないのかもしれない。
 
 しかし、四乃宮天音というひとりの女性の生命は、かろうじて繋ぎ止められている。
 腹部や太ももを貫かれ、右の乳房も抉られている。くびれたウエストは残酷にも、ねじれがくっきり描かれるほどに捻じり回されていた。背中にも紫水晶の刃を受けて、流血が確認できる。常人なら致死を免れない破損を、天音が受けているのは事実だ。
 
 それでも、瀕死に間違いなくても、天音はまだ生きている。
 光属性のオメガ粒子は、完全に天音に『愛想を尽かした』わけではない証拠だった。『純血』も『純潔』も失った美乙女だが、どこか、細胞レベルの奥深くで、オメガ粒子はまだ天音にしがみついているのだろう。
 
「・・・最後まで奪えなんだ、『純真』のせいか・・・」

 『純血・純真・純潔』。それが、オメガ粒子に愛されるための、3つの要素と言われていた。
 『征門二十七家』の血統が『純血』。文字通り、貞操を守ることが『純潔』。そして『純真』とは正しきことを正しいと認識する、まっさらで美しい精神。
 もし、天音が拷問に屈し、心から六道妖の軍門に下っていれば、とっくにその命脈は絶たれていたはずだった。
 
「ウプ。ゲヒヒヒ・・・・・・構うことないぜぇ~、骸頭ぅ~~・・・ここまで弱ったら、殺すのは簡単さぁ~・・・強情な天音ちゃんを屈服させるなんて、面倒なことしなくてもいいぜぇ~~・・・」
 
 緑に光る巨大十字架の下から、餓鬼妖・呪露によってオメガヴィーナスの肢体は引き出された。
 
 〝流塵”の妖化屍は、2mを越える小山のような本来の姿に戻っていた。血の色でまだらに染まったプラチナブロンドの髪を鷲掴み、天音の肢体を片手で吊り上げる。
 鼻からも、口からも、耳からも、そして空洞になった右眼からも・・・白い粘液がドロリと溢れ出ている。可憐さと美麗さ、両方を伴った比類なき美乙女は、汗と涙と鼻水と涎、そしてザーメンの汚濁とで、ロウでコーティングされたかのように濡れ光っていた。
 
 残った左の瞳を開けたまま、天音の美貌は固まっていた。もはやなにも見えていないようだ。厚めの桜色の唇が、わずかに開いている。閉じる力さえ、残ってはいないのだろう。
 ぐったりと垂れさがった、スレンダーなボディ。輝くような白銀のスーツは、天音自身の血で紅く染め上げられていた。背中のケープの大部分を失い、黄金の『Ω』の紋章も破り取られた今、スーパーヒロインらしさはほとんど損なわれている。
 素肌を直接さらしたバストには、火傷痕のような『Ω』の模様はすでに見えなくなっていた。ただ、金色のロザリオが、谷間に揺れているのみだ。
 
「今のコイツは・・・そこらの女と変わらない脆さだぁ・・・バラバラにして、殺そうぜぇ~~っ・・・・・・いくらしぶとい天音ちゃんでもぉ、さすがにお陀仏だろぉ~~・・・ゲヒヒヒッ!!」

 無慈悲な呪露の台詞を耳元で囁かれても、虚ろな天音の瞳に変化はなかった。
 ピッタリと密着したボディスーツとフレアミニを身に着けただけの、かよわき24歳の乙女。それが現在の、オメガヴィーナスの正体だった。瀕死の光女神に、もはや六道妖に抗う力などあるわけもない。
 
「やめええ”え”エ”ッ――ッ!! おねがい”い”イ”ィ”ッ――ッ、もうやめてえ”え”エ”ェ”ッ~~ッ!! 助けてえ”ェ”ッ、もうオメガヴィーナスの負けよォ”ッ――ッ!! お願いィ”ッ、お願いだから命だけはぁ”ッ・・・命だけは助けてェ”ッ!!! 殺さないでえ”ェ”ッ――ッ、お願いィ”ッ――ッ!!!」

 もの言わぬ天音に代わって、その眼の前で天井から吊られた、郁美が懇願する。涙を振り乱して、泣き叫ぶ。
 オメガヴィーナスから奪った青のケープと金色の紋章は、なんの力も持たない妹に取り付けられていた。スーパーヒロインとしての象徴を得たニセの光女神が、本物のために命乞いをする・・・。姿だけがオメガヴィーナスに近くなっても、郁美にはなにも出来ないのだ。
 無力な女子大生は、姉を救うためならなんでもするつもりだった。
 
「もう、歯向かいません”ッ――ッ!! お姉ちゃんはッ、天音はッ、もうなにもできないッ!! あなたたちと闘うなんて、できるわけないッ!! お願いですから許してください”ィ”ッ――ッ!!! オメガヴィーナスは負けたんですぅ”ッ――ッ!!! 二度と歯向かいませんから、命だけはッ・・・!! 命だけは助けてッ・・・・・・!!」

「ふ、フフフッ・・・!! 生意気な小娘が、随分殊勝な言葉だことッ・・・」

 郁美の身体を背後から支えている縛姫が、喜悦を隠しもせずに唇を吊り上げる。
 オレンジ色の髪で縛り上げた郁美は、手を離せば、その瞬間から絞首刑の状態にすることができた。完全に宙吊りとなるため、虜囚の女子大生は首に巻き付いた髪に己の全体重を預けることとなるのだ。
 人質の意味がなくなるため、敢えて縛姫は郁美が死なないようにしていた。
 
「私にとってはッ・・・お姉ちゃんは、たったひとりの肉親なのッ!! オメガヴィーナスである前に、大好きなお姉ちゃんなのッ!! お願いッ、お願いですッ!! 私から・・・もう家族を奪わないでッ・・・!!」

「憎ッたらしい小娘のくせに・・・可愛らしいところもあるじゃないか! でもねぇ、お前がそんな心配をすることはないよ、四乃宮郁美。この無情な世の中に、お前をたったひとり残すなんて、しやしない」

 縛姫の口調に、郁美のあらゆる細胞は戦慄した。
 聞き取ってしまった。縛姫の言葉の裏側にある・・・悪意に。
 天音と郁美。四乃宮家の姉妹に対する、猛烈なまでの、〝妄執”の憎悪に。
 
「オメガヴィーナスは終わったんだ・・・お前を生かす必要は、もうないからねぇ・・・ッ!! 骸頭との約束通り、お前は私の手で殺してやるよッ、オメガヴィーナスの妹ッ!! 死ね、郁美ッ!!」

 郁美を支えた両手を、哄笑する女妖魔が離す。
 
 ドオオオオオッッ・・・――ッ!!!
 
