巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

ツボに嵌ったもの⑨ウルトラマンエース | main | 最終話 東京終末戦 4章―2
最終話 東京終末戦 4章―3
 
「ッッ・・・ウソ・・・よッ・・・!!」

 ガクガクと震えながら、懸命にアリスは身体を起こす。
 鳩尾には穴が開き、複数のコードが引きずり出されて、火花を散らしていた。機械と、クローン細胞でできた肉体。とはいえ、そのダメージが深刻でないわけがない。
 無理な放電によって、極端に電圧がさがったサイボーグの身体は、立つのがやっとの状態だった。
 それでもファントムガール・アリスは、立たねばならない。
 盟友の少女戦士は今、動かなくなったのだから。
 
「ナナッ・・・ファントムガール・ナナッ!! あんたが死ぬわけがないッッ・・・!! こんなところでッ・・・死ぬわけないでしょオオオッッ!!!」

「ガアアアアッッ―――ッッ!!! ギュゴオオァアアッッ~~~ッッ!!!」

 アリスの叫びを引き裂くように、凶獣の咆哮が轟いた。
 血走った眼が、ツインテールの少女を射抜く。次はお前だ、と言わんばかりに。
 その足下で、黒く汚れた肉人形が踏み潰されている。
 蹴り転がされる肢体からは、若さによるハリも、聖なるエネルギーによる光も、感じることはできない。
 
 甘く見た―――
 
 わけがなかった。ギャンジョーの怪物性は、誰よりもわかっている。
 幾度も闘い、惨殺された・・・アリスと、そしてナナ以上に、疵面獣の脅威を知っている者などいない。特に生命力という点においては、ギャンジョーは『エデン』が創る全ての巨大生物のなかで、頂点に立つかもしれぬ。
 
 電磁ソードは、確かにギャンジョーを貫通した。巨大スラム・ショットも、茶褐色の肉体に着弾した。
 並のミュータントならば、数体まとめて死んでいるような攻撃を、すでに何度も受けている。さすがの怪物ギャンジョーも、深いダメージで蝕まれているのは間違いない。
 勝利を確信したとしても、決しておかしくなかったはずだ。
 
 しかし、それでも。
 
「アリィィッッ・・・スウウゥゥァァアアアッッ~~~ッッ!!!」

 噴き出す殺気が、北の丸公園にある緑を、次々と枯らしていく。
 死の恐怖を飼い慣らす・・・そんな神業が真に可能ならば、その境地にもっとも近いのはアリスであるかもしれない。それでいて、サイボーグ少女の奥歯は、ガチガチと鳴った。
 
「コロッッ・・・スゥゥッッ!!! てめえ゛らアッ・・・だげェはァッ・・・!!! ・・・このオレ様ガアアアッッ・・・殺サレルッッ・・・ものかアアァッ~~ッ!!! コロスのはッ、オレェェッ・・・オレこそがッッ・・・殺すのだアアァッ―――ッッ!!!」

 そうだ。ギャンジョーが、恐るべきは、これ。
 純粋に肉体が頑強、だけではない。
 兇器のドスを防具としても使う、だけではない。
 殺し屋。殺人狂。何十、何百とひとをその手に掛けてきた、悪魔。
 誰よりもひとを殺してきた自負が、プライドが、この凶獣の根底にある。ひとを殺すことが、この男の存在理由のすべて―――。
 
 殺すのは自分であり、殺されるわけがないと、信じている。
 信仰に近いレベルで、確信している。
 
「ッッ・・・細胞丸ごと滅ぼさないと・・・コイツは死なないッ!!」

 切る、貫く、程度ではダメだ。
 日本一の殺し屋という、プライド高き悪魔は、肉片ひとつになっても殺しにくる。塵となるまで滅ぼさねば、ギャンジョーは濃密な殺意とともに蘇ってくる。
 だが、この鉱石の巨塊のような肉体を、消し飛ばす技など・・・
 
 アリスの左手が、右肘に伸びる。
 先程まで、電磁ソードが取り付けられていた基盤。外して捨てると、砲口が現れた。
 サイボーグ天使の右腕に装着された、二枚底の隠し武器。電磁ソードの下には、灼熱弾のキャノン砲が。
 しかし、ヒート・グルネードを放ったばかりの今、超光熱の砲弾はまだ完成されていない。
 
「くうゥッ!!」

「ゴグガアアアアッッ―――ッッ!!!」

 時間を、稼がなければッ!!
 
