巨大変身ヒロインのオリジナル小説を書いている草宗の独り言をつぶやくブログです。

草宗の書斎

オメガガール7章ー2(最終話)
「バ、バカなッ?! お前は確かに死んだはずだ! 一度死んだ人間が生き返るなんて・・・」

「騒ぐな、シルバー! 冷静になってヤツを見てみろ!」

 短絡そうな見た目とは裏腹に、ゴールドは叫ぶ声にも落ち着きを含ませる。

「確かにオメガガールは蘇った。だがその姿は、処刑前の瀕死の姿と変わることはない。もう一度地獄に送ってやれば済む話だ」

「し、しかしゴールド! いくらオメガ粒子といえど、人間を蘇らせるなんてことが・・・」

「我らが処刑したのはオメガガールだ。人間の小娘、四之宮天音などではない。ノウ様が怖れた究極戦士の隠された能力とやらが、この期に及んで発揮されたということだろう」

 動揺するシルバーとは対照的に、スキンヘッドの肥満体はあくまで冷静であった。
 オメガガール、復活――
 犯罪組織『ジャッカル』にとって、憂慮すべき事態であるのは間違いない。だが、ゴールドの眼には、青と赤の天使はすでに恐れるほどの相手としては映っていなかったのだ。

(あ、明日香・・・さん・・・・・・ありが・・・とう・・・でも・・・・・・私には・・・力が・・・・・・)

 全てのオメガ粒子を浴びせることで、死の淵から舞い戻ったオメガガール。
 しかし、さんざん奪われたオメガの力を、その身に十分回復することは叶わなかったのだ。九宝明日香が決死の想いで行なったオメガガール救出作戦は、天音の命を取り戻すまで。究極戦士本来の能力を失ったまま、辛うじて生きている今のオメガガールでは、『ジャッカル』最高幹部ふたりを敵に、勝てるわけがない。

「いくぞ、シルバー! オメガガールを再び処刑する!」

 破壊された肉体を蠢かせるしかない明日香には眼もくれず、金と銀の兄弟が、ボロボロのコスチュームで佇むオメガガールに殺到する。

(ダ・・・メ・・・・・・動け・・・ない・・・・・・)

 弩流と化した二条の電流光線が、ブルブルと震えるだけで精一杯の乙女戦士の美貌と剥き出しの胸とを直撃する。

「ウアアッッ・・・アアッ・・・あああッッッ~~~ッッッ!!!・・・」

 美戦士の悲鳴は、叫ぶというより無情の神に嘆き祈るようであった。
 高圧電流砲の衝撃に軽々と吹き飛ぶ青と赤の天使。
 ズザザザーッッと20mほどもスクエア・ガーデンの屋上を滑り転がった乙女の肢体は、うつ伏せで倒れたままヒクヒクと痙攣する。

(・・・力が・・・出ない・・・・・・ダメ・・・勝てっこ・・・ない・・・・・・私は・・・また、こいつらに・・・・・・殺されて・・・)

「希望を失ってはダメよッ!! 天音ちゃんッ!!」

 絶望の底に沈みかけたヒロインの心を、唯一のパートナーである明日香の声が呼び戻す。

「ロザリオをッ!! オメガガールにはまだ、最後の力が残されている!!」

 胸元に輝く、黄金のロザリオ。
 明日香が必需品として持たせた、オメガガールのアクセサリー。だがそれがなんの役にも立たないことは、先刻ドクター・ノウの手によって明らかにされたはずだ。

「死に損ないのメズブタが。余程切羽詰ったようだ、訳のわからぬことをほざきおって」

「オメガガールを地獄に送ったあとで、貴様もじっくり始末してやるから楽しみにしておくんだな」

 クックッと肩を揺らして笑いあう、肥満体のゴールドと細身のシルバー。
 正義のヒロインを再び嬲り殺せる快感に咽び悦びながら、獲物となる若き乙女戦士に視線を向き直す。

 いなかった。
 瀕死状態で地に転がっていたはずの、ボロボロのプラチナ天使がいない。
 夢でも見ているかのような不思議な光景に、思わず怪人兄弟は互いを見詰め合う。

「私なら・・・ここよ」

 鈴が鳴るような可憐な声は、ふたりの背後で起こった。
 振り返る、『ジャッカル』最高幹部。そこに立っていたのは――

 ブルーのスーツとクレムゾンレッドのフレアミニに肢体を包んだ、美しき戦士。
 ボロボロのコスチュームは嘘のように完全な復元を遂げている。傷ひとつない瑞々しい肉体。仄かに纏った白銀色のオーラ。絶望と苦渋に歪んでいたはずの美貌は、自信と凛々しさに溢れている。
 紛れもない、究極の乙女戦士オメガガール、参上。
 犯罪組織に破れ、嬲られつくした挙句に処刑された無惨な天使はもういない。そこにいるのは『ジャッカル』の前に立ち塞ぎ続けた、あの正義のヒロイン。ゴールドとシルバー、ふたりの身体から血が音をたてて引いていく。

「わッ、我々にはアルファ粒子がある!!」

 ゴールドがオメガガールの右腕を、シルバーが左腕を掴んでいた。従来の電撃が通用しないのはわかっているが、アルファ電磁波そのものである黄色の電流を浴びせれば、究極天使といえど苦痛に悶えるしかない。そうだ、『ジャッカル』は以前の『ジャッカル』ではないのだ。アルファ粒子を手に入れた今、完全復活したオメガガールであっても、恐れることなどない――

 グシャアアッッッ!!!