 その瞬間、落下の音色はやけに大きく、暗い教会に響き渡った。
 両腕ごと胴をオレンジ髪でぐるぐると巻かれた女子大生は、抵抗不能な状態で首吊り刑に処せられた。
 細く、白い咽喉に、縄のように束ねられた髪が食い込む。気道と脛骨を圧迫していく。
 
「ぐうう”う”ぅ”ッ――ッ!!! うぐぅ”ッ・・・!! ぐッ、ぶぅ”ッ・・・!!!」

「ホホホホッ!! 五月蠅い小娘がようやく静かになったわァッ・・・!! ただの人間であるお前は、あと数分も生きられないわねェッ!! 姉妹揃って仲良く天国に旅立つといいわァッ~~ッ!!」

 首の骨が、メキメキと音を立てる。脳に運ばれる血流が、途絶えていく。
 窒息の苦しみに、青のケープを背負った乙女は悶絶した。絞首刑による心肺停止は、早くて1~2分。完全な窒息死は長くて10分と言われている。そのわずかな時間が、郁美に残された命の刻限となる。
 
(・・・・・・い・・・く・・・・・・み・・・・・・っ・・・! ・・・・・・い、く・・・・・・)

「グププっ、ゲヒヒヒヒィっ~~!! ・・・ほぉら、天音ちゃ~~ん・・・今度はお前の番だよぉ~~・・・!! 全身引き裂いて・・・殺してあげるねぇ~~っ!!」

 片手で持ち上げたオメガヴィーナスの肢体を、呪露はゴミのように投げ捨てた。
 
 前のめりに、倒れていく。
 血も、貞操も、勝利も、ヒロインの象徴も、全て失った光の女神が、ゆっくりと傾き、床に迫っていく。
 首を吊られた、妹の目の前で。
 今、命すらも失おうとしている天音が、ブザマに地に這おうとしている。
 
(・・・・・・っ・・・郁・・・ッ・・・・・・美・・・・・・ッ・・・!!)

 最期の瞬間、天音の脳裏に蘇ったのは、4年半前の出来事だった。
 山林地帯の奥深く。『征門二十七家』が集められた洋館。
 そう、それは・・・四乃宮天音が、オメガヴィーナスに選ばれた夜の記憶だった。

「四乃宮家の長女・天音。光属性のオメガストーンとの適合率は、基準設定値を越える・・・確かに報告書にはそのように記載してあるな。歴代のオメガスレイヤーと比べても、優秀な数値であるのは間違いない」

 最上階の一室に呼び出された天音の前には、5人の男たちが豪奢なソファーに腰を下ろしていた。
 いずれも老人と呼んで差し支えない年齢に見える。『水辺の者』の最高評議機関である『五大老』。ウワサに聞く彼らに、天音が直接まみえたのは、この時が初めてのことだった。
 声を掛けてきた中央の男・・・やけに眼光鋭い、恰幅のいい老人が、オメガフェニックスである凛香の祖父、甲斐家の当主と知ったのは後の話だ。
 
「四乃宮の家を代表して私がオメガスレイヤーに推挙されることは・・・父母とも協議して決めたことです」

「だが、同じ報告書にはこのような記載もある。『次女・郁美の適合率は、長女の天音を上回る。66年前、現在の測定方法に変更して以来、過去最高の数値』、とな」

「郁美には、妖化屍のことも、『水辺の者』のことも、なにひとつ話していません。オメガスレイヤーの大役は、私が果たしてみせる覚悟です」

 返る言葉はなく、5人の男たちの周囲に、不穏な空気が一様に漂う。
 ツ・・・と天音の額を、冷たい汗が一筋流れた。
 沈黙のさなか、互いの腹を探り合っているのが、この時まだ大学生だった乙女にもわかった。『五大老』の勢力争いは、永田町や戦国乱世の武将も真っ青だとは、よく聞かされた話だった。最強のオメガスレイヤーを選ぼうという今、それぞれに複雑な思惑が絡むのは、無理からぬことだろう。
 
「なにを勝手に決めているのかね? 家族会議で決めるような、呑気な話題ではないのだぞ。数値が高いのなら、当然妹をオメガスレイヤーにする。貴様らの勝手な判断など許さん」

 やがてひとりの『五大老』が、吐き捨てるように言い放つ。
 『二十七家』のひとつ、多賀家の総帥というこの男は、ソファーがきしむほどでっぷりと太っていた。禿げ上がった頭が、脂のせいでギラギラと光っている。
 
「郁美とかいう妹も、館に来ているんだろう? とっとと連れてこい。貴様らはなにも考えず、我らの言う通りに動いていればいいんだ」

「ですが郁美は半人前で、とてもオメガスレイヤーを成し遂げられるような性格ではありません」

 天音は半分ウソをついた。未熟者であるのは確かなので、全てが偽りなわけでもない。
 
「勝ち気で負けず嫌いですが、感情に任せて突っ走ってしまう、危うい部分があります。目上の者に対して反抗的なところも、作戦遂行においてはマイナスに働く可能性が高いでしょう」

 姉の自分を「天音」呼ばわりする妹を思い出し、天音は苦笑しかけた。
 だが、今の過剰気味な逸話は、明らかに多賀という『五大老』の腰を引かせた。眉が曇り、いまにも舌打ちしそうな表情になっている。「目上に反抗的」というのが、よほどこの老人には気に入らないようだ。
 
「まーまー。いいんじゃねえの? おめえさんは、オメガスレイヤーになりたがってんだろう?」

 ひとりだけ年若く見える黒髪の男が、能天気とも捉えられそうな声をあげた。
 実際には他の『五大老』と変わらぬ世代であるこの老人が、聖司具馬の父に当たる人物であるとは、これも後に判明したことだ。
 
「はい。私が、オメガスレイヤーの重責を担うつもりです。いえ、担ってみせます」

「やる気があるのが一番だ。数値っつっても、妹とこのお嬢ちゃんとじゃ、そう変わらないんだろう? 甲斐のダンナ」

「・・・光属性のオメガスレイヤーは、他の者とは立場も存在意義も異なるぞ。その意味を、理解しているのであろうな」

 真っ直ぐに見つめてくる鋭い眼光を、天音は正面から受け止めた。
 妹の郁美は、郁美だけは、『水辺の者』と妖化屍との争いに巻き込まない。それが父母と長年話し合い、導いた結論だった。
 オメガスレイヤーになるということは、人生の全てを妖化屍との命のやり取りに捧げるという意味である。それは逃げることのできない、憎しみと闘いの連鎖。
 まして最強と言われる光属性のオメガスレイヤーともなれば、その存在自体が全ての妖化屍の畏怖と憎悪の対象だった。生きているだけで恐ろしく、恨めしい存在。同時に、何とかして殺せないか、渇望される存在。
 
