巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

ウルトラレディ・レオナ&メリム①「誇り継ぐ者」前編 | main | コミケ終了&今年一年ありがとうございました。
オメガスレイヤーズ ~カウント5~ 「第二話 1年前。落日のプレリュード」⑤
 
 12、純潔
 
 
「絵里奈さんッ!!」

 青を基調とした照明と、その光を跳ね返す小型プールの水面。
 薄暗い『キャバクラ シーサイド』のフロアに飛び込んできたのは、上下黒のスーツに身を包んだ青年だった。『水辺の者』のひとり、聖司具馬。店で働くキャバ嬢やスタッフの安否を確認したあと、オメガスレイヤーのサポートを務める彼は、危険地域に戻ってきたのだ。
 本来ならば、破妖師の血族とはいえ常人に過ぎぬ彼らは、戦闘地に近づくべきではない。妖化屍相手の闘いでは、足手まといになるだけだからだ。
 だがこの日、司具馬は不吉な胸騒ぎを覚えていた。
 究極戦士のひとり、蒼碧の水天使オメガセイレーンが負けるはずはない。そうわかっていても、勘違いではすまされぬ悪寒を、拭い去ることができなかった。

 
「むう? 『水辺の者』か、小僧」

「セイレーンの危機を察知したのかい、ぼうや? だが少し・・・遅かったようだねェ」

 人妖へと格上げされた〝妄執”の縛姫が、高らかに笑い出す。
 その足元、緑に変色した、深さわずか50cmほどの邸内プール。
 濁った水の底に、オメガセイレーンこと藤村絵里奈は沈んでいた。
 
「なッ!?」

「ついさっきのことさ! そいつの口や鼻から、気泡があがらなくなったのはねェ! オメガセイレーンの肺は〝オーヴ”入りの水で満たされていることだろうよ!」

 青緑の水中に沈む水天使は、キレイだった。
 棺桶に収められたように、横たわっている。しなやかで長い手足は、ピクリとも動くことはない。
 長い睫毛が特徴的な、大きな瞳を開いたままだった。ストレートの茶髪が、水のなかでゆらゆらと漂っている。
 鮮やかな青のコスチュームに身を包んだ美女は、悠久の時に閉じ込められたかのように、水底で活動を停止していた。
 
「ご覧の通り。オメガセイレーンは・・・死んだわ」

「ヒョッヒョッヒョッ!! 空気がなければ、究極破妖師といえどもお陀仏じゃのう!」

 哄笑する二体の六道妖と、足元のプールに沈む蒼碧の水天使。
 理解しがたい光景だった。しかし、紛れもなく現実であった。
 沈むオメガスレイヤーと、見下ろす妖化屍。それまでの常識では有り得ぬ逆転現象が、司具馬の眼前で展開されていた。
 
「バカな」

「この、絶望を張り付けたセイレーンの死に顏が、ヌシには見えぬのかね?」

「・・・なにが起こった? いや、なにをしたんだ? 〝百識”の骸頭」

 顏を蒼白にしながらも、司具馬の声は冷静に聞こえた。
 じり、とわずかに腰を下ろす。すぐに――退却できるように。
 一般の『水辺の者』では、どう足掻いても妖化屍に勝てるわけがない。せいぜいケガレ・・・妖化屍の操るリビングデッドを、いくつか退治できれば上等だ。まして危険ランクAを越える六道妖二体が相手となれば、生還して逃げのびるのも奇跡に近い。
 
 オメガセイレーンが敗北したのであれば、一刻も早く逃走を図るべきだった。
 死んだ絵里奈の仇を討つ、などと考えることはない。いや、考えないわけがなかった。司具馬にとっても馴染みの深い戦士だ。思い出はひとつやふたつではなかった。しかし、考えてはいけないのだ。
 どれだけオメガセイレーンに、藤村絵里奈に思い入れを抱いていても、敵討ちなど考えてはならなかった。無理だから。オメガスレイヤー以外の者に、妖化屍退治など不可能だから。
 一切の私情を挟まず、息絶えた仲間は切り捨てる。それが『水辺の者』として任務する者の鉄則だった。非情かもしれないが、彼らが赴く場所は戦地そのものなのだ。
 