 プラチナ天使が両腕を振った瞬間、電流兄弟は互いにぶつかりあっていた。
 脳震盪を起こした兄弟が、揃ってオメガガールの腕を離れ、大地に激突する。
 たったその一撃で、『ジャッカル』最高幹部は、究極少女の前に平伏していた。

「油断さえしなければ・・・アルファ粒子が流れる前に、あなたたちなど倒してみせる」

 冷たく言い放つ美乙女の顔は、ゾッとするほど美しかった。

「明日香さんッッ!! しっかり・・・しっかりしてください!」

 ふたりの敵が二度と立ち上がってこないことを確認するや、オメガガールは四肢を破壊された愛するパートナーの元へと駆け寄った。

「私なら・・・大丈夫よ・・・それより、早く・・・」

 明日香の無事を確認するや、強く頷く究極戦士。
 天音にもわかっていた。残された時間は限られていることを。
 すぐに飛び立ち、ドクター・ノウと最後の決着をつけねばならない。

「ロザリオを飲めばいいって、よくわかったわね・・・」

「オメガ粒子の波動を・・・感じたんです。多分、私だけにしか、わからない波動を」

 金のロザリオは、その内部に力を隠していたのではない。
 それ自体が、オメガ粒子の塊。
 全ての力を失ったときの、最後の切り札。瀕死であっても一気に力を回復できる、使用1回きりの隠れエネルギー。
 ありったけのオメガ粒子で天音を蘇生させたため、今地球上に残されたオメガ粒子は、このロザリオの分しかなかった。やるしかない。この残された最後の力を使って、ドクター・ノウを倒すしかないのだ。

「さあ、私に構わず行って! オメガガール。ドクター・ノウをその手で倒して!」

 コクリと頷いた正義のヒロインは、深紅のケープをなびかせて立ち上がる。
 光と化したオメガガールは、悪の本拠地へ一気に飛び立って行った。



 ドクター・ノウの本拠地のひとつ、通称ブラック・ボックス。
 最上階の暗黒の部屋に、残された『ジャッカル』幹部のロウガとバーバラ、そして総帥ノウは陣取っていた。
 時間にすれば半日ほど前。マッド・サイエンティストを包んでいたのは、歓喜と至福の悦楽であった。憎きオメガガールを罠に陥れ、蹂躙と陵辱を尽くした狂乱の宴。これほどの快感があろうかという衝撃が、醜い老人の全身を酔わせていた。

 今、ドクター・ノウの皺だらけの顔は、恐怖と憎悪で歪んでいる。
 足元に感じる、衝撃。
 迫ってきている、オメガガールが。
 処刑したはずの正義の戦士が、まさかの復活を果たしてこの身に迫ってきている。
 科学技術の粋を集めた防御設備も、掻き集めた『ジャッカル』の怪人どもも、なんの役にも立ちはしない。罠を刺客を、次々に突破する青と赤の天使。ノウの耳に飛び込んでくるのは、我が軍の敗残の知らせばかりであった。

「ええいッ、なにをしておる! 死に掛けの小娘ひとり相手に・・・アルファ粒子を使えば、無敵のオメガガールとてイチコロではないかッ!」

「ケケケ・・・アルファ粒子の恐ろしさを知った以上、オメガガールちゃんも、簡単には食らってくれないだろうねえ。あの超人的スピードとパワーの前じゃ・・・よほどのヤツじゃないと、お嬢ちゃんには敵わねえだろうぜェ」

「なにを呑気なことを言っておる、ロウガッ! ならば貴様が小娘にトドメを刺してこい!」

「言われなくても、いい方法は思いついてるぜェ、ノウの爺さんよォ」

 汗まみれの顔で叫ぶノウを茶化すように、狼男はヘラヘラと笑っていた。

「じゃあ、まずはバーバラ、あんたが行ってきな。下の階で、オメガガールを食い止めてみせるんだな」

 外観的にはブラック・ボックスの最上階に当たる部屋。なにもない殺風景な広間に、オメガガールは突入していた。
 この上に隠された暗黒の部屋こそ、ノウの居場所であることはわかっていた。痛々しい記憶が、天音の胸に蘇ってくる。アルファ粒子による、壮絶な拷問。プライドを粉々にされた恥辱の嵐。無惨な敗北を喫した、屈辱の場所・・・だが同じ場所で、今度はドクター・ノウに敗北を味あわせる番であった。人類の希望を戻し、殺害された家族の無念を晴らし、己が受けた惨敗を倍返しにする。決着のときは、もう間もなくだ。

「忌々しい小娘めッ! おとなしく地獄に沈んでいればいいものをッ!!」

 唸りをあげて飛んだバーバラの鞭を、間一髪のところでオメガガールは避けた。

「バーバラ! あなたとも決着をつけるときが来たようね!」

「決着ぅ? ハン、忘れたのかい?! 私に泣き叫んで命乞いしたことを! お前は自分の口で、私に負けましたと言ったんだよ!」

 アルファ粒子製の黄色の鞭が唸り飛ぶ。
 超速度の鞭の前に、さすがのオメガガールも眼で捉えることはできないようだった。以前闘ったときのような余裕は、美しき戦乙女にはない。究極の少女戦士といえど、アルファ粒子の武器を持った『ジャッカル』幹部の相手を務めるのは、決して楽な作業ではなかった。

「チッ・・・やれいッ、バーバラ! なにをモタモタしとる・・・オメガガールを刻み殺すのじゃ!」

 下の階の様子をモニターで眺めるノウが唾を飛ばして叫ぶ。我が春を謳った犯罪組織『ジャッカル』の総帥が頼れるものは、いまやバーバラと傍らにいるロウガとのみ。もしバーバラが敗れれば、この窮地にもどこか楽しんでいるような、狼男しか駒はないのだ。

「ロウガッ、お前もバーバラと一緒に闘え! ふたりでなら、オメガガールを倒すこともできるじゃろう?!」

「ククク・・・それはどうかねえ。バーバラ程度じゃあ、お嬢ちゃんには勝てねえと思うぜェ」

「なんじゃと?! ではお前のいう、良い方法とは一体・・・」

 パパパパパンンンッッ!!!