 姉妹のうちひとりは。せめてひとりは、幸せになってもいいのではないか。
 それが天音の両親が抱いた、普通の家庭ならば、ごく些細な願いだった。
 そしてふたりのうちひとりならば・・・姉の私が犠牲になる。
 物心ついた時には、天音の胸には、悲愴な決意は完成していた。
 
「私は・・・・・・負けません」

 静かに、しかしハッキリと。
 『五大老』全員の胸に響き渡るように、天音は宣言した。
 
「私は、負けません。絶対に。必ず。光のオメガスレイヤーとしての務めを、果たしてみせます」

 無理を通してオメガヴィーナスになった天音は、負けることなど許されなかった。
 そして、天音が負けるということは。
 即ち、郁美の出番が・・・・・・郁美がオメガスレイヤーになる日が、やってくるということ。
 
「・・・・・・・・・オメガ・・・ヴィーナス・・・・・・は・・・・・・ッ・・・・・・!!」

 倒れゆく瀕死の光女神が、かすかに漏らしたつぶやき。
 勝利と天音の死を確信している六道妖のなかに、その声を聞き取る者はいなかった。
 
「・・・・・・負け・・・・・・ないッ・・・・・・!!!」

 オメガヴィーナスは、負けない。
 負けるわけにはいかなかった。負ければ郁美が、闘いの渦に呑み込まれる。父と母に託された妹が、妖魔との前線に駆り出される。
 どんな苛烈な目にあっても。諦めそうな境遇に陥っても。天音は自分に言い聞かせ、立ち上がり続けた。オメガヴィーナスは負けない、負けることは許されないのだと。
 
(ッ・・・・・・でも・・・ッ!! ・・・私、は・・・・・・負け・・・・・・た・・・ッ・・・!!)

 自身の敗北を認めなければならない瞬間が、ついに天音の身に訪れた。
 現実は、冷酷だった。死期が近いのは、誰よりも天音がわかっている。そしてなにより、守るべき郁美が、目の前で絞首刑にされて死を迎えんとしている。
 
 オメガヴィーナスが六道妖に勝つのは、もう不可能だ。
 郁美を妖化屍との闘いから遠ざける願いは、虚しく砕け散った。これが現実だった。両親と天音の祈りは通じず、必死な願いは叶わなかった。
 
 ならば。
 ならば、今の天音に、できることは。
 
(・・・郁ッ・・・美ィッ・・・!! ・・・せめ、て・・・ッ・・・あなた、だけ・・・は・・・ッ!! ・・・死なせ・・・ないッ・・・!!!)

 あれほど与えたくはなかった、関わらせたくなどなかった、光属性のオメガ粒子。
 だが、絞首刑の郁美を救うためには、オメガ粒子を託すしかなかった。天音をオメガヴィーナスたらしめていた、光属性のオメガ粒子を。
 
 ダアァァッッンンンッ!!!
 
 暗雲を切り裂くがごとき、雷鳴にも似た轟音。
 その音色は教会の床で湧いていた。血と体液にまみれたオメガヴィーナスが、突っ伏すはずだった床。
 
 信じられぬ光景を、〝百識”の骸頭は見た。
 もはや動けぬはずだった天音が、左脚を踏み出している。倒れんとした我が身を、支えるために。
 
 バカな。瞬時に思った。ズタボロのオメガヴィーナスが、自力で立てるはずなどないのに。
 バカか。次の瞬間には思った。儂はなんと、学習能力のない愚か者かと。〝百識”などと聞いて呆れる。
 
 四乃宮天音のバケモノじみた精神力は、これまでさんざん見せつけられてきたではないか。
 
「いッ!! くッ!! みィ”ィ”ぃ”ッ~~~ッ!!!」

 吼えた。
 鮮血に濡れた白銀の光女神が、獣のように咆哮した。
 
「ウアアアアアアア”ア”ア”ァァァ”ァ”ァ”ッ――――ッッ!!!! ア”ァ”ア”ァ”ア”ァ”ッ!!!!」

 今更なにができる!?
 己に言い聞かせる骸頭の眼に、全身の毛が逆立つような光景が映る。
 
 オメガヴィーナスは、最後の力を振り絞って、右腕を突き出していた。宙吊りの、妹に向かって。
 その、掌のなか。
 首から提げられていた黄金のロザリオ・・・オメガ粒子を貯蔵するオメガストーンが、震える右手に確かに握られていた。
 
「なんッッ・・・じゃとオオオォォッ―――ッ!!?」

 そこに残っていたのか、光属性のオメガ粒子。
 天音の体内には、もはやオメガ粒子は残っていない。だからこそ、油断していた。安心していた。十字架型のアクセサリーに、常からオメガ粒子が内包されていることも忘れて。
 
 なにをする気じゃ!? 訊かなくともわかる。金色のオメガストーンを、天音は郁美に投げつけようとしていた。
 窒息死寸前の郁美を、助けるために。そして。
 オメガヴィーナスの遺志を、妹に継ぐために。
 
「やァめェッるんッ・・・じゃああああアアアァッ~~~ッ!!!」

 虚を突かれていた。
 オメガ粒子を体内から消された乙女が、凌辱の限りを尽くされ、無惨に肉を抉られたのだ。まだ動けるなど、誰が予想しよう。生きているのが不思議なほどなのだ。
 
 右腕を精一杯伸ばし、手の中のロザリオを天音は投げる。投げようとする。
 それがオメガヴィーナスに・・・四乃宮天音にできる、最後の抵抗だった。
 
 ザグゥゥンンンッッ!!!
 
 乾いた切断の音色が響いて、赤い血が舞った。
 
「ッッ・・・・・・ア”・・・・・・ッ・・・・・・!!」

 肩口から斬られた己の右腕を、霞む意識のなかで、天音は見詰めた。
 ボトリと、ロザリオを握った右腕が床に落ちる。まぎれもなくそのしなやかな腕は、オメガヴィーナスの右腕に間違いなかった。
 
「残念だったな。オメガヴィーナス」

 紫水晶の剣を握った〝無双”の虎狼が、感情のない声で呟いた。
 紫に輝く刀身が、紅に濡れている。
 ただひとり、天音の強さを骨身に知る武人は、油断することなく光女神の動向を見詰め続けていた。
 
「さらばだ。貴様の右腕は・・・このオレが貰っていく」

 友への惜別にも似た声だと、思ったのは天音の勘違いだっただろうか。
 右肩の断面から噴き出す血潮を、呆然と眺めながらオメガヴィーナスは立ち尽くした。
 右眼も右腕も失った光女神は、もはや痛みすら感じていなかった。ただ、涙が溢れだす。残った左の瞳から、滂沱のごとく流れる雫。
 