 だからこそ、オメガセイレーンの死を前にしても、司具馬は動揺を最低限に抑えていた。
 
「オメガスレイヤーの天下は終わり、我ら六道妖の時代が来たということじゃよ」

「・・・〝オーヴ”・・・よ・・・」

 背後から響く弱々しい声に、黒ずくめの青年は振り返る。
 本来、彼が守るべき乙女がそこにはいた。冷たいフロアに、這いつくばって。
 額と太ももから噴き出る己の血で、四乃宮郁美は白黒コーデの衣装を真っ赤に染めていた。
 
「ッッ!! ・・・いくッ・・・・・・みッ・・・!!」

「そいつら・・・は・・・オメガスレイヤーの、弱点を・・・天敵となる〝オーヴ”を・・・絵里奈さん、にッ・・・!」

「てめえええらあああァッ!! なにしてやがんだァァッ――ッッ!!!」

 突然の咆哮に、妖化屍だけでなく、郁美までもがビクリとした。
 司具馬が見せた激情は、それまでの冷静さからは、あまりに意外なものだった。
 
「このコはッ!! 郁美は関係ねえだろうがァァッ!! オメガスレイヤーでもない女の子に、なにしてくれてんだあァッ、クソどもがァッッ!!」

「こ、のッ・・・己がなにをしとるか、わかっておるのかッ、小僧!」

「その娘がオメガヴィーナスの妹だってのはわかってんだよッ! 関係、大アリじゃないか!」

 妖化屍からすれば、並の人間など虫ケラ同然の力しかない。その弱々しい生物からのまさかの反抗に、怒りと驚きが入り混じる。
 少し特殊な能力が使えるといっても、究極の破妖師であるオメガセイレーンさえ葬った二体の妖化屍に、司具馬が敵うわけがなかった。死が待ち受けるのは、火を見るより明らかだ。
 それでも上下黒スーツの青年は、ボクシングに似た構えを取った。
 
「ッッ!! ・・・ダメッ・・・! 私のことは、いいからッ・・・!」

 オメガセイレーンが成す術なく蹂躙される様を見せつけられた郁美は、逼迫した声を出す。
 司具馬はこの闘いで死ぬつもりだ。すぐに直感でわかった。私を助けるために、身代わりとなってこのふたりの相手を――。
 しかし、絶望的すぎる。ただの、1対2の闘いなどではないのだ。郁美の盾となろうとも、本気の妖化屍に襲われれば、数秒と生きていられるかどうか・・・
 
「大丈夫だ。君だけは、必ず生かして天音のもとに送り届ける」

 落ち着いた声を取り戻して、司具馬は背後に語り掛けた。
 
「その〝オーヴ”とやらの情報・・・天音に伝えてやってくれ。頼んだよ」

 郁美の命を救いたいが故か。あるいは、恋人である天音を想うが故か。
 どちらに比重があるのかは、声だけでは判別しようもなかった。
 
「キヒッ・・・ヒヒヒ・・・いやあ~・・・実に不愉快じゃのう」

「私たち六道妖の前でカッコつけるなんて・・・バカは容赦なく、殺すとしようかねェッ・・・!!」

 構えを取る司具馬に、骸頭と縛姫が襲い掛かる。
 挑んでこようが逃げようが、いずれにせよ『水辺の者』は皆殺しにするつもりであった。四乃宮郁美は対オメガヴィーナス用の切り札にする。拉致のジャマをするなら、尚更生かしておくわけにはいかない。
 セイレーンが水没するプールを飛び越えた、瞬間だった。
 
 ドドドオオオオオッッ――ォォッ!!!
 
「ヌウうッ!? なんじゃッ・・・とォッ!!」

「セイレーンッ!! お前ッ・・・生きていたのかいッ!?」

 プールのなかの青緑の水が、とぐろを巻く龍のように天へ昇っていた。
 渦巻く水流の根本。底を覗かせたコンクリの床に、青いスーツを着た美女が肩を揺らして座り込んでいる。
 
「ハアッ!! はアッ!! はァッ・・・!!」

「絵里奈ッ・・・さんッ!!」

「バカなッ!! コイツ、〝オーヴ”の混ざった水中で、なぜ生きてッ!? いや、そもそも〝オーヴ”入りの水をなぜ操れるのじゃあッ!?」

 茶色のロングヘアーから水が滴り落ちている。濡れたスーツとフレアミニが、ピッタリと素肌に密着していた。関節を抜かれたために両腕はぐったりと垂れ下がり、尻餅をついた姿勢のまま立てそうにない。
 胸元を大きく弾き飛ばされ、露出した素肌に黒く『Ω』マークを焦げ付かせた美女。
 水も滴るイイ女、と呼ぶには、セイレーンの姿は無惨すぎた。だが、それでも溺死したと思われた水天使は、確かに生きている。
 