 甲高い炸裂音が、モニターの向こうから響き渡る。
 ロウガの台詞を裏切るように、バーバラの魔鞭が、オメガガールのコスチュームを引き裂くところであった。スーツの切れ端が舞い、乙女の鮮血が飛び散る。柔肌を裂かれる激痛に、美戦士は悲痛な絶叫を奏でていた。

「よしッ!! やれいッ、バーバラ!!」

 食い入るようにモニターにしがみつくドクター・ノウ。
 その液晶画面の向こうで、血に濡れたオメガガールの右手は、バーバラの鞭をしっかりと握りしめる。
 鞭ごと引っ張られ、宙を飛ぶSM女王の身体。
 そのたるんだ腹部に、オメガガール渾身のボディブローが突き刺さる。

「殺しはしないわ・・・あなたたちには、法律の裁きが待っているから」

 裂けたコスチュームの間から覗く、血の滲む皮膚を左手で押さえながら、床に落ちるバーバラにオメガガールは言い放った。

「お、おのれェェ~~ッッ、オメガガールめェェ~~ッッ!!」

「どうやら、終わりみたいだなァ」

 呪詛の言葉をモニターに吐きかけるノウに、ロウガはのんびりとした口調で語りかけた。

 ドボオオオオオオッッ!!!

「え?!」

 ロウガの右腕が、己の心臓を貫いて飛び出すのを、ドクター・ノウは見た。
 狂気の天才科学者、怪異な老人の最期。
 世界を支配するかと思われた『ジャッカル』の総帥は、呆気ないほど容易く、その長き生命に終止符を打ったのであった。

 ガッシャアアアンンンッッ・・・!!

 ブラック・ボックスの最上階、窓ガラスを割って投げ捨てられる紫の物体。

「ノ・・・ノウ?!」

 それがガウンを着たドクター・ノウの肉体であると知って、反射的にオメガガールの肢体もまた、窓の外へと飛び出していた。落下する物体を追って、深紅のケープが急降下する。
 地面に激突する寸前、仇敵と知りつつその身体を救い上げたのは、正義のヒロインのどうしようもない条件反射だったのかもしれない。
 すでに、胸のなかのノウは息絶えていた。心臓を抉り抜かれて。

「こ、これは・・・一体?!」

 ケラケラと甲高い笑い声が、漆黒の高層ビルの屋上から降ってくる。
 満月を背景に笑うのは、狼男ロウガ。
 ノウにトドメを刺した張本人は、悪びれることなくケタケタと笑い続ける。

「ロウガッ?! どういうつもりなのッ!!」

「爺さんの時代は、もう終わりってことさァ!」

 真っ赤な舌を出して、狼男は唇を吊り上げる。

「あんたの勝ちだァ、オメガガールちゃん♪ ドクター・ノウは死に、『ジャッカル』は壊滅した。これからは、このオレ、ロウガ様の時代だぜェッ!!」

「あなたの思い通りになんて、このオメガガールが許さないわ」

 凛々しき乙女戦士と、狡猾な狼男とが視線を交わす。
 地上と遥か空中とで、最後の改造怪人と正義のヒロインは見詰め続けた。

「あんたは強い。だが、ノウの爺さんはオレ様にいいプレゼントをして逝ったぜェェ!!」

 ロウガの指に光る、十本の黄色の爪。
 『ジャッカル』は倒した。死闘の末、オメガガールは勝利を得たのだ。しかし、無敵のヒロインを苦悶の海に沈める、最大の弱点アルファ粒子は、ノウの手を経てロウガの手にと渡ったのだ。

「今は逃げさせてもらうぜ。だが、次に会うときは、そのキレイな肌をアルファ粒子で切り裂くときだァァッ!」

「・・・私は逃げも隠れもしない。いつでも来るといいわ、ロウガ。オメガガールは、決して負けない」

 笑い声を残して、剛毛に包まれた狼の姿は、消え去っていた。
 東の空から、太陽の光が昇ってくる。
 長い、長い夜は明けた。そして新たな一日を告げる柔らかな光が、死線を乗り越えた、美しき乙女の頬を照らす。

「父さん・・・母さん・・・」

 ひとつの物語が終わり、新たな物語が始まることを知らせる鳥たちのさえずりが、光を取り戻した街に染み渡っていった。


                  <完>
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| オメガガール | 23:15 | トラックバック:0コメント:10
オメガガール7章ー1
 7

「チッ・・・つまらねえ役目だぜ」

 銀色のボディスーツに細長い身体を包んだオールバックの男は、吐き捨てるように呟いた。
 犯罪組織『ジャッカル』の最高幹部のひとり、シルバー。
 数時間前、彼ら改造怪人に抵抗する唯一の存在であったオメガガールを処刑した地に、長身の男はいまだ留まっていた。
 天空に昇っているのは、真ん丸の満月。銀のスーツが闇夜に青い光を跳ね返している。地上60mの高さに作られた正方形の屋上=スクエア・ガーデンに銀色の男が佇む姿は、幻想的な趣もないではなかった。