 距離を置こうと、地を蹴るアリス。風穴を開けられたサイボーグの身体が、意志に反してグラリと揺れた。
 疵面を、憤怒に歪ませた凶獣が襲い掛かる。
 ボロボロのアリスがその動きを緩慢にさせるのとは対照的に、手負いの凶獣は速かった。
 アリスの腰に両腕を回して抱きつくや、力任せに締め上げる。
 
 ベギイッ!! バギボギィッ!! グシャアアッ!!
 
「んぐぶウゥッ!!!」

 骨と金属が折れ曲がる音色が響き、アリスの顔周辺に紅の飛沫が舞った。
 腹部中央に穴が開いているぶん、半分機械の肉体も、耐久度が落ちている。
 ヒクヒクと痙攣するサイボーグ少女の顔面に、ギャンジョーは全体重を預けて額を叩き込んだ。
 
 バカアアアッッ・・・!!!
 
「ぎゃフウウッッ!!!」

 アリスの顔が、砕け散った。
 鋼鉄の破片が、ヒクつく足許に落ちていく。粉砕されたのは、アリスの仮面であった。赤い眼をした素顔が、下から露わになる。
 頭突きの衝撃ゆえか、砕けたマスクで切れたのか。端整なアリスの素顔は、ヌラヌラと鮮血で濡れ光っている。
 
「アアアッ・・・ア・アゥ・・・ッ!!」

「死ネッ!!! 死ネやああアッッ~~~ッッ!!! このままふたつに千切ってやるアアアッッ―――ッッ!!!」

 反撃しようにも、顔面に叩き込まれた痛撃のせいで、アリスの脳内はスパークしていた。
 背中に回された凶獣の両腕に、力がこもる。
 サイボーグ戦士といえど、背を反らされた体勢からは、力は入りにくかった。まして相手は、深手を負い、全力を搾り出してくる怪物ギャンジョー。
 一気に背骨を圧迫されると、体内で金属が砕けていく音が響いた。いくつもの部位が破壊され、爆発を起こす。
 
 ボンッ!! ゴキッベギイッ!! バキイィッ!! ボボボンンッ!!!

「うあギャアアあああッッ~~~ッッ!!!! はアぐゥッ!! アギャアアアッッ―――ッッ!!!!」

 ビクンッ!! と反り曲がったアリスの口から、大量の鮮血が迸る。
 
 死ぬ。経験したから、わかる。このままでは、本当に殺される。
 
 上半身と下半身、無惨に捻じ切られた己の姿が、サイボーグ天使の脳裏に浮かんだ。逃げねば。ビクビクと自分のものではないように痙攣する右腕を、必死に動かす。灼熱弾を完成させ、至近距離から疵面に撃ち込んでやる・・・
 
 ガブウウウッッ!!!
 
「はがアアアアッッ―――ッ!!!」

 飛び散った深紅の雫は、アリスが流した、赤い涙のようだった。
 凶獣ギャンジョーの牙が、ツインテール戦士の右肩に、食い込んでいる。
 狂騒しつつも、どこか冷静。これが、日本最凶の殺し屋の恐ろしさなのか。万一にもアリスに反撃させぬよう、ギャンジョーは右の首筋に噛み付いていた。プシュプシュと血飛沫が噴き、右腕の砲口がガクリと垂れる。
 
 メリメリメリッ・・・
 
 女神の右肩に、深く食い込んでいく牙。
 アリスの肉もろとも、内部に埋まった黒いコードが、ブチブチと引き出されていく。頭部と肩とをつなぐコードは、恐らくは右腕を動かしているのだろう。完全に切断されれば、唯一の希望を託すアリスの右腕は、動かなくなってしまう。
 
「ア゛ッ・・・ェア゛ッ・・・あガ・・・ッ!!」

 赤い瞳を点滅させて、アリスは呻いた。
 血濡れた美貌に、絶望の翳が走る。もはやこの状態からでは、死を免れないのは、アリス自身がわかっている。
 
「グウウウオオオオオッッ―――ッッ!!!」

 コードを咥えたまま、茶褐色の凶獣が絶叫した。
 躊躇なく、殺すつもりだった。遊んでいる余裕など、ギャンジョーにも、ない。
 憤怒と、殺人狂の本能に従い、ふたりめの守護天使に最期のトドメを刺しにいく―――。
 