 全ての願いが叶わなかった事実を、天音は悟った。
 オメガヴィーナスは完敗を喫したのだ。あらゆる希望は絶たれ・・・美しき破妖師は、六道妖の思うがままに破滅の刻を迎える。
 
「これでッ!! 今度こそッ!! ヌシの希望は跡形もなく消し去ったわァッ、オメガヴィーナスぅッ――ッ!!」

 アンチ・オメガ・ウイルスの詰まったレーザーキャノンの砲口を、骸頭は床に転がった黄金のロザリオに向ける。
 緑の閃光が放射され、十字架型のオメガストーンに浴びせられた。ジュウジュウと黒煙が立ち昇る。
 煙が消えてからも、さらに骸頭は〝オーヴ”の光線を照射続けた。ロザリオからも、完全に光属性のオメガ粒子が消滅するまで。
 
 郁美に託すはずのオメガ粒子は、天音の体内からも、オメガストーンからも、滅菌されてしまった。
 もう妹を、光属性の、最強のオメガスレイヤーにすることなどできない。己が最後の光女神になったことを、天音は悟った。
 
「ぶぐッ!! ごぶう”う”ぅ”ッ・・・!! ンア”ッ、ア”ッ・・・!!!」

 窒息の苦痛に、白い泡を吹きながら、ビグビグと痙攣する絞首刑の女子大生。
 悶絶する郁美を、助ける力は天音にはなかった。
 互いの死を見届ける・・・ふたりにとってもっとも残酷な仕打ちのなか、美しき姉妹に最期の瞬間が迫る。
 
「殺せッ!! 殺せッ!! 殺すんじゃあああッ――ッ!!! このバケモノをッ・・・オメガヴィーナスを、二度と動けぬようバラバラにしてしまえィッ!!」

 怒号とも、咆哮ともつかぬ狂乱の叫びが、教会全体をグラグラと揺り動かした。
 〝骸憑”の啄喰が、第一に殺到した。巨大な黄色の嘴で、正面から光女神の左の太ももを突き刺す。
 すでに普通の人間と変わらぬ脆さになっている天音の肉体は、容易く鳥獣の刺突に貫かれた。青のフレアミニから生えた左脚に、拳ほどの穴が貫通する。
 
 左の腕には、天井から縛姫のオレンジ髪が巻き付いていく。
 同時に右脚、すでに開けられている穴には、泥の塊が流れ込む。〝流塵”の呪露の仕業だった。大量の灰色のヘドロが、オメガヴィーナスの右脚をコンクリで固めたようにガッチリと包む。
 
「ゲギョッ!! グギョロロロッ!! ロロロォォッ――ッ!!!」

「ホホホホッ!! やっとこの潰れた顔の恨みを晴らせるわッ!! 姉妹揃って息絶えるがいいッ!!」

「ゲヒヒヒィッ――ッ!! ・・・オメガヴィーナスぅ~~っ・・・!! いい声で鳴いてくれよぉ~~・・・女神さまの八つ裂き刑だぜぇ~~っ・・・!!」

 縛姫が左腕を上方に。呪露と啄喰が、左右の脚を下に向かって。
 タイミングを合わせ、一斉に力が込められる。脆くなったオメガヴィーナスの腕と脚とを、強烈に引き伸ばす。
 
「ウアア”ア”ッ・・・!!! ガアア”ッ!! ハァ”ウ”ッ!!? ・・・ウア”ア”アアアア”ア”ア”ッ~~~ッ!!!」

 ブジイ”ッ!!! ブチブチブチィ”ッ!! ビリイィ”ィ”ッ―――ッ!!!
 
 天音の左腕は、肩の関節ごと引き抜かれ、左右の脚は貫かれた太もも部分から、肉を引き裂かれて千切り取られた。
 四肢を失ったオメガヴィーナスの胴体が、ゴトンッ、と床に落下する。
 ブシュブシュと鮮血の飛沫を撒き散らして、両手足のない光女神が、教会の床を転がる。美貌と抜群のスタイルを持つスーパーヒロインが、陸に揚げられた魚のようにバタバタと跳ね踊る。
 
「あーっはっはっはっ!! ダルマみたいになっちゃったね、カワイイお姉ちゃんっ!! 今の姿が一番キレイだよっ!!」

 白目を剥き、ブクブクと泡と涎を垂れ流し、痙攣し続けるオメガヴィーナス。
 ドクドクと、切断された四肢の断面から血を流す天音の胴体を、〝覇王”絶斗は幼子を「たかいたかい」するように両手で持ち上げた。
 
「ハア”ァ”ッ・・・!! グゥ”ッ・・・!! ェ”ア”ッ・・・ア”ァ”ッ・・・!!」
 
「さ、あとはボクと骸頭のオジサンとで・・・トドメを刺すだけだね。さようなら、オメガヴィーナスのお姉ちゃん」

 少年妖魔の口腔内で、コロリと天音の眼球が音をたてた。
 虎狼から紫水晶の剣を譲り受けた骸頭が、ゆっくりとオメガヴィーナスの背後から近付いていく。
 
 薄れゆく意識のなかで、郁美の網膜に、天音の最期の瞬間が焼き付かれようとしていた。
 もはや、奇跡でも起こらない限り、オメガヴィーナスの死は避けられそうになかった。
 奇跡でも起こらない限り―――。
 
 
 
 12、そしてゼロへ
 
 
 パリィンンッ・・・・・・!!
 
 突然鳴り響いた音は、祭壇の上方。正面の壁に張られた、ステンドグラスの割れるものだった。
 色鮮やかな、ガラスの破片が降り注ぐ。
 処刑場と化した教会堂に飛び込んできたものは、鮮やかな黄色のケープを翻したポニーテールの少女だった。
 
「うおおおおおッ――ッ!!!」

「ッ!! 萌黄の風天使・オメガカルラかッ!?」

 上空約15m。見上げる〝百識”の脳内にあるデータベースのなかから、風属性のオメガスレイヤーの名が引き出されていた。
 小柄な体型。まさに上から目線といった表現がピッタリな、勝ち気な表情。ケープと同じ色で統一された、スーツとフレアミニ。そして、胸の中央に輝く『Ω』の紋章。
 突如乱入した少女の正体が、究極の破妖師のひとりであることは間違いなかった。
 
「天音ッ――ッ!! 今、アリサが助けるからッ!!」
 
 オメガカルラこと、四方堂亜梨沙の切れ上がった瞳は、一瞬にして眼下の状況を把握する。
 ほぼ真下に祭壇がある。遠目からでも端正な顔立ちがわかる、ふたりの女性がおぞましき妖魔どもに囲まれていた。ひとりは首を吊られて。もうひとりは、小学生くらいと思しき男児に胴体を持ち上げられて。
 
 プラチナブロンドだったセミロングの髪が真っ赤に染まっていても、少年妖魔に掲げられたのはオメガヴィーナスだとすぐにわかった。
 白銀の光女神と称された最強のオメガスレイヤーは、その四肢を無惨に切断されていた。
 
「ッッ!! お前らァッ・・・天音になにしたのぉッ――ッ!!?」
 
「啄喰ッ――ッ!! その小娘を止めるんじゃああッ!!」

 宙を舞うオメガカルラと、地上で身構える地獄妖が叫ぶのは同時であった。
 
 ブゥウオオンッ!!
 
