巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

オメガガール1章―5
 「くうッ・・・お、おのッ・・・れエエッ・・・」

 呪詛の言葉を吐き出しつつ、白銀のドレスを着た魔女がガクリと崩れ落ちる。
 憤怒の業火が胸を焼き尽くしそうだった。これ以上ない、屈辱。悪魔の力を得た自分が、『ジャッカル』の幹部である自分が、こんな小娘、それももっとも忌み嫌う若く美しい年下の女に負けるなんて―――。
 オメガガールの青いコスチュームを引き裂いて、脈打つ心臓を取り出したい気分は数分前より遥か巨大になっている。それでも目前の怨敵に飛び掛ることはできない。自分では敵わない現実―――圧倒的な実力の差を思い知った彼女に、無謀な挑戦は望むべくもない。
 全世界が恐怖する犯罪組織『ジャッカル』の幹部と正義のヒロイン・オメガガールの対決。その初戦が今、決着を迎えんとする・・・

 「ちょ~っと待ってもらおうか、オメガガールちゃん」

 死闘の場には相応しくない明るい男の声が、静まった夜の街に流れる。

 「ロ、ロウガ! あんた、なにしに来たんだいッ?!」

 明らかな動揺を見せるバーバラの口調は、仲間の登場に喜ぶというより当惑の響きが強かった。

 「決まってるだろ? あんたと同じ、ノオの爺さんに言われて厄介なオネエサンを始末しに来たのさ」

 ビルの屋上、月をバックに男がひとり、30mほど眼下の美女と悪女を、ニヤニヤ笑いを浮かべて見下ろしている。
 恐らく身長はそれほど高くない。161cmの天音=オメガガールとほぼ同じくらい。男性としては低い部類に入る。だが異様に広い肩幅と、筋肉のラインがはっきり浮き出るほど引き締まった肉体は、野生的な力強さを感じさせる。
 なにより男の獣性を開示するのは、下半身から背中にかけて埋め尽くした、茶色の長い体毛であった。猿人。紛れもなくドクター・ノオの手が入った改造魔人。だが赤く光る両の眼と、剥きだした歯に並ぶ鋭い牙が、猿よりももっと凶悪な獣を男が体に宿していることを示唆する。

 「噂以上のカワイコちゃんだね~♪ こりゃあ殺すのが勿体無くなってきた」

 「あなた、何者? 『ジャッカル』のメンバーね」

 更なる乱入者の登場にも慌てる様子のない美乙女が、頭上を見上げながら落ち着いた声で訊く。

 「最高幹部のひとり、ロウガだ。もうろくジジイがうるさくてよォ、わざわざ出向いてきたってわけだ」

 「このひとを・・・バーバラを助けに来たのね」

 「ケケ、んなオバさん、どうなろうが知ったこっちゃねえな」

 ギリという歯軋りが、超少女のそばで尻餅をついたままの女から聞こえてくる。

 「仲間想いじゃ・・・ないのね」

 「オレら『ジャッカル』が仲良しこよしじゃねえのは知ってるだろ? 好きにやるのがオレたちだ。だが・・・今回は特別コースってやつさ」

 路地の隅でざわりと闇が蠢く。オメガガールのサイド、両側で。

 「『ジャッカル』幹部、ゴールド」

 「同じくシルバー」

 右側から丸い身体を金のボディスーツで包んだスキンヘッドが。
 左側から細長い肉体を銀のスーツで纏ったオールバックが。
 対照的な容姿を持つ新たな刺客ふたりが、佇む美戦士を挟み込む形で現れる。

 「初めからジイさんはSM女王さまひとりであんたに勝てるとは思ってなかったってわけさ。最高幹部4人と闘えるなんてツイてるねえ、正義のヒロインさん♪」

 「ふ・・・フフフ、そう、あんたたち兄弟も来てたの・・・ホホ、オホホホ、オメガガール、さすがのあんたも今度こそオシマイだねえ!」

 『ジャッカル』の最高幹部が勢揃いする・・・それは奇跡的とも言える瞬間であった。
 人体実験を繰り返すドクター・ノオが生み出した超人たちのなかで、成功例と呼ばれているのが彼ら幹部の4人であった。発明狂であるノオは怪人を作り出した後は、ほとんど拘束をしない。怪人たちが自由に、それぞれの欲望の趣くがままに好き放題やっているのが、犯罪組織『ジャッカル』の正体。稀少な幹部に遭遇するだけで奇跡的というのに、徒党を組まない彼らが全員集合するのは、彼らを知る者からすれば有り得ない事態であった。
 そしてその事態を引き起こしたのが、ひとりの美乙女であるという事実に、オメガガールの実力の片鱗が窺い知れた。
 と同時にもうひとつ、ドクター・ノオがいかに本気でオメガガール抹殺を願っているのかも。

 座り込んでいた妖女が嬉々として立ち上がる。左右に立ち塞がる金と銀の男たち。遥か頭上には、牙を剥きだした獣男。突然に陥った窮地のさなか、金髪の美戦士は揺るぎない口調で言い放った。

 「あなたたち4人で、私に勝てると思うの?」

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