 全世界のテレビと高層ビルの壁画モニターにライブ中継された、正義のヒロインの処刑ショーは、人々の悲鳴と絶叫を津波のように巻き起こした。
 シルバーにとっては陶酔するほどの甘美な響き。やがてその切なる声の連なりは、モノ扱いされて引き摺られる美乙女が、完全に息絶えていることを悟るにつれて静まっていく。
 スーパーヒロインの死体を十字磔にして掲げたときには、数十万という人の群れからはただの一言も洩れては来なかった。

 正義の守護女神・オメガガール・・・完全敗北の日。
 『ジャッカル』にとって、至福の瞬間であった。

 いま、シルバーの眼下には、人影ひとつ見えない。廃墟のような灰色の街が月光に照らされている。
 希望を失った人類が突入した、暗黒時代の幕開け――
 その象徴であるオメガガールの亡骸は、今、シルバーの目の前にある。数時間前と同じ、アルファ粒子製の十字架に掛けられた姿で・・・美しき乙女の瞳は、もはやなんらの光も映さず、コスチュームが強調する肉感的なボディは、一切の活動を停止して冷たくなっている。全身に鞭の痕、乳首には爪、素肌を埋め尽くす赤黒い火傷、こびりついた精液・・・これでもか、というほどに蹂躙され、陵辱され抜いた惨死体は、今宵から王として君臨する『ジャッカル』の恐ろしさを如実に物語っている。
 忌々しいオメガガールが迎えた哀れな末路を見るたびに、シルバーの顔には笑みが広がった。今、一番の楽しみは、正義を気取った小娘の、破滅の姿を眺めることだと言っていい。
 だが、己に下された現状を見るたびに、電流を操る怪人の心は苛立ちに似た思いを覚えていた。

「今頃、ノウ様やバーバラは祝賀パーティーの真っ最中というところか。よりによって、なんでオレたちがこんな役目を」

「仕方あるまい。我らの恐ろしさを知り抜いてはいても、オメガガールの亡骸を晒すのは忍びないという連中が現れるかもしれないからな。誰かが見張り番をしないと」

 どっかとコンクリの屋上に腰を下ろした、金色のボディスーツを着た肥満体は、兄の威厳を示すように落ち着いた声で言った。
 ゴールドとシルバー、ふたりの兄弟に、オメガガールの死体を見張っておくよう命令したのは、総帥ドクター・ノウであった。
 これまで人類のために身を張って、ひとり闘い抜いてきたプラチナ天使。死闘の果てに散った乙女戦士を、せめて安らかに葬りたいという思いが勇気ある人々に芽生えても不思議ではない。『ジャッカル』に歯向かう者を死して尚嬲りたいノウが、十字磔の姿を永遠に晒したいと思っているのは確かだが、それ以上にオメガガールの遺体を奪回されることをマッド・サイエンティストは怖れていた。
 アルファ粒子という、オメガガール最大の弱点を発見して破滅に導いた天才科学者といえど、いまだ究極少女の能力を全て見抜いたわけではない。不明な部分も多く残されているのだ。
 オメガガール=四之宮天音の脳波も心臓も、止まっていることはわかっている。間違いなく美乙女は絶命していた。だがそれでも・・・青と赤の天使は二度と復活しないと言い切れなかった。そのわずかな不安があるからこそ、最高幹部のゴールド&シルバーを天使処刑の地に残したのだ。

「フン。ノウ様もお年を召したようだな。ビビリすぎじゃないのか?」

「おい、口が過ぎるぞ、シルバー」

「だって考えてもみろよ。オメガガールの奪回だと? 誰が、この場所に来られるっていうんだ」

 スクエア・ガーデンのある高層ビルは、いまやドクター・ノウの手により鉄壁の要塞と化していた。
 あらゆる罠と科学技術の粋が集められたビルには、核ミサイルすら通じぬ防御力とアリ一匹逃さぬ精密さが備えられている。ビルに侵入しこの屋上までやってくるのは、あらゆる国の特殊部隊が束になってかかっても不可能だ。

「オレがムカつくのは、パーティーに参加できないなんてくだらない理由じゃない。無意味な仕事をやらされることさ。来るはずのない敵を待つことになんの意味がある?」

「敵が来ないとは言い切れんぞ」

「本当にそう思うのか、ゴールド? もし、この場に現れるヤツがいるとすれば・・・」

 銀色の男の細い目が、動くことのない磔の美乙女を見詰める。

「オメガガール、本人くらいなもんだろうさ」

 ドガガガガッッッーーーッッッ!!!

 轟音は突如、足元のコンクリートから沸き起こった。
 なにが起きたのか?! 悟る間も与えられず混乱するシルバーの目の前で、爆発するように床を吹き飛ばしながら、赤と白の物体が空中に飛び出す。
 人間?! 敵か?! まさか、このビルを突破してくる者などッ?!
 急速に展開した有り得ない事態に、処理の追いつけない改造怪人の脳は、ただ満月をバックに宙を舞う、ヒトの形をしたその鮮やかな姿を認識する。

 風を受ける深紅のケープ。同じクレムゾンレッドのフレアミニ。
 見事なプロポーションを際立たせる、ぴっちりとした純白のボディスーツ。淑やかさすら感じさせる巻いた髪は、眩いばかりの黄金色。黒目がちなくりっとした瞳と八重歯が愛らしい、整った顔立ちの美女。
 そして、胸にゴールドに輝くのは、忘れもしないオメガのマーク。

 オメガガール。
 スーツの色こそ青から白へと変わっているものの、その可憐ながら凛々しいコスチュームは、紛れもなく究極の力を誇るスーパーヒロインのもの。だが、オメガガールは死んだ、いや、この手で処刑したはずだ。現実にすぐ近くの黄色の十字架には、息絶えた乙女の肢体が磔にされてぶらさがったまま・・・

 ブンッッ!!!