 衝撃波が唸る。ポニーテールをなびかせる少女に、黒い翼を持つ巨鳥が急上昇して突っ込んでいた。
 空中に浮いた黄色の破妖師は、重力に身を任せるしかない。自由に動くことは不可能だった。まして畜生妖・〝骸憑”の啄喰は、そのスピードにおいて六道妖でも1、2を争う。
 鋭利な黄色の嘴は、自然落下するカルラの眼前に、一瞬で迫っていた。
 
 ザグウゥンンッ!!
 
 肉を斬りつける音色が響き、教会の天井に鮮血が飛び散った。
 
「グギャアアッ!! ギョロロロッ――ッ!!」

 甲高い鳴き声を迸らせたのは、巨大なカラスの方だった。
 羽毛の隙間から覗く爛れた皮膚に、和紙をカッターで切ったような、パクリと裂けた傷口が3本走っている。
 黒い羽根を撒き散らして、喚く啄喰が距離を置く。怒り以上に危険を報せる警告が、小さな黄色の風天使に対して発動していた。
 
「ビックリする速さだけどさ・・・アリサの身体に簡単にさわれると思わないでよね。ケダモノのくせに」

 タン、と軽やかに無傷の少女は祭壇の上に着地した。
 黄色のケープが、強風に煽られているかのように、バサバサと浮き上がっている。
 
「ぐぅッ・・・!! 旋風を・・・纏わせておるんじゃなッ!? バリアのごとく肉体の周囲にッ・・・」

「よく気付いたじゃない。風自体は見えないのにね。無闇にアリサに近付くと、ケガ程度じゃ済まないわよ」

 口調は軽くても、カルラの瞳に宿った炎は激しかった。
 四肢を奪われ、血祭りにあげられたオメガヴィーナスと、絞首刑の状態で痙攣する妹の郁美。
 四乃宮家の姉妹に下された、あまりに残酷な仕打ちに、黄色のスーツに包まれた両肩がブルブルと震える。
 
「許せない」

 くっきりとした二重の下にある吊り目が、赤く充血していた。
 
「あんたたち6人が・・・六道妖ね。天音たちにこんな酷いことをして・・・生きてここから出られると、思ってんの?」

「あはは、なんかすげー自信満々なお姉ちゃんが出てきたね」

 360度捻じられたオメガヴィーナスの腰を両手で掴み、高々と頭上にあげた少年の妖化屍がケラケラと笑う。
 外見は小学生のようでも、危険な存在であることは直感的にカルラにはわかった。目の前で子犬が車に轢かれそうになっていたら、踏み潰される様子をニタニタと眺める。そんな濁った眼をしていた。
 怪老。武人。巨鳥。泥の塊。顔の潰れた女。揃いも揃って不気味な容姿の6体のなかでも、この子供が一番厄介な相手かもしれない。
 
「生きてここから出られないのは・・・お前の方じゃないの、黄色のお姉ちゃん?」

「いや、貴様ら六道妖の方だ」

 新たな声が、教会の正面扉へと続く、通路の奥から流れる。
 カルラがステンドグラスを割って飛び込むのと同時に、忍び込んだのだろう。
 漆黒のスーツに身を包んだ青年が、妖魔と破妖師とが対峙する礼拝堂へと姿を現した。
 
「・・・ヌシはセイレーンの始末を邪魔した・・・あの時の小僧じゃな?」

「あの時は、最初から本気を出さなかったことを心底後悔した」

 黒のネクタイの結び目を、聖司具馬は歩きながら緩める。
 妖化屍の前に現れた人間、それは猛獣の前に吊るされた生肉も同然のはずだった。ただの餌食。仮にオメガヴィーナスを救いに来たというのならば、呆れるを通り越して嗤うしかない哀しきジョーク。
 
 だが、カルラが絶斗の危険を察したように、6体の妖化屍も一斉に悟っていた。
 この男は、危険だ。ただの『水辺の者』と思ってはいけない。
 少なくとも、妖化屍の巣窟に足を踏み入れるだけの資格はあるとみてよかった。
 
「天音も、郁美も・・・返してもらう。邪魔するヤツは、全員殺す」

 シンプルな、しかし明確に断言する台詞だった。
 普段なら無謀すぎる『人間』の宣告に、六道妖は逆上したことだろう。妖化屍のなかでも選び抜かれた自分たちを殺すなど、戯言にしても度が過ぎている。
 
 だが・・・萌黄の風天使とこの男、ふたりを相手に疲弊した六道妖が確実に勝利できるかといえば・・・
 
「3体、だ」

 骸頭の脳内を読み切ったように、黒スーツの『水辺の者』が代わりに正解を与えた。
 
「オレとカルラはお前たちのうち、3名は道連れにできる。あるいはうまくいけば、もうひとり。そのなかのひとりに、貴様が入らない保証はないぞ、骸頭」

「・・・道連れというからには、ヌシらも死ぬのではないか?」

「天音のために死ぬのなら、惜しい命ではない」

 かつての自分なら有り得ない台詞を、躊躇いなく司具馬は口にしていた。
 命より大事なものはなかったし、自分より大切なものはなかった。人を信じるなど、愚の骨頂だ。そうやって長年、彼は生きてきたのだ。
 天音と知り合い、かけがえのないものというのが世の中にあることを、司具馬は知った。
 四乃宮天音のために死ぬ、それは偽りない彼の本望だった。オメガヴィーナスがどんな姿になろうとも、どんな凄惨な目に遭おうとも、天音が生きてさえいれば他はなにを失っても構わなかった。
 
 視線の先。祭壇の上に囚われたオメガヴィーナスは、両腕も両脚も千切り取られていた。
 子供に見える妖化屍・絶斗が掴んだ腰は、雑巾のように捻じりが入っている。なかの骨も臓器も、損傷は計り知れないだろう。ウエストがくびれているだけに凄惨さが際立つ。
 右胸も抉られている。右目も空洞になっていた。シルクのように輝いていた白銀のスーツは、沈む夕陽よりも鮮烈な緋色に染め抜かれている。
 