「はァッ、はァッ・・・!! あなたのッ・・・言う通り・・・私には、もう力は残っていないわ・・・でも・・・水を操る能力だけは・・・なんとか、使えた・・・」

 よく見れば、昇り龍のなかの緑色の水は、周囲を青色の水で包まれている。
 〝オーヴ”に触れれば、セイレーンは力を発揮できない。だから〝オーヴ”の混ざった全ての水を、普通の水で包み込んだのだ。
 水属性のオメガスレイヤー。蒼碧の水天使だからこそ、かろうじてできた神業だった。水という、彼女の武器が大量にあるプールに投げ込まれていなければ、迫る死からの脱出は不能であっただろう。
 首からぶら提げられた緑の鉱石も、口や陰唇から塗り込まれた〝オーヴ”の粘液も、水がセイレーンの身体から流し出していた。ほとんど止まりかけていた彼女の生命活動は、反オメガ粒子が洗い出されると同時に、復活へ向かったのだ。
 
「私はね・・・パワーも・・・スピードも・・・他のコたちに比べたら・・・大したこと、ないわ・・・。でもね・・・・・・水は、誰よりも・・・私のことを、愛してくれてるのよ・・・」

 顎先から水滴を垂らしながら、セイレーンは妖艶に微笑んでみせた。
 
「ふふ・・・私たちの愛の結晶・・・魅せてあげるわ・・・〝水砕龍(みさいりゅう)”ッ!!」

 ギュロオオオッッ!! ドリュリュリュリュウウッッ――ッ!!!

 渦巻く水流が巨大な弾丸と化して、二体の妖化屍を飲み込む。
 抵抗は無意味だった。竜巻に吸い込まれる、木の葉のごとく。骸頭と縛姫の身体が、乱流の渦に消える。
 とぐろを巻いた水龍は、全てを飲み込んだまま壁に激突し、大量の水飛沫となって砕け散った――。
 
「ッッ・・・――やッ・・・た!!」

 細かくなった水滴が、霧雨となってキャバクラの店内に降り注いだ。
 オメガセイレーン必殺の一撃、〝水砕龍”。水天使の名に相応しい大技の炸裂に、郁美の歓喜の叫びが響く。
 なんとか身体を起こそうとする女子大生を、走り寄った影が抱き締めた。
 
「え!? ・・・司具馬?」

「今のうちに、逃げるぞ。郁美」

 ミニスカから生えた太ももの裏に、突き刺さった酒瓶を司具馬は一気に引き抜いた。
 秀麗な美乙女の眉が、奔る激痛に曇る。もちろんこの場合、ガラス瓶を抜くのは郁美のためだ。
 
「くゥ”ッ!! ・・・どうしたの!? なんでそんな、怖い顏を・・・」

「オレは以前にも、あの〝水砕龍”という技を見たことがある」

 両腕で、司具馬は負傷した女子大生を抱き上げた。いわゆるお姫様だっこの態勢。
 その表情は沈痛と緊迫に彩られていた。
 
「さっきとは、まるで威力の違う技だった。すでに絵里奈さんは・・・終わっているんだ。恐らく今のが、オメガセイレーン最後の一撃だろう」

「そんッ・・・なッ!?」

 郁美の叫びに呼応するように、なにかが崩れる音色が重なる。
 青のスーツとフレアミニ、そしてケープとを纏った水の美神が、カラになったプールの底にうつ伏せに倒れていた。
 腰までに届くストレートヘアーが、しっとりと濡れて輝いていた。
 
「・・・逃げ・・・て・・・」

 美貌をプールの底に押し付けたまま。
 セイレーンは静かに、言葉を発した。もはや顏をあげる力すら、蒼碧の水天使にはなかった。
 
「私のことは・・・いいから・・・郁美ちゃん、は・・・逃げるのよ・・・」

「できませんッ!! そんなことッ・・・絵里奈さんも一緒にッ!!」

「残念だが、六道妖のふたりを相手に、郁美と絵里奈さんの両方を逃がすことはできない。オレにできるのは、どちらか一方を守るので精一杯だ」

「だったらッ!! オメガスレイヤーの絵里奈さんを守るのが当然じゃ・・・」

「オレの役目は郁美を守ることだ。そしてなにより、絵里奈さんはもう・・・」

「そうじゃ。オメガセイレーンは、すでに我らの手に堕ちた」

 不意に湧いた声に、ようやく郁美は気付いた。そぼ降る水飛沫のなか、横たわる水天使の傍らに、ふたつの影が立っていることに。
 骸頭と縛姫。ふたりの六道妖は生きていた。ほとんど無傷で。
 本来の〝水砕龍”ならば、この二体を一気に殲滅することもできただろう。しかしオメガセイレーンは、あまりに〝オーヴ”に力を奪われ過ぎた。
 