 ケープを翻し、弾丸と化した白い女神が、驚愕で固まった銀色の長身に特攻する。
 地上60mまでを一気に上昇し、自在に空中を飛ぶ飛翔能力。間違いない、こんな芸当ができるのは、『ジャッカル』の怪人以外にはオメガの戦士しか存在しない。オメガガール。もうひとりのオメガガール。無念の死を遂げた仲間のために、かつて見たことのない新たな究極天使が参上したのだ。

 混乱する脳内にあって尚、シルバーが逆襲に転じることができたのは、さすがは『ジャッカル』最高幹部というべきか。

 電撃を宿した拳がカウンターで、飛翔する白き女神に襲いかかる。
 アフリカ象すら一撃にして黒焦げにする電流拳は、巻き髪の乙女の片手に、容易く受け止められていた。

 突撃の勢いが加速された美戦士のストレートパンチは、シルバーに直撃した瞬間、爆発にも似た衝撃音を奏でていた。

 銀の怪人が吹っ飛ぶ。屋上の床と水平に。マッハを越えるスピードで、広大なスクエア・ガーデンを一直線に横切ってコンクリの壁に激突する。

「こッ・・・このアマッッ!!」

 白きオメガガールの背後に殺到したのは、弟を倒され激昂するゴールドであった。
 鞠のごとき肉体に似合わぬ超スピード。シルバーを倒し安心したのか、戦士としては無防備すぎる格好で佇んだ究極乙女の後頭部に、両拳で作った手斧を打ち下ろす。
 ガコンッッッ!!!
 鉄骨をへし折るような重い響き。
 だが脳挫傷は免れぬはずの打撃を確実に食らったというのに、白きオメガガールは肩でも叩かれたのごとく平然と振り返る。

 乙女のアッパーブローは、いかにも女のコらしい、弱々しく微笑ましくさえあるものだった。
 しかし、オメガ粒子を浴びた戦士のパワーは、『ジャッカル』の改造怪人を遥かに凌駕するものだった。
 顎を砕かれたゴールドの巨体が、天高く打ち上げられる。満月を背景に。
 グシャリという音とともに、加速のついた肥満体はスキンヘッドからスクエア・ガーデンの屋上に打ち付けられていた。

「・・・天音ちゃん・・・・・・」

 静まり返ったスクエア・ガーデンに、悲痛に満ちた白きオメガガールの言葉が流れていく。
 リスのような瞳に悲哀と後悔の色を濃くしながらも、新たな美戦士の表情には、いまだ強い意志が刻まれていた。ケープをなびかせ、無惨な姿を晒した少女戦士の元へと駆け寄る。十字架の拘束を破壊するや、ボロボロのコスチュームを纏ったまま冷たくなった四之宮天音の肉体がドサリと落ちた。

「酷い・・・こんな・・・こんな姿に・・・・・・私のせいで・・・私が、あなたをオメガガールにしなければッ・・・!!」

 ぐっと唇を噛む白き乙女の正体は、オメガガールの生みの親であり、天音にオメガ粒子を与えた天才科学者・九宝明日香であった。

「けれど・・・あなたをこのまま、死なせなどしないわ」

 明日香・・・白きオメガガールが取り出したのは、小型のグレネード・ランチャーというべき手筒の銃器。
 白い乳房を剥き出しにした胸の中央、オメガマークがあるべきその場所に小型砲を当てた明日香が、躊躇いなく引き金を引く。

「普通の少女である天音ちゃんに、鋼鉄の皮膚を与え、空翔る能力を授け、大地を割る怪力をもたらすオメガ粒子・・・その莫大なエネルギーならば、数時間前に機能停止した人間の身体を蘇生させるのも、決して不可能ではないはず! ましてや天音ちゃんは、オメガ粒子に愛された、数千万分の1の奇跡なのだから」

 これまでに作成・収集した全てのオメガ粒子。
 九宝明日香とその父・利一、天才親子が何年もかけて作り上げた集大成を、小型砲に込め天音の死体に注入する。それはオメガガール復活の唯一の方法であり、人類の運命を左右する巨大な賭けであった。
 オメガ粒子で死者を蘇生させるなど、もちろん実験したことはない。だが明日香の考えによれば、その確率は決して低いものではなかった。オメガ粒子の凄まじい能力を思えば、崩壊した肉体を蘇らせるのも、有り得ないことではない。

 しかし、そのために現存する全てのオメガ粒子を捧げることは、戦略の面から考えれば、よい選択肢とは到底思われなかった。
 仮に失敗すれば、オメガ粒子という人類の希望は完全に世界から潰えてしまう。『ジャッカル』の支配という暗黒時代から解放されるチャンスを、人類は半永久的に失うことになるのだ。
 慎重で、確実で、もっとも有効的な作戦を取るならば、天音に代わる新たなオメガガールを探すため、オメガ粒子は秘匿しておくべきであった。密かに実験を繰り返していけば、きっと天音に代わる新たな戦士は現れる。それは明日香にしても、よく理解していることだった。四之宮天音を見殺しにさえすれば、何年か後、人類は再び『ジャッカル』と対抗する戦士を得られるはずなのだ。