「ナナアアァッッ―――ッッ!!!」
「立ち上がってくれェッ、ナナちゃんッ!!」
「ガンバレッ、七菜江くんッ!! そんな怪物に、負けるんじゃないわいッ!!」

 唸りが、巻き起こった。
 目には見えぬ、しかし、確かになにかを動かす力。流れ。エネルギーの潮流。
 突如湧き上がったその渦に、怒れる凶獣が思わず動きを止めていた。
 その正体が単なる声・・・それも、取るに足りない人間たち、数十人の声だとわかっていても。ギャンジョーの視線は吸いつけられた。
 
「お願いだぁ、死なないでくれよォッ、ナナちゃんッ!! 君はきっと立ち上がるッ!!」
「立てええェッ~~ッ!! ガンバレェェッ~~ッ!! ファントムガール・ナナ、頑張るんだァッ~~ッ!!」
「君にはオレたちがついているッ!! いけッ、がんばれ、ナナちゃんッ!!」

 日本武道館の前。横一列に、ズラリと男たちが並んでいた。
 自衛隊員、などではない。むしろ、どちらかといえば、貧相な肉体。いや、もっとハッキリ言えば、恵まれた生活環境は想像しにくい佇まい。
 ヨレた服装に、ボサボサの髪。そんな彼らが一様に、光を失くした女神に声援を送っている。
 
 なぜ、こんなところに、ホームレスたちが?
 
「七菜江くんッ、わしらは間違っておったッ!! 公園から立ち去れば、思う存分闘えるだろうと・・・奮闘する君をひとり残し、戦場から逃げてしまったッ!」
「ボ、ボクたちは気付いたんだ・・・今更だけど。ボクらがすべきことは、足手まといにならないよう、中央公園を脱出することじゃない。ナナちゃんを・・・精一杯、応援することだって・・・!!」
「オレたちはなにもできない・・・なにも役立たないクズかもしれないけど・・・ナナちゃんを、応援することはできるよォ~ッ!! ガンバレッ、ナナちゃんッ!! 大好きだァッ~~ッ!!」

 30人のホームレスが、口々に叫ぶ。
 ファントムガール・ナナに、ありったけの声援を。闘いの道を選んだ女子高生に、懸命のエールを。
 
「ガンバレッ、ナナァァッ――ッ!! 生きろォォッ――ッ!!」
「オレは君のことが大好きだァァッ――ッ!!」
「ボクもだッ!!」「オレも好きだッ!!」
「立てええェッ――ッ!! 勝つんだァッ――ッ!! ファントムガール・ナナァァッ!!」

「・・・まったく、有栖川博士といい、こいつらといい、オトナはみんな、無力で勝手で情けないもんだぜェ」

 ソフト帽に丸眼鏡。考古学者然とした初老の男は、ホームレスたちの先頭に立って、笑って言った。
 松尾源太・・・通称ゲンさんの背後には、迷彩塗装された自衛隊の緊急車両が並んでいる。特殊国家保安部隊という肩書きを捨ててから、5年。二度と利用することはないと思っていたその立場を、よもや、ホームレスの運搬のために使うことになるとは、夢にも思わなかった。
 
「だがよォ、こいつらの願いは、ワシの願いでもある。無力なワシらオトナにできるのは、あんたたちファントムガールを、必死に応援するぐらいのもんさ。命懸けでなァ」

 あの時。都庁前でナナがギャンジョーと激突した時。
 ナナが全力を出せるよう、ホームレスたちを避難させた判断は、きっと間違いではなかった。普通ならば。
 しかし、『エデン』の戦士の力が、精神状況に大きな影響を受けるというなら・・・守るべきものがある方が、ファントムガールは強くなるのではないか。
 背中を押す声が、彼女たちの支えになるのではないか。
 
「今度はちゃんと・・・ワシらが見届けるぜェッ!! 立ち上がってくれェッ、ファントムガール・ナナァッ!!」

 ・・・ヴィンッ!!
 