「まさか、あの状態から反撃してくるとは驚いたけど・・・所詮、限界だったようねェ」

 縛姫のオレンジ色の髪が、意志をもったように長く伸びていく。横臥するセイレーンに、シュルシュルと絡みつく。
 セイレーンの全身に絡みついた無数の髪は、青色のスーパーヒロインを頭上高く掲げた。
 しなやかな四肢を大の字に広げ、水天使が空中で固定される。
 
「フン・・・どうやら、オメガヴィーナスの妹を助けるために力を使い果たしたようねェ・・・まあ、構わないわ。二兎を得るのが理想だったけど、私たちの第一目標はオメガスレイヤーの殲滅。当初の予定通り、今回はオメガセイレーンの処刑で満足するとしようかねェ・・・」

「キヒヒヒィッ・・・!! 有効な人質をみすみす逃すのは勿体ない気もするが、〝オーヴ”がオメガスレイヤーに通用するとわかった今は、些末な問題じゃて! ここは確実に、セイレーンを始末するとしようぞ!」

 〝百識”の骸頭は、再び魔法使いさながらの杖をその手にしていた。
 尖った先端を、宙に浮いたセイレーンの背中にピタリとつける。
 
「ヌシの最後の抵抗に免じて・・・オメガヴィーナスの妹は見逃してやるわい。貴様の命と引き換えにのう」

「ィッ!! ・・・司具馬ッ! お願い、絵里奈さんを助けてェッ!! このままじゃ、本当にオメガセイレーンがッ・・・!!」

「・・・無理だ。わかっているはずだ。オレの力では、妖化屍二体を相手になにもできない」

 極細の髪の網に緊縛されたオメガセイレーンの姿が、郁美には磔にされた救世主にも見えた。
 死が迫りながら、藤村絵里奈は美しかった。
 表情に怯えはなく、青のスーツに包まれた肢体は、妖艶さを増したかのようだった。大の字に身体に、淫靡さがあった。
 もはや抵抗の力はなく、処刑されるのを待つ身であることは・・・オメガセイレーン自身が理解していた。
 
「・・・いいのよ・・・郁美、ちゃん・・・あなたは・・・逃げて・・・」

 虚ろに視線を彷徨わせながらも、しっかりとした口調で絵里奈は言った。
 
「私の藤村家は・・・『征門二十七家』のなかでも下級・・・私は勉強もできなければ運動も苦手な・・・なんの取り柄もない、ただの女だったわ・・・。けれど、水との相性がよかったおかげで・・・なんとかオメガセイレーンとして、やってこれた。こうして自分の城も・・・持つことができたの」

 ギリギリと、オレンジの髪が青色の天使を締め付ける。
 全身の骨が悲鳴をあげるなか、微笑みながらセイレーンは語り続けた。
 
「まあまあの、人生だったわ・・・。私にすれば、出来過ぎかもね」

 ナンバー1にまで登り詰めたキャバ嬢は、柔らかに笑ってみせた。
 
「あなたと、司具馬ちゃんの役に少しでもなれて・・・よかったわ。後悔のない、最期よ」

「あれほど反オメガ粒子・・・〝オーヴ”を浴びても、こやつはなかなか滅びなかった。〝オーブ”だけでは、オメガスレイヤーを絶命させるには至らぬかもしれぬのう」

 鋭い杖の剣先をセイレーンに突きつけながら、骸頭はボツリと呟く。
 〝百識”の異名を持つ妖魔は、殺菌に対するデータについても調査済みであった。一説によれば、人間の掌に付着した雑菌は、数百万から一千万以上。例えば石鹸で1分間手洗いしてみても、それらの雑菌は半分ほどしか死滅しないという。消毒・殺菌を繰り返すことで、それらの数をゼロに近づけることはできるが、完全な無菌状態というのは、現実には不可能と言われている。
 