 全てを理解したうえで、九宝明日香は、天音を救出する道を選んだ。
 失敗すれば、人類の完全なる敗北が訪れるとわかっていても。

「人類よりも・・・今の私は、苦しみのなか、ひとり孤独に闘ってきたあなたを助けたい! 人類の希望・オメガガールは、天音ちゃん以外に考えられないの!」

 小型ランチャーに込められた全てのオメガ粒子が、天音の肉体に打ち込まれる。そのエネルギー量は、恐らく核すら遠く及ばないであろう。
 だが。それでも。
 ぐったりとしたオメガガールの屍からは、生命の息吹すら感じない。

「くッ・・・」

「無駄だ。死んだ人間が生き返ることなどない」

 苦渋に歪む明日香の耳に飛び込む、追い打ちの悪夢。
 ゴールドとシルバー、ふたりの最高幹部が立っていた。
 血にまみれた顔面を、憤怒で燃やしながら。急造オメガガールである明日香の打撃では、『ジャッカル』幹部を撃退するまでには至らなかったのだ。不意の急襲にひるんだ先程とは違い、絶対の自信が表情に漂っている。怪人たちは気付いていた。この白きオメガガールが、本物のオメガガールほどの実力を持たぬことを。そしてアルファ粒子を操れる今の自分たちならば、もはやオメガガールなど、怖れる相手ではないことを。

「だったら!」

 明日香が己の胸に輝くオメガマークを、横臥する天音の胸へと押し付ける。
 白銀の光の奔流が、ふたりの美乙女の肢体を包んだ。
 明日香もわかっている。初めてオメガ粒子を纏った自分では、『ジャッカル』幹部ふたりを敵に回し、勝利するのは難しいことを。仮にオメガ粒子を手に入れた己では、完全に戦闘態勢に入ったゴールド・シルバー兄弟には勝てないことを。

 オメガ粒子を纏えないはずの明日香が、オメガガールへと変身できた理由。それはその、白いスーツに秘密があった。
 天音が自らの力でブルーのスーツや深紅のフレアミニを作り出しているのとは違い、明日香のコスチュームは、初めから科学技術の粋を集めて製作されたものなのだ。
 熱や電流、衝撃に強いというだけではない。最大の特徴は、オメガ粒子をそのスーツ自体に貯蔵できること。長年の研究の果て、ついに明日香は繊維にすらオメガ粒子を保存させることに成功したのだ。

 つまり、白いスーツは誰をもオメガガールに変身可能にするアイテム。
 その能力は、本物のオメガガールに比べれば何十分の1というものだ。しかし試作品段階のそれを明日香自ら使わねば、オメガガール=四之宮天音の救出は有り得ない。半ば死を覚悟せねば、明日香がこの場に現れることはなかった。

 そして今、スーツに残存した全てのオメガ粒子を、明日香は己が闘う力にではなく、オメガガール復活の最後の望みを託して捧げたのだ。

 金色に輝いていた明日香のカールした髪が、見る見るうちに茶色に変わっていく。
 白きオメガガールを纏っていた、発光するような輝き。光の奔流が横たわる敗北天使に吸い込まれたと同時、光のオーラは消え去り、九宝明日香はオメガガールのコスプレをした、無力な美女へと戻っていた。

「愚かなメスめ。見苦しい悪足掻きは終わったか?」

 放心したように動かぬ天音を見詰め続ける明日香の両腕が、左右から挟み撃ちにしたゴールドとシルバーによって握られる。
 28歳のキュートな美女科学者の全身を、人間が耐えるには辛すぎる電流が駆け抜けていく。

「キャアアアアアアアアッッーーーッッッ!!!」

「フハハ! 見張りとなったことを感謝せねばな。オメガガールをふたりも処刑できるとは!」

「グフフ・・・まあ待て、シルバー。すぐに殺すのは勿体無い。せっかくのエモノ、我ら兄弟でたっぷり堪能しようではないか」

 白きオメガガールの姿はしていても、もはや明日香にはオメガ粒子は残っていない。柔らかで女性らしい丸みを帯びた肢体は、壮絶な、しかし十分な計算をもって手加減された電流刑にヒクヒクと痙攣を繰り返す。
 ボリュームある、熟れきった胸の果実。
 片方づつを握り潰しながら、ゴールドとシルバーは、哀れな女体を再び高圧電流で焼いた。

「ヒギャアアアアアアッッーーーッッッ!!! アアアアッッ~~~ッッッ!!!」

 『ジャッカル』に歯向かった無力な乙女がどうなるのか。
 涎と泡を吐き散らしながら、悶絶のダンスを踊り続ける明日香の姿は、絶望に沈む人々を、更なる暗黒へ突き落としていく。

 叫びながら、哀れに失神してしまった白い女神の両腕を、高々と兄弟怪人は差し上げる。
 それぞれの肩に、一気に細腕を振り下ろす。ボキンッッ!! やけに澄んだ音色。明日香のふたつの腕は、有り得ない方向に曲がってへし折られていた。

「ハハハハ! 次は足だ」

 ドサリと放り投げられる、白と赤のコスチューム。
 背中を反り返し、仰向けの態勢でピクピクと震える白きオメガガール。
 そのスラリと細い足の膝部分を、ゴールドとシルバーは容赦なく踏み潰した。
 膝の粉砕される凄惨な音に、明日香の痛々しい絶叫が重なる。

 四肢を破壊され、電流で焼かれた肢体から煙を立ち昇らせる九宝明日香。
 オメガガール救出のため、決死の覚悟で立ち向かった白いオメガガールを迎えたのは、無惨なまでの敗北の末路であった。