 涙は出なかった。とっくの昔に、そんなものは枯れていた。
 だからこそ、良かった。無惨に変わり果てた天音を前に、泣き崩れずに済んだから。
 どんなに哀しくても、泣いている暇などないのだ。
 
「・・・ひどい姿になっちまったな。天音」

 咽喉の奥で呟く声が、危うく裏返りかけた。
 泣くわけがない。このオレが、泣くはずがなかった。
 そう自分に言い聞かせ、司具馬は天音にだけ聞こえることを祈って、次の台詞を囁いた。
 
「ようやく、会えたな。約束通り・・・君に結婚を申し込むよ」
 
 生きてさえ、いてくれればいい。
 オメガヴィーナスは消滅したとしても・・・四乃宮天音が生きてさえいれば、聖司具馬はそれでよかった。
 
「儂らにここを退け、と言いたいようじゃな、小僧。ヌシらと一戦交えても、得策ではない、と」

「オメガヴィーナスはもう闘えない。貴様らの狙いは、すでに成就しているのではないのか?」

「ふむ。確かに光属性のオメガ粒子は殲滅した。ヌシの話は一理あるのう」

 司具馬と骸頭の会話を、オメガカルラも、残る六道妖も固唾を飲んで見守った。
 話し合いの結果によって、この場にいる誰かが死に、誰かが生き残る。それぞれの運命が、次の刹那には決定するかもしれない。
 ゴブゴブッ、とオレンジの髪に首を吊られた郁美が、白い泡を吹き出す。窒息により死の瞬間が、確実に迫っていた。瞳を裏返し、ビクビクと断末魔に震える郁美。むろん彼女を助けるのも、司具馬やカルラの重要な目的だ。
 
 時間がなかった。退くか、闘うか? 
 骸頭の返答が遅くなれば、必然的にオメガカルラと聖司具馬は、姉妹の奪還目指して突撃することになる。
 
「あのさ。燃え上がってるところ、悪いんだけど」

 オメガヴィーナスの胴体を掲げたままの絶斗が、おかっぱ頭の下で糸のように眼を細める。
 ころり、と口の内で大きな飴玉のようなものを転がす。司具馬の細胞が、ざわめいた。悪寒。隠れ蓑を持って潜んでいた悪意が、一斉に顔を出して周囲の空間から現れた。
 
「そんな交渉、やっても意味ないと思うよー」

「・・・ッ・・・それはどういう」

「オメガヴィーナスのお姉ちゃん、もう死んでるぜ」

 その瞬間、〝覇王”絶斗の両手が、すでに常人と変わらなくなっている天音の胴体をさらに捻じり回した。
 
 ブチブヂブヂイ”イ”ィ”ィ”ッ!!!
 
 くびれたウエストの部分で、オメガヴィーナスの上半身と下半身が、ふたつに分離する。
 離れていく、ボディスーツとフレアミニのスカート。背骨の白色と糸のように細くなった贓物のピンク色が、両者の間をわずかに繋げる。
 ブチンッ、と切断の音がして、最後に残った橋すらも簡単に千切れた。
 オメガヴィーナスの胴体は、上と下とに永遠に分かれることとなった。
 
「ッッ・・・天ァッッッ!!!」

「残念だったのう。ヌシら、少し遅かったようじゃ」

 落下しかけた上半身を、骸頭の皺だらけの両手が掴んだ。フレアミニを履いた下半身は、天妖・絶斗が大事そうに抱え込む。
 
「あははははッ!! やっぱりもらってくなら、大事なココがあるお腹だよね!」

 左右の太ももの間。元は紺青だったミニのスカートを、少年の手が捲り上げる。
 ベロベロと、小さな舌が股間の秘裂を舐め上げた。
 アンスコの生地越しに、ヒクヒクと天音の陰唇が震えるのがわかる。もはや下半身は、脳髄とは切り離れているはずなのに。女の器官、それ自体が、与えられる随喜に反応しているようだった。
 
 捻じり切られた胴の切断面から、ボロキレのように垂れ落ちているのは、天音の小腸だった。中央で飛び出た背骨が磨かれたように白く美しい。
 長い睫毛を固く閉じ、紫色の唇も閉ざした天音は、眠っているかのようだった。紙のように真っ白な顔。その美貌がわずかにも変わらなかったことが、オメガヴィーナスの命脈がすでに途絶えていたことを証明する。
 
 奇跡など、起こらなかった。
 起こるはずのない出来事だから、奇跡。オメガヴィーナスの死を悲願とする六道妖は、万が一の奇跡も封じるために、着実なトドメをとうに刺していた。
 
「返したくとも、オメガヴィーナスの処刑は終わった後じゃわ」

 沈黙する光女神の頭部・・・鮮血に染まったセミロングの髪を、骸頭の右手が鷲掴む。
 ピッ・・・と首筋に、朱色の線が真横に走った。
 オメガヴィーナスの胴体が落ちていく。首から上、女神の名に相応しき秀麗な美貌だけを残して。
 
 紫水晶の剣によって、オメガヴィーナスの首は切断済みだった。
 もの言わぬ、天音の頭部だけが、地獄妖・骸頭の掌の内に収まった。
 
 ドシャアアアッ・・・・・・!!
 
 首も、両腕も、腰から下もない、血濡れたスーツに包まれた胸部のみが、祭壇の床に転がる。
 『Ω』の紋章を切り取られ、穴の開いた右胸と、いまだ形の崩れぬ左の美乳を露出させた姿が、オメガヴィーナスの惨死を雄弁に物語るかのようだった。
 
「ウオオオオオ”オ”ォ”ォ”ァ”ア”ア”ア”アアッ―――ッ!!!」

 魂の潰れるような絶叫が、教会堂を揺るがした。
 悲鳴なのか、怒号なのか、咆哮なのか、そのどれでもないのかわからなかった。司具馬が放ったのか、オメガカルラが叫んだのか、あるいは六道妖が吼えたのかも。
 聞く者の魂が、擦り減るような叫びがこの世にあるのを、薄れゆく意識のなかで郁美は知った。
 
 死んでいく。間もなく私も死んでいく。
 
 激情と激情が、ぶつかりあっているのが、いまわの際でも伝わってきた。誰かと誰かが闘っているのだろう。深い悲しみが喧騒のさなかに混ざっている。
 
 地獄だと思った。
 まさに死が迫らんとする渦中で、郁美は漆黒の空に押し潰されるような絶望に陥った。己の死が、豆粒に思えるほどの絶望だった。この狂おしいまでの哀しみを背負って、私は生きていくことなど到底できない――。
 