 湧き上がる声に、呼応するように。
 暗くなっていたふたつのクリスタルに、青い光が点灯する。
 
 ――おい。宿主さんよ。聞こえてるのか?――
 
『・・・・・聞こえ・・・てるよ・・・』

 ――お前のこと、なんだかいろんなヤツが呼んでるぜ?――
 
『・・・ゲンさん・・・柴爺・・・サトリン・・・てっちゃん・・・みんなみんな、あたしの大事なひとたち・・・』

 ――オレはてっきり、お前が死んだかと思ってたぜ――
 
『こんなあたしを・・・こんなにもたくさんの仲間が応援してくれて・・・』

 光を失っていた瞳に、青い輝きが蘇る。
 
「・・・死んでなんかッ・・・いられッ、ないッ!!」

 その瞬間、ファントムガール・ナナの全身は、爆発したように強い光を放った。
 大地に横臥したまま、右腕を高く掲げる。拳を握り締めて。
 眩い白光が、右手の一点に集中していく。
 
「グオオオオオッッ―――ッ!!! でめ゛え゛らアアァッ――ッ、ッザケるなアァァッ~~ッ!!!」

 復活したナナの姿に、血染めの凶獣が激昂した。アリスの首筋から、牙を引き抜く。咆哮をあげ、横たわるナナと、ホームレスの群れを睨みつける。
 口腔のなかで、漆黒の砲弾が渦を巻く。
 忌々しい連中を、まとめて“弩轟”で消し去るつもりだった。
 
「クズどもがアアアアッッ―――ッッ!!! 塵になれやアアァッ~~~ッ!!!」

 グシャアアアアッッ!!!
 
「クズッ・・・はァッ・・・あんたの方ッ・・・よッ!!」

 マシンのパワーを総動員させ、アリスは渾身の頭突きを、ギャンジョーの鼻柱に叩き込んでいた。
 凶獣の疵面からも、サイボーグ天使の額からも、鮮血が飛び散る。
 ギャンジョーの脳裏が、一瞬、白で塗り潰された。その両腕から、ずるりとアリスの肢体が抜け落ちる。
 
「ナッ・・・ナァッ――ッ!!! いけェェッ―――ッ!!!」

「ウオオッ・・・オオオオッッ―――ッ!!!!」

 そう。まだ、死ぬわけにはいかない。
 ファントムガール・ナナには、もう一発。もう一発だけ、超のつく必殺技を放つことができる。
 
「“BDッッ・・・7”―――ッッッ!!!」

 ビート・ドライブ・レベル7
 聖光を集約した右拳を、心臓に振り下ろす――。
 
 ドドドオオオオオッッ!!!! 
 
 ・・・ドクンッ・・・ドクンッ・・・ドドッ、ドドドドドドドッッッ!!!!
 
 沸騰した血液が、心臓から一気に全身を駆け巡る。
 パワーも、スピードも、光のエネルギーも、全てが数倍。
 心臓への大打撃を代償に得られる、神の領域に手が届く身体能力。
 赤銅に変化したショートカットの守護天使が、横たわる大地から一気に跳ねた。
 
「ギュゴグオオオッッ!!! ゴガアアアオオオッッ――ッッ!!!」

 狂乱の疵面獣が叫ぶ。迎え撃つ、超速の刺突。
 眼にも留まらぬ殺人鬼の槍腕を、さらに上回る速度で、赤銅のナナがすり抜けた。
 最凶の凶獣、ギャンジョーの懐に、ファントムガール・ナナが飛び込む。
 
「刹那ッッ!! ・・・八十四連撃ィィッッッ!!!!」

 パパパパパパパパパパパパッッッンンンンッッッ!!!! ×7ッ!!!
 
 12×7=84
 一瞬にして、84発の打撃がギャンジョーに撃ち込まれる。少女戦士の拳が肉を抉り、骨を砕く。
 血飛沫が舞った。あの、頑強な茶褐色の巨体が崩れていく。猛打の嵐によって、崩壊していく。
 
「ゴパアアアッッ!!! ギュゴエアアアッッ・・・!!! グガアアアッッ―――ッッ!!!」

「ッッ!!? これでッ・・・もッ・・・まだッ・・・!?」

 骨が折れ、筋肉が潰れ、皮膚が削がれても、ギャンジョーはまだ立っていた。
 鮮血にまみれ、崩れかけた肉の塊。
 それでもまだ、疵面の凶獣は生きている。
 小娘ごときに、殺されるわけにはいかぬ。仮に死ぬなら、先に守護天使どもを引き裂いてから。
 