「トドメだ。お前は・・・心臓と腸を抉り出してやる」

 これ以上ない残酷処刑を執行するため、ゴールドの手がパクパクと唇を震わせるだけの明日香の豊満な肢体に伸びる。

「待て」

 有り得るはずのない声に、ふたりの兄弟怪人は、一斉に背後を振り返っていた。

「明日香・・・さんに・・・は・・・・・・手を・・・出す・・・な・・・・・・」

 絶え絶えの息。苦痛に歪む美貌。ガクガクと震える白い脚。
 それでも、腰に両手を当てた強気のポーズで構えたまま、蘇ったオメガガール=四之宮天音は、悪の怪人の前に再び、ヒロインらしき雄姿で立ち塞がっていた。
 オメガガール、最後の闘いが始まる――


| オメガガール | 23:50 | トラックバック:0コメント:1
オメガガール6章
 6

 十字架に磔にされたオメガガールが、絶望に沈む人々の衆目に晒される。
 正義のヒロインが悪の処刑計画に敗れ去ったその日、犯罪組織『ジャッカル』による凱旋のパレードは、大都会を一周して続けられた。
 ドクター・ノウの操る戦車のような乗り物、その頂上に備え付けられた台座。
 黄色に光る結晶で作られた十字架に、青のボディスーツと真紅のミニスカ、そして同じ色のケープを纏ったお馴染みの聖天使の肢体が拘束されている。
 人類の希望、そしてたったひとりで恐るべき改造怪人の集団を倒してきた、究極戦士オメガガール。
 だが、いまその姿は、見るも無惨に変わり果てていた。

 破れたことすら見たことのないブルーのスーツはところどころ白肌を露出させ、胸の部分は惨めさを強調するように千切り取られてしまっている。
 見事な丸みを帯びた豊満なバストは、火傷と切り傷で赤黒く変色し、頂点の桃色の突起には、黄色の爪がズブズブと突き埋められていた。
 元々短い真紅のミニスカは、獰猛な牙に噛み付かれたように引き裂かれ、半分以上がなくなっている。眩しいほどの白い太腿には、鞭の痕と思われる無数のミミズ腫れ。分厚く丈夫な真紅のブーツにさえ、ダメージの跡が窺える。
 ボロ雑巾と化したオメガマーク入りのケープは、超少女が悪に堕ちたことを示すように十字架の端にくくりつけられていた。バサバサと風になびくたび、囚われたヒロインの悲痛がただ嘆くことしかできない人々の胸を打つ。
 四肢や腰、首に巻きつけられた黄色の鎖には、時折電磁が流れていることを表す火花がバチバチと鳴る。もう最大の弱点アルファ粒子を流さずとも、オメガガールは抵抗不能だというのに・・・途切れることない苦痛を『ジャッカル』は浴びせ続けていた。
 そして、肉感的で若々しい美乙女の全身を濡れ光らす、白濁の汚物・・・
 誰の目にも明らかに、オメガガールが完膚なき敗北を喫したことを、その惨状は語っていた。

「見よ、虫けらのごとき人類よ。お前たちが希望とするオメガガールは、我らが『ジャッカル』の軍門に下った! オメガガールなど、このドクター・ノウの敵ではないわ!」

 しわがれた声が大音量で勝利の宣告を賜う。その背後でBGM代わりに流れているのは、拷問の最中、オメガガール自身が発した弱々しい懇願の台詞であった。

『わ、わたしの・・・負けですぅぅッッーーーッッッ!!! 服従でもォッ・・・なんでもッ・・・しま・・・す・・・ゆ、許してェェッ~~ッッ!!・・・お、お願いィィ・・・もうッ・・・許して・・・くだ・・・さい・・・・・・』

 圧倒的な力で常に余裕を誇った、無敵のスーパー・ヒロイン、オメガガール。
 究極であったはずの乙女戦士の、残酷極まりない敗北の事実は、『ジャッカル』による市中引き回しの刑により、広く知らしめられた。

 オメガガールは、負けた。
 『ジャッカル』の、ドクター・ノウの奸計に成す術もなく敗れてしまった。

 打ちひしがれる人々に、更なる無情の宣言がノウによって伝えられる。

「これよりオメガガールの処刑を、スクエア・ガーデンにおいて執行する! 戦女神の死滅する姿なぞ、滅多に拝めるものではないぞ! さあ、虫けらどもよ、その眼に焼き付けるがいい。愚かな小娘の最期を! オメガガールの死に様を!」

 スクエア・ガーデン・・・地上60mの空中に浮かぶ、広大な正方形の敷地は、高層ビルの屋上に作られた新名所であった。
 天に近い、だだっ広いその場所こそ、ノウが選んだプラチナ天使・処刑の地。
 予め用意されていた数台のカメラが、屋上の様子をリアルタイムでビルの壁面、巨大な液晶モニターに映し出す。オメガガールの死の瞬間を、多くの観衆たちに見せつけようというのだ。

 大都会を一周し、若き乙女の恥辱に満ちた半裸体を見せしめたパレードが終わる。
 やがて最後の奇跡を信じて集まった人々の目に、液晶モニターに映された、十字架の女神の姿が飛び込んできた。

「ヒヒヒ・・・よく集まったのう。残酷な場面を見たいという欲求は、人間の隠しきれない一面じゃて」

 スクエア・ガーデンの遥か足元、数万人と思われる波打つ人影を見下ろして、醜悪な老人は喜悦に咽んだ。
 広い敷地、高層ビルの屋上に立つのは、『ジャッカル』幹部と囚われの美乙女のみ。自動操縦のカメラが、オメガガールの傷だらけの肉体を、苦悶に歪んだ表情を、余すことなくレンズに捉えて放映し続けている。