 オメガ粒子の正体も菌である以上、同様のことが言えるはずだった。
 つまり、抗生物質である〝オーヴ”で、限りなくゼロに近づけることはできるが・・・完全に死滅は不可能。わずかにでもオメガ粒子が残存していれば、今回一時的にセイレーンが復活したように、時間とともに増殖するのだろう。
 
「オメガスレイヤーを始末するには・・・〝オーヴ”以外の要素も必要ということじゃなあ」

 皺だらけの怪老が、クシャクシャに顏を歪ませた。
 笑っていた。オメガスレイヤー唯一の天敵ともいうべき〝オーヴ”以外に・・・この妖魔は、打倒究極戦士の手段を知っているというのか!?
 
「ッッ・・・!! 骸頭、お前は・・・」

 無意識のうちに、司具馬は眼を見開いていた。
 
 そんな、まさか。
 まさか、そんなことが・・・あるわけがない。当然ではあるが、オメガスレイヤーの秘密は『水辺の者』内でも秘中の秘。司具馬にしても、つい1年ほど前に、実績を認められようやく『五大老』から直接教えられたのだ。
 
 そんなオメガスレイヤーにまつわる重要事項を・・・いくら〝百識”とはいえ、知っているわけがない。
 
「純血・純真・純潔。それが、オメガスレイヤーになる者の条件だそうじゃのう? さしずめ、オメガ粒子との相性をよくするのに、必須な要素というところか」

 衝撃に、司具馬の全身が硬直した。
 
「逆にいえば、それらの条件を崩してやれば・・・鋼鉄の戦士も脆くなるのではないか? ん?」

 人妖・縛姫が紫のドレスの袖口を振る。緑色の大蛇が、波を打って長く伸びた。
 大の字で緊縛されたセイレーンの右胸。青のスーツを丸く盛り上がらせた膨らみに、ガブリと噛みつく。二又に裂けた舌先で、チロチロと頂点の突起を舐める。屹立していく乳首に、細かな震動を与えていく。
 
「ひィう”ッ!? んう”ッ・・・!!」

「純潔というからには・・・やはり処女なのかしらねェ~ッ!? とてもそうは見えないけど」

 縛姫の嘲りにあわせるように、大蛇はゴキュゴキュと、右の美乳を吸引する。
 
「んふう”ゥッ――ッ!! ふああ”ッ・・・あああ”ッ~~ッ!!」

「ふふふッ!! 美味しいわよ、セイレーン! 量は少ないけど、搾りカスのように積もった濃厚な生命の味を感じるわァ! お前たちがやけに性的な攻撃に弱く見えるのは・・・純潔というキーワードに、やはり関係しているのかしらァッ~~ッ!?」

 ゴキュウウウッ・・・ゴキュウウッ・・・ゴキュウウッ・・・!!
 
 大蛇が嚥下するたび、宙空に捉えられた肢体が、ビクビクと痙攣した。
 生命力を吸われる苦痛のみでなく、バキュームによる快感も、セイレーンの身を焦がしていた。究極と讃えられた戦士が、首を振って悶絶している。叫ぶ口から、涎の飛沫が飛び散った。
 
「あふうう”ゥッ~~、ふああ”ッ・・・!! くあァ”ッ、す、吸わないッ・・・でェ”・・・!!」

「そして純血というからには、大量の血を失うことは死に繋がるのではないかな?」

 ドシュウウウウッッ!!!
 
 骸頭の杖が、背中から胸の中央まで。磔状態のオメガセイレーンを、一気に貫いていた。
 焦げ跡で描かれた『Ω』のマーク。その中心に、木製の杖が飛び出している。
 
「があああ”あ”ッ――ッ!? ア”ッ・・・!!」

 一瞬の間を置き、胸と背中から、同時に鮮血が噴き出した。
 
「ィッッ!! 絵里奈ッ・・・さッ・・・!!」

 ブチッ!! ブチブチイィッ!! ビリビリィィッ――ッ!!
 