 オメガヴィーナスは死んだ。姉の天音は、壮絶すぎる最期を遂げた。
 
 バラバラと全身の細胞がほどけていくような悲痛に叩きのめされ、郁美は自らも死ぬことを覚悟した。
 視界が暗く閉ざされる。もう、カルラや司具馬の絶叫も、郁美の耳には届かなかった。
 全ての感覚が消え失せる。
 一筋の涙が、美しき女子大生の頬を流れ落ちたとき―――。
 
 深い虚無が訪れて・・・・・・四乃宮郁美の心臓は、動くことをやめた。
 
 
 
 全てが終わった後、駆けつけた『水辺の者』が回収できたオメガヴィーナスの遺体は、乳房をさらけだした胴体部分だけであった。
 
 腰から下の下腹部を含め、頭部や四肢は、六道妖に持ち去られていた。彼ら妖化屍にとって、最強のオメガスレイヤーと呼ばれた光女神の肉体の一部は、なによりの勲章となることだろう。
 
 オメガヴィーナス=四乃宮天音の敗死は、ただひとりの優秀な破妖師が消滅した、という意味に留まらなかった。オメガスレイヤーとは、あらゆる妖化屍の手に届かぬ脅威だったのだ。その頂点に君臨する最強の戦士が敗れたことは、覆らぬはずの食物連鎖に逆転が生じたことを意味する。
 
 事実、アンチ・オメガ・ウイルス=〝オーヴ”と、紫水晶の効果を知った妖化屍たちにとって、もはやオメガスレイヤーは絶対に敵わぬ天敵ではなくなった。
 
 オメガヴィーナスを処刑した六道妖は、ますますその勢力を妖魔の間に広め、一方で残る『水辺の者』に対する反攻は激しさを増すこととなった。
 
 人々がなにも知らぬ間に、死者たちによる侵攻が、ガン細胞のごとくじわじわと、生ける世界を蝕んでいった。
 
 
 
 そうして時計の針は、さらに時を刻む。
 
 四乃宮天音がオメガヴィーナスとなってから、5年後。六道妖の手に散って、半年後の世界。
 
 カウントゼロ。
 オメガヴィーナスの物語は終わり、新たな物語が始まろうとしていた―――。
 
 
 
 《 『オメガスレイヤーズ ~カウント5~ 』   完 》
 
 
 
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| オメガスレイヤーズ | 01:41 | トラックバック:0コメント:10
コメント
思った以上に長くなってしまった前日譚「カウント5」もいよいよ完結となりました。いつでも、どんな作品でもそうですが、ひとつの作品を終わらせる時の達成感と充実感は特別なものがあります。

特に今回は立ち位置としても特殊な作品なので・・・複雑な心境もありますが、完結を迎えたことには嬉しさがありますね。
最後までお付き合い頂いたみなさん、ありがとうございました。改めて深い感謝を申し上げます。
とりあえず、詳しい感想などはまたいつかということで・・・

「最終話 カウントゼロ。始まりの終わり」、完結分をお楽しみいただければ幸いです。
次回からはようやく(^^ゞ、本編に突入する予定です。
2016.07.09 Sat 01:43 | URL | 草宗
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016.07.10 Sun 14:46 | |
さようなら、そしてありがとう
第一部完成おめでとうございます。
楽しませていただきますた。
まさかの壮絶なバッドエンディングに呆然としてしまいましたが、本編ではこれ以上の仁義なきプレイが起こるとですか!?
第二部でサイボーグ天音ちゃんがどんな活躍をしてくれるのか期待しています。
2016.07.11 Mon 00:57 | URL | ニックジャガビー
>コメントくださった方
15年来ものファンとまで仰っていただき・・・本当にありがとうございます。こうして長く活動できているのも、源泉は喜んでくださる方々の声であったり、反応だったりしますので、改めて感謝感謝です。

ちらちらとこれまでにも言ってきたことなんですが、ボク自身は最後に逆転する、というのが基本姿勢だったりしまして。エンターテインメントの作品はそうあるべき、という考えが根強くあるのですが、確かに「ネット作品くらいは救いようのない正義の敗北があってもいい」「逆転勝利はどこにでもある」「ハッピーエンドだと商業作品の延長」というお言葉の数々には、唸らされるものがありました。

恐らく商業作品では、ホントに救いようのない作品は出版社のOKが出ない可能性が高いですよね。CLAMPさんが昔描いていた「X」というマンガは、続編がなんらかの事情で出ないことで有名ですけど、世界の破滅だとか公序良俗に反するような結末になっていると噂されてますもんね。

そういう意味では、救いようのない完全敗北はネット小説でしか表現できないものかもしれませんね。
ボクとしては「大ピンチ→負ける=普通じゃん(-_-;)」「大ピンチ→勝つ=おお、難しいことに挑戦してるじゃん(*´▽`*)」みたいな感覚があったのですが・・・もしかしたら、救いようのない完全敗北を描くのは、今の立場でしかできない、凄いことなんじゃないかと思えてきました(単純ですね、我ながらw)

実際にバッドエンド作品ならば購入したい、という声は他の方からも頂戴していますが・・・売り上げうんぬんの問題ではなく、それだけ求められている、というのは作り手としては感無量と申しますか、やりがいを感じますね。

他にもやりたいことがたくさんあるので、今すぐにどうこうとは気軽に断言できませんが(求めている方の絶対数が少ないようなら、また変わってきますし・・・)、ひとつの方向性として新たな扉を示していただけた気がします。ありがとうございました。
とりあえず、今回やったことに意味はあったようで、よかったです(*´▽`*)


2016.07.11 Mon 01:04 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
最後の結末について、今回は思い切ったことをしましたので、否定的な意見も多くあるのを覚悟していたんですが・・・
予想を遥かに上回って(;^ω^)、肯定派、待ち望んでいた、という方が多くてビビッていますw 喜びつつ、ビビっているというw(もちろん、否定的な意見もいただいておりますが)

しかし、苦しみ方という点では、意外とあっさりだったかもしれないですね。やられている内容は、恐らくこれまでで一番凄惨なんですが、それゆえ描写はたんぱくにした面は確かにありますね。このあたりは表現方法の問題だと思うのですが、なかなか判断が難しいところです。

名場面にそれぞれのキャラを入れていただき、ありがとうございます(*´▽`*)
本編に登場するキャラもいますので、引き続き楽しんでいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします(^^ゞ
2016.07.11 Mon 01:13 | URL | 草宗
>ニックジャガビーさま
少しずつHNを変えてますねw
ヒロインの敗北は初めから決めていたんですが、どうせならいくところまでいってしまえと(^^ゞ
ちなみに「肉」ファンのニックジャガビーさんならお気付きかもしれませんが、天音の最期は某ミートくんのアレをオマージュしています(^^ゞ