「殺ッッ・・・スゥゥッッ――ッ!!! ナナァッ、アリスゥッ~~ッ!!! でめ゛え゛らァッ・・・グチャグチャに殺シテヤラアアアァッッ~~~ッッ!!!」

 なんという、殺しへの執念。
 無数の打撃痕で肉体を陥没させながら、それでも槍腕を振り上げるギャンジョー。
 その噴き出す憎悪の念と、殺戮への執着に、赤銅色のナナが思わず動きを止める。
 究極の打撃、とも言える八十四連撃を耐え抜かれ、アスリート少女は次なる攻撃を見失った。

「ナナッ――ッ、スラム・ショットをッ!!」

 背後から届く、親友の絶叫。
 ファントムガール・アリスが、右腕の砲口を構えていた。内部では、楕円形の灼熱弾が完成している。
 
「あんたと私の力でッ・・・そいつは滅ぼすッ!! 私の光と、あなたの光を、合わせるッッ!!」

 光と、光を重ねれば、その威力は飛躍的に増加する。
 ナナ、そしてサトミが、光弾を重ねて実現させてみせた、奇跡。
 だがしかし、別々の戦士が作った光弾を、重ねることなど可能なのか――?
 
「光の波長があえばッ・・・重ねることはできるんでしょッ!? ナナと私なら、絶対にできるはずッ!!」

 そうか――。
 あたしとアリス、互いを知り抜いてるあたしたちなら・・・きっとッ!!
 
「うおおおおッッ――ッ、頼んだよッ、アリスッ!!!」

 叫ぶナナの右手。高く掲げた掌の上に、眩い光球が浮かぶ。
 
「ヒート・グレネードッッ!!」

 超高熱の砲弾を、アリスは発射した。
 ナナが作った、白き光弾に向かって。
 
「プラスッ・・・スラム・ショットォッ――ッ!!」

 ドギュンンッッ!!! ギュオオオオオオオオッッッ―――ッッ!!!!

 アリスの灼熱弾と、ナナの光球が激突した瞬間。
 混ざり合った、ふたりの守護天使の聖なる光は、より眩く輝くオレンジの光弾となった。
 
「「ヒート・スラムッッ・・・ショットォォッ――ッッ!!!!」」

「グオオオオオオッッ―――ッッ!!!!」

 迫る灼熱光弾を、絶叫するギャンジョーが、槍腕を交差して構える。
 本物の匕首を具現化した槍腕・・・クロスさせた構えは、ギャンジョー最大の防御姿勢であった。
 
 ドオオオオオオンンンッッッ!!!!
 
 ナナとアリス、ふたりの合体光弾が、ガードした疵面の凶獣に直撃する。
 灼熱の巨大光弾は、左右の槍腕ごと、ギャンジョーの上半身を吹き飛ばしていた。
 
「ッッ!!・・・やっ・・・!!!」

 腰から下、下半身のみになった茶褐色の怪物が、二度痙攣する。
 一瞬の静寂。切断面から、プシュプシュと鮮血が噴き出す。
 思い出したかのように、凶獣ギャンジョーの下半身は、粉々に砕け散った。
 
「ッた!! 勝ったッ!! ナナちゃんが・・・ファントムガールが勝ったぞォォッ――ッ!!!」

 ホームレスたちの歓喜の叫びが、首都の月夜にこだました。
 歓声のシャワーを浴びながら、元の色に戻ったナナと、白煙を昇らせるアリスが、ゆっくり大地に傾いていく。
 意識を失う寸前、互いの視線を交し合った守護天使たちは、少女らしい微笑を浮かべた。
 
 ナナとアリス。ふたりのファントムガールが、凶獣ギャンジョーに勝利した瞬間であった。
 
 
 
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| ファントムガール | 21:17 | トラックバック:0コメント:5
コメント
2つの作品を交互に書く・・・のが最近のスタイルなんですが、今回は特別ということで、一気に書かせてもらいました。

元々前回分と今回分は、ひとまとめで考えていまして、早くここまでを書き上げたかったんです・・・というわけで、自分で言ったやり方を覆してしまったんですが、ご容赦いただければ幸いです。