 セイレーンを串刺しにしたまま、杖の剣が肉を切り裂いていく。『Ω』の模様に沿って、水天使の胸中央を引き裂く。
 ブシュブシュと、凄まじい量の鮮血がセイレーンの前後で華を咲かせた。蒼碧の水天使が深紅に濡れていく。
 
「ぎゃああア”ア”ア”ッ――ッ!! うがああア”ア”ア”ッ~~~ッ!!! ウア”あああ”あ”ァ”ッ――ッ!!」

「いやああアアッ――ッ!!! もうやめてぇェッ~~ッ!!!」

 司具馬は己が、何を見ているのかさえわからなかった。胸に抱いた郁美の絶叫さえ、遠くに聞こえた。
 眼前の凄惨な処刑ショーだけが、打ちのめすのではない。骸頭が放った台詞が、脳裏から離れない。
 純血・純真・純潔。
 そう、その3つの言葉こそ、オメガスレイヤーになる者の重要なキーワード。3つの要素が揃わなければ、オメガ粒子は宿る者を選ばないという。
 
 問題は、なぜ妖化屍の骸頭が、その秘密を知っているのか?
 
 知識でどうとか、なるものではない。〝オーヴ”のように、研究の成果として発見した、ということも有り得ない。3つの言葉の並びが、司具馬が『五大老』から教えてもらったものとまるで同じになるのは、不自然すぎる。
 考えられる答えは、ひとつしかなかった。
 
 誰かに、教えてもらったのだ。『水辺の者』の、誰かに。
 それも、下級兵士などではない。この秘密を知るような、地位のある者から・・・骸頭はオメガスレイヤーの秘密を手に入れたのだ。
 
 裏切り者がいる。『水辺の者』のなかに。
 
 しかし、「純血・純真・純潔」のワードを知る者は、『水辺の者』のなかでも限られたエリートのみだ。
 聖家のように家柄も高く、実績を数多く残したような・・・それほどの俊英など、数えるほどしかいないはずだった。
 
「あッ!!」

 閃光が、司具馬の脳裏を貫いた。
 青年の大脳にある海馬は、今朝の記憶を呼び起こしていた。四乃宮家の一室で、挨拶を交わした美しき女性。
 父親が現『五大老』を務める家柄。そして、最強の破妖師オメガヴィーナスの護衛を任されるほどの実績の持ち主・・・
 
 浅間翠蓮。
 
「マズイッ・・・!! ならば・・・天音が危ないッ!!」
 
「フフフッ!! これでお前の純潔を散らせばッ・・・もはや生きる力は残っていないだろうねェッ、オメガセイレーンッ!!」

 もう片方の腕から、緑の大蛇が〝妄執”の縛姫より放たれた。
 開かれたセイレーンの股間に、ズボリと埋まる。
 大蛇は陰唇を割り裂き、膣道の奥へと進んだ。固い鱗が、ピンクの肉襞を摩擦する。
 
「んひいイイ”ィ”ッ・・・!! くはああ”あ”ッ~~ッ、アア”ッ――んん”ッ!!」

「さようならッ!! オメガセイレーンッ!!」

 ガジュウウウッッ――ッ!!
 
 水天使の肉壺を埋めた大蛇が、奥にある子宮にかぶりついた。
 噛み砕く。牙を立て、グジュグジュと咀嚼する。
 
「はぎゅウ”ウ”う”ッ―――ッ!!! ぎゅああア”ッ、ウギャアアア”ア”ア”ッ~~ッ!!!」

 セイレーンが絶叫するたび、抉り描かれた血染めの『Ω』マークから、赤い飛沫が噴き出した。
 子宮に噛みついたまま、緑の大蛇が挿入を繰り返す。右の乳房から、ゴキュゴキュとエネルギーを吸引していく。
 大の字で拘束された蒼碧の水天使は、絶叫を轟かせることしかできなかった。犯され、奪われ、切り刻まれて・・・成す術なく妖艶な美姫は蹂躙されていく。
 
「あふうう”ッ、くふッ!! ・・・んんあああ”ア”ッ、アア”ッ・・・アアア”ア”ァ”ッ―――ッ!!!」

 グボグボと、抜き差しされる大蛇が、淫靡な濁音を放つ。
 オレンジの網に捕獲された水天使は、本物の昇天を迎えようとしていた――。
 
 
 
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コメント
今回で第二話は終了となります。次回からは第三話に突入ということで。

今年は昨年以上にいろいろな作品に取り組む予定ですので、一回の更新量を減らすつもりです。あまり一回の更新が量多いと、他の作品に手を回せなくなっちゃうんで・・・ちょっとづつ、順番に作品を手掛けていこうかなと。

新作やイラストなども挑戦するつもりなので、温かい眼で見守っていただければ幸いです(^^ゞ(特に絵関連は・・・)