残念ながら天音がサイボーグとして復活することはありませんが、サイボーグ作品はなんとかしないと・・・とずっと考えてはいたりします。
いやもうホントに、やりたいことが多過ぎるんですよ・・・
2016.07.11 Mon 01:21 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
濃密かつ詳細な感想コメントいただき、誠にありがとうございます。言葉で書くとチープな感じですが、本当に細かいところまで読んでいただき感無量です(*´▽`*)

こうしてアツイお言葉の数々(しかもウィットに富んでるw)をいただくと、このようなラストにしてよかったなーと思いますねw やっぱりたまにはバッドエンドも必要かなと。

>オメガカルラ
JKにもいろいろなタイプがいますが(当たり前ですけどw)、亜梨沙の場合は「ちっこい」というのがまず第一印象にありまして。風使いでもありますし、いかにも敏捷性に優れた容姿に特化された、って感じですね。

しかし指摘されるまで気付きませんでしたねえw 確かにポイントポイント見るとプリキュア・・・(;^ω^)
意識はしてませんでしたが、あながち間違ってもいないかも、です。闘う魔法少女ヒロインとしては、超メジャーな存在であるのは確かですし。
ボクが知ってるプリキュアのなかだと、サニーこと茜ちゃんにみせかけて、実は奏・・・が一番似ている気がしますw うまく言えませんが、内心の気の強さがちょうど同じくらいかと。

>絶斗さん
本当は六道妖のなかで、うまいこと目立つ場面を配分したかったんですが・・・書いていくと、どうしても骸頭のジジイとこの小僧が目立つんですよw
骸頭は実質的にはリーダーですから(強さはともかくとして)仕方ないんですが、絶斗は・・・やっぱり事実上、最強の妖化屍というのがデカイですね。虎狼も強いんですが、武人ならではの爽やかさみたいなものがあるので・・・

実際、彼に関してはもう本編での活躍というか、どんな役割をするのか決まってますしね。
子供の無邪気な残酷性が動機になっているキャラなので、書いていても動かしやすいですw
六道妖勢揃いポスターとかあったら、是非買いたいですね・・・ww

>気圧され
いやー、ありがとうございます(^^ゞ こういう部分は書いていて、大丈夫かな? とも思うところなんですが・・・ボクもこういう部分の積み重ねが重要と考えているので、疎かにしたくないところですね。

>眼ン玉ブッ刺し
ここはホント、一線を越えるか、迷ったところです(^^ゞ
書く前に知り合いの方に相談したくらいですからw 「いくとこまでやるべきでしょう」と言ってくれたおかげで、踏み切れましたw 今回のハードさは彼のおかげですw

畜生の啄喰はまさに行動が読めないのがキーとなってるキャラですねえ。コイツがいるおかげで、予想外の展開も生まれやすいかと思ってます。
ご指摘の通り、バードンの根源的恐怖が作り出したキャラであるのは間違いないですねえ~。

ここまでいくとヒク方もいるでしょうが、もう行き着くところまでやるつもりだったので・・・絶斗さんの飴玉コロコロに繋がっていきました。
しかし予想以上にみなさんのリョナ耐久度が強く、改めて恐れ入ってる次第ですw
2016.07.15 Fri 01:30 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方(続き)

>眼姦
これまた行き着くところまで・・・の境地で書いた部分ですね。やるならここまでやったれ、と。
順番に関しては、仰る通り、耳→目の方がインパクトあってよかったでしょうねえ。流れを変えるのがけっこうキツくて、そのままやっちゃいました・・・(-_-;)

脳姦はボクもちょっと・・・というところですが、ここらの線引きは個人任せですもんね。こればかりは、好みの問題として片づけるしかない気がします。
提示していただいたラインは、ボクもほとんど同じですよw
今回がボクのなかではMAXだと思いますね。普段できないことをやろうと思って、限界に挑戦しましたw

>ロザリオ
いやー、気付いてましたかw まあ気付きますよね、教会に来た最初の方で、ロザリオの力でパワーアップしてますし。むしろ六道妖の連中はなにボケーっとしてるんだ、というのは正しい感情かと思いますw

あーハイハイ、と思ってもらえた時点で、ボクとしてはやってよかった、という感じですw ボクの方こそやな奴ですが(^^ゞ

四肢欠損に関しても、ほとんどコメント主さまのライン引きと同じ感覚ですね。遺体としてそこまでの姿になっちゃうのはOK、というところでしょうか。
まあしかし、ヒロインに対してここまでやったというのは、改めて見ると凄まじいですね、我ながら(^^ゞ
もちろん後悔などしていませんがw

>結婚セリフ
この辺りの、細かい部分まで読み取ってもらえるのがありがたいです(*´▽`*)
定番中の定番といった死亡フラグだけに、回収しておかねばならなかったわけですが、わざとらしすぎるがゆえに、逆に死亡はないと思ってもらえないかな、と仕掛けました。

>屍姦
それぞれのパーツを誰が持っていくか? は悩んだんですが、パーツの重要度がそのままキャラの重要度になっている、という感じですね。
頭は骸頭、というのは決まっていたので、絶斗になるべくいいところをあげたくて・・・利用価値の高い下腹部になりました(^^ゞ

ちなみにDL作品だと、屍姦はおそらくストップかかるんですよね。おそらく、というか、以前に止められてますので確実なんですがw
そういう意味では、DL化するとこんなシーンは書けないので、悔いないようにこれも行くとこまで行ったつもりです。

>胸部だけ残る
はい、そうなんですw 想像してみると、全部奪われるより、こちらの方が残酷度があがる気がしまして。

丸々死体がなくなると、実感が沸きにくくなりそうですが、目の前に胴体だけが安置されていたら・・・イヤでも現実を見据えることになりそうで。

「カウント5」は完全バッドエンドといえますが、本編がどうなるかはこれから次第です。
とはいえ、最終的な結末はまだ決まっていませんが、ダークな作風になるのは間違いないので・・・それなりにバッドエンドぽいものを期待していただいてもいいかもしれませんw

本編が始まってからも、今後ともよろしくお願いします。
2016.07.15 Fri 01:57 | URL | 草宗
ロイヤル〜とワンペアが逆なような気がします
2016.07.16 Sat 02:18 | URL |
>コメントくださった方
あ、ありがとうございます・・・なんというミスを・・・ロイヤルストレートフラッシュがワンペアに勝つのは当たり前ですもんね(-_-;)
最近どうもボケることがあっていけません・・・

早速訂正しました。ご指摘、ありがとうございました。
2016.07.16 Sat 09:53 | URL | 草宗
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