えー、内容につきましては、以前から言ってるように賛否両論かもしれませんが・・やりたいように進めさせていただこうと思います。今後の流れについても、ここまできたら今更変えられませんしねえ~(^^ゞ

ちなみに本当にどうでもいい話ですが(^^ゞ、ボクのなかで七菜江のテーマ曲というのがありまして・・・
プロレスファンの方はご存知かもしれませんが、「“AO”コーナー」という曲がありまして。ボクシングなどで、チャレンジャーが“青”コーナーから登場するのにあわせて作られた曲なんですけど、色といいw、ナナによくあうのですw

http://www.youtube.com/watch?v=eKqtwikkSIU

今回はコレを繰り返し聴きながら執筆しました(^^ゞ
どうでもいい話で、すみませんですm(__)m
2013.07.16 Tue 21:35 | URL | 草宗
>拍手コメントくださった方
いやあー、こちらこそありがとうございますw 楽しんでいただけたのが伝わってくるようで、作者としては本当に嬉しいです(´▽`)

ファントムガールという作品の、一番のウリであるリョナやらヒロピンやらとはちょっと離れてはいるんですが・・・前回、今回と、とにかく「アツい」ものを目指して書きましたw
ギャンジョーvsナナ&アリス組というマッチメイクでは、やっぱりそこが前面に出てきちゃいますねw 自分としてはこういうのも大好きなので(^^ゞ、筆も自然に進んだ感じです。
個人的には八十四連撃は一番好きな技なのでw、早く書きたくて仕方なかったですw

カウンターで・・・というのは、そちらの方がよかったかもですねw 確かに、ギャンジョーらしさが出てますし(^^ゞ

二段階爆破は、思いっきり円谷を意識しましたw 今見ても、怪獣の爆破シーンはカッコイイんですよねえ~・・・エース対メトロンJr.なんて芸術ですよ(´▽`)

キャラ的に、ダイナミックさではギャンジョーには敵わないと思いますが、後にもちらほらと考えている仕掛けはありますので・・・(^^ゞ
なんとか盛り上げて、ゴールまで辿り着きたいですねw
2013.07.17 Wed 00:52 | URL | 草宗
更新お疲れ様でした。

とうとうギャンジョーが敗れてしまいましたね。
敵ながら、敗北して消えてしまうと寂しい物がありますよ。
最後まで本当に固くてしぶとい敵でしたが、殺しに徹した良いキャラでしたよ。

ここへ来て、ナナはクリスタルを傷つけられるしアリスはボロボロになるしでもしかして?と結構ドキドキしていたのですが、王道展開での見事な勝利でしたね。
みんなの願いで希望の光が復活するのは、燃えますよ!!
その希望を再び思いっきりへし折って絶望に落とすのも好きなのですけどね(汗)

これで後決着がついていないのは、サトミの所だけかな?
こうやってボスクラスが消えていくと、終わりが近づいてきたと実感してきてちょっと寂しい気もしますが、続きを楽しみにしてます♪
2013.07.21 Sun 03:23 | URL | さとや
>さとやさま
なんだかんだで、ギャンジョーが登場してからけっこうな月日が流れてますからね・・・(^^ゞ
耐久力ナンバー1のキャラ、と設定しているので、最後まで粘ってもらいましたw 納得いく最期にするため、いろいろと考えましたけど、やっぱり王道展開が一番なのかな~と。

普通に考えれば、13話でいったん全滅しているので、ファントム陣営が逆転勝利・・・と誰もが思いつくでしょうから、少しでもドキドキしてもらいたいな、と思っていました。
結果はこうなりましたけど、楽しんでもらえたなら良かったです(^.^)

確実にラストは近づいてきてますね~。
ただもうちょっと先はあるので・・・最後までお付き合いいただければ幸いです(^O^)
2013.07.22 Mon 00:21 | URL | 草宗
>zaruusuさま
ありがとうございますw
いやー、やっぱり強敵を倒すには、合体技が王道なんじゃないかと・・・(^^ゞ 兄弟の絆もいいですけど、女子の友達同士の絆というのも強力なものがありますからw

スカっとしてもらえたなら、幸いですw
2013.08.12 Mon 23:00 | URL | 草宗
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