また今月は、頒布用のウルトラ戦姫物語がもうすぐ完成するところまで来ましたので、ちょっと多めにそちらに力を割いています。
今月中は難しいですが、来月には発表できるのではないかと・・・
そちらもまたよろしくお願いします(^^ゞ
2015.01.15 Thu 01:41 | URL | 草宗
>コメントくださった方
いつもありがとうございますw
コミケは今回でその面白さが十分にわかったので、また機会があれば参加することもあるかと思います(^^ゞ その折りにでもまたよろしくお願いしますね。まずはご自身の療養が一番ですから・・・

天音になかなかスポットを当てられないぶん、今はセイレーンが活躍?中ですねw 天音はこれから・・・ってところでしょうか(^^ゞ
スーパーガール系ヒロインは基本、無敵ですから、いかに多くの弱点を揃えるかだと思ってまして・・・これまで時間をかけ、だいぶ増やしてきたつもりですw

ウルトラ戦姫とオメガ、そして新作と今年はこの3本を中心に創作する予定ですので、ちょっとめまぐるしいですけど(^^ゞ、よろしくお願いします。
2015.01.16 Fri 01:15 | URL | 草宗
早朝ですが失礼して・・・ようやく、追いつきました。

お恥ずかしながら、オメガスレイヤーズの一話から最新話まで、やっと読めました。「まとめて読もう」と思ってたらなかなかその機会もとれず・・・コメントもなかなかできず・・・。連載開始からずいぶん経つのに、今更になってしまいました。

いやー・・・素晴らしかったです。今は「顔出しの実写等身大ヒロイン」って子供向け番組でもなくなっちゃった気がしますが・・・やっぱりファントムやウルトラとは趣が違って等身大の良さを感じます。(コーヒーカップ責めとか、水責めとか、巨大ヒロインだとなかなかできないですよね。東京タワーに串刺しとかはできても)

オメガのヒロインはみんな20代ということで、女子大生に社長にキャバ嬢と、社会的立場もバラバラで、高校生5人だったファントムとはまた雰囲気が違って、作劇の工夫がびしびし伝わってきました。最初はパワフルな尖塔スタイルと遊園地のシーンでリンカのファンになりかけたんですが・・・エレナの「自分の店を持てたから、もうここで死んでも満足」のところで鳥肌が来て、一気にセイレーンに心が傾いております(笑)。
伏線とバトル描写を積み上げて、とうとう敗死を悟ったヒロインの諦めの言葉、というのがものすがくツボなんで・・・。

急所もろ出しのファントムやウルトラ戦姫と対照的に、オメガは綿密な弱点の設定もあって、草宗さんの気合が伝わってきます。物質的な弱点としてのオーヴに、純潔・純真といった精神的弱点まで加わって、ピンチのバリエーションも無限大・・・。
さっそく子宮噛まれちゃったセイレーンの今後に、期待が高まっております。

新作の構想もあるうえに、ターゲットアルファの2作目も完成が近いということで、草宗さまの創作のパワーに脱帽です。こちらは4月からリアルが忙しくなりそうなので、裏名義での創作も滞りそうで・・・自分が書けない分、今年はいろいろと、期待させていただきます。

2015.01.16 Fri 04:26 | URL | 札使いの弟子
あ、「みんな20代」って書いちゃいましたが、リンカさん高校生でしたね。失敬しました・・・。連コメ失礼しました・・・。
2015.01.16 Fri 04:29 | URL | 札使いの弟子
>札使いの弟子さま
あー、ボクもよくあります(^^ゞ まとめて読もうと思っていたら、いつの間にかかなり話が進んでしまって、手を出すのが難しくなることが・・・(-_-;)
オメガもそこそこの文章量になってきているので、全部読まれるのは大変だったと思いますが、ありがとうございましたw

巨大ヒロインには巨大ゆえの良さがありますが、責める方法に苦労することがあるんですよね。身近にある道具を使いたくても、巨大だからできないじゃん、みたいな・・・
そうした、今までにできなかったことがやれるのが、等身大ヒロインをやってて楽しいところですね(*´▽`*)

ファントムはみんな女子高生だったので、今作では変化を意図して少し年齢を高めにしました。とはいえキャラの幅を広げるために、やっぱり凛香みたいに「ほぼ女子高生」みたいなのもいるんですけどw(年齢間違いについてはお気遣いなくですよw もう凛香も社会人なので、オトナですからね)
キャバ嬢でヒロイン、というのはあまりいなかったと思うのでw、自分では気に入っている設定です。

設定の細かさ、という点ではオメガはこれまでで一番だと思います。ご指摘いただいているように、ピンチのバリエーションが多くなるように、というのが狙いですね。なんといってもスーパーガール系ヒロインは、普通に闘ったら無敵ですから・・・(^^ゞ

創作へのモチベーションは、今が絶頂期かもしれないですねw ホントにやりたいことが止まらない、という感じです。
札使いの弟子さまの作品もおおいに刺激になっているので、このままいけるところまで突っ走りたいですねw
リアルの方が大変そうなご様子ですが、お互い頑張りましょう(*´▽`*)
2015.01.17 Sat 00:24 | URL | 草宗
更新お疲れ様です。

新年最初の更新から、セイレーンは大ピンチだし、
飛ばしてますね!!w

本当はセイレーンを助けたいけど、力の差が有り過ぎて戦っても無駄死にだし、
逆に司具馬を救ったセイレーンの技が最後の技と判ってしまった
逃げるしかなかった司具馬の無念も、伝わってきますよ。

また骸頭のオメガスレイヤーを倒すことへのこの執念、
敵ながら感心します。
オメガの条件を一つずつ崩していくシーンは、
興奮しっぱなしでしたよ。
しかもその条件を崩すシーンがリョナだったり
エッチだったりと多彩で面白い。
力の吸収とかもとっても良かったし、
新年から良い物を読ませていただきました。

元の仲間から裏切り者が出ているとか、
話の重要な部分も少しづつ明らかになってきたりと
目が離せませんよ。

何よりまずは、セイレーンがどうなってしまうのか、
次の更新が待ち遠しいです。

今年もやりたい事がいっぱいで大忙しのようですが、
頑張って下さいね!!
いろんな作品、とっても楽しみに待ってます。
2015.01.18 Sun 00:03 | URL | さとや
>さとやさま
はい、飛ばしてますw
ここ数年はテンポを意識してまして、過不足なく状況を説明しつつ、次から次へと話を進めていければなーと思ってやっています。

男はとかく邪魔になりがちなんですがw、今のところ司具馬もいい仕事ができているんじゃないかなーとw
ストーリーを進めるのに、彼がいることで役だってますね、いまのところは(^^ゞ

純血・純真・純潔というのはずっと前から決めていたことなんですが、ようやく出せたって感じですねw
オメガの戦士たちが責められるのに、いい理由付けができるんじゃないかと思ってます。堂々とエッチな拷問やハードな責めもできますからね(*´▽`*)

以前から言っていますが、エロやリョナとあわせて、ストリー自体でも愉しんでもらえる作品を目指しているので、裏切者の存在含め、盛り上げていきたいですねw

予定では、ウルトラ戦姫を仕上げたらそろそろ新作にも取り掛かろうかと思ってますので・・・そちらも楽しみにしていただければ幸いですw
今後ともまたよろしくお願いしますw
2015.01.18 Sun 00:29 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
なんだか壮大な話になってきているので(^^ゞ、話をできる限り早く進ませたい、という気持ちがありまして・・・w

ボクの性質なんですけど、どうも「物事に理由を求めたくなる」んですよねえ~(^^ゞ
スーパーガールならば、なんであんなに強いのかと。納得する理由を見つけたくなっちゃいまして。
そうしたエロやリョナにあまり関係なさそうなところに、オメガはやたら設定練っちゃってますね(^^ゞ

スーパーガール系ヒロインを取り扱うにあたって、実は一番悩んだのが「どうやってバトル描けばいいんだ?」ってとこだったんですよ。仰るように「一進一退の攻防」にするのが難しくて・・・めっちゃ強いか、弱点握られて一気にボロボロになるか、なんですよねw
自分なりに考えた答えが、複数の弱点を設定して組み合わせる、というヤツでして。これなら、徐々に弱っていくヒロインを描けるんじゃないかと思ってます。

三要素はまさに凌辱だと拷問の正当性に使わせてもらいますw
まだまだオメガの戦士の秘密はあるんですが、それはまたおいおい、ということでw

しかし太ももに刃物ですか! 聞くだけで痛々しいですねえ~・・・
大事に至らなかったのが、不幸中の幸いでした。
いくらリョナのためとはいえ、自分の身を削るのはやはり勘弁ですねえw
痛みは少ないようですが、くれぐれもご自愛くださいね。
2015.01.18 Sun 00:48 | URL | 草宗
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