「肉体を破壊し、精神を屈服させ、陵辱し尽くし、敗北の事実を満天下に知らせた。我が『オメガガール抹殺計画』は完成を迎えた。これ以上、この憎き小娘を生かす必要はない」

「フフフ・・・ざまァないねェ、オメガガール・・・いよいよオシマイの時だよ」

「トドメだ、オメガガール。『ジャッカル』の積み重なる恨み、その身に背負って逝け」

「ケケケ・・・正義の味方も、哀れなもんだねェ」

 ドクター・ノウ、バーバラ、ゴールド&シルバー兄弟、ロウガ・・・憎悪と侮蔑のこもった視線が、磔の美戦士に一斉に注がれる。長い睫毛を縫い合わせたように閉じられた瞳は、無念の相を示してフルフルと震えた。

「解放せい」

 ノウの合図とともに、アルファ粒子製の十字架から、青と赤の天使が引き剥がされる。
 グラリと揺れた肢体は、うつ伏せで屋上のコンクリートにドシャリと落ちた。ピクン、ピクンと小刻みに揺れる乙女を、取り囲んで見下ろす悪の幹部。破れたフレアミニから覗く白いヒップの丸みが、やけに生々しい。太腿から背中にかけて、鞭の赤黒い痕が、ビッシリと刻まれている。

(私・・・は・・・ここ・・・で・・・・・・死ぬ・・・の?!・・・)

 着実に迫る死の予感を前に、オメガガール=四之宮天音の脳裏は、しかし、まだ、最後の抵抗を試みようとしていた。
 完全な敗北を遂げたのも、醜態を全人類に晒したのも、残されたオメガ粒子がほんの微かであることもわかっている。逆転の手段がないことも。だが・・・天音に残された、守護天使としての想いが、肉親を殺された『ジャッカル』への憎しみが、不確定ながら最後の望みを美麗乙女に与えていた。

 胸元に輝く、金のロザリオ。
 オメガガールの生みの親である、科学者・九宝明日香が持たせたアクセサリー。明日香からなにも説明を受けてはいないが、敢えて、そして必ずこのロザリオを持たせているのは、なんらかの理由があるはずだ。
 ブレスレットを失った以上、オメガガールが頼りにするのはこのロザリオしかない。
 どんな秘密があるのか、まるでわからなくとも・・・もう瀕死のヒロイン戦士には、胸のアクセサリーに賭けてみるしか、生存の可能性はなかった。

 ズルッ・・・ズルッ・・・

 ほんのわずか、ほんの少しづつ、這いずるように右手を胸元へと近付けていくオメガガール。
 処刑の瞬間は、刻々とその身に迫っている。今、ここでしか、奇跡的な逆転のチャンスは掴めはしない。

「やはり、まだ秘密が隠されておるようじゃのう」

 グシャリッ・・・
 あと数cmでロザリオに届くというところで、オメガガールの右手はドクター・ノウに踏みつけられていた。

「あ、あうッ・・・うぐ・・・ア・アアッ・・・・・・」

「きっとこのロザリオにも秘めた能力があると睨んでおったわ。油断のならぬ小娘め。死に掛けのくせに、まだ反撃を狙っておるとは・・・」

 オメガガールが託した最後の望みは、ドクター・ノウの前では全て看破されていた。
 金のロザリオが怪老の手に握られる。悪によってアクセサリーが調べられるのを、哀れな天使はどうすることもできなかった。
 もはや全ては・・・終わったのだ。

「ヒョッヒョッヒョッ! くだらん。実にくだらんのう!」

 狂科学者に投げ捨てられた十字架のアクセサリーは、パカリと真ん中から開いていた。
 ロザリオの中にあったのは、笑顔で映った4人の家族の集合写真。
 オメガガールになる以前の四之宮天音が手に入れていた、平凡な幸福に包まれていた頃の写真。
 九宝明日香が密かにオメガガールに渡していたのは、闘うためのアイテムではなかった。
 孤独な闘いを続ける天音の幸せを願った、祈り。
 そして、その願いはいま・・・叶うことなく終焉のときを迎える。

「オメガガール!! 四之宮天音の処刑を執行する!!」

 ドクター・ノウが高らかに宣告するや、ゴールドとシルバーの兄弟がオメガガールの脇を抱えて強引に立ち上がらせる。
 そのふたつの乳房と股間に、ピタリと当てられたのは、バズーカ砲を彷彿とさせる、『アルファ粒子ビーム砲』。
 ノウ、ロウガ、バーバラの構えたオメガガール抹殺兵器が、ゼロ距離からMAXパワーで乙女の急所に一斉に放射される。

 ズババババババババババッッッーーーーッッッ!!!!

「ゴボオウウッッ!!!」

 美麗乙女の潤んだ唇から、大量の血塊が噴き出す。
 青のボディスーツが、深紅のフレアミニが衝撃で弾け飛ぶ。
 パラパラとヒロインのコスチュームが飛散するなか、金色のストレートヘアーを振り乱したオメガガールは、幻想的なまでに舞い踊った。

(父・・・さん・・・・・・母・・・さん・・・・・・明日香・・・さん・・・・・・わ、私・・・・・・私は・・・・・・もう・・・・・・)

 魅惑的な瞳で虚空を見詰めたその表情は・・・美しかった。
 救いを求めるように、オメガガールの右腕が、天に向かって差し延べられる。

「今じゃ! オメガガールを、『アルファプリズン』に閉じ込めよ!!」

 ドクター・ノウの合図とともに、究極少女の左右から、ふたつに割れた半透明の巨大なカプセルが迫る。

 ガシャアアアアンンンンンッッッ・・・!!!

 合体すると円柱となる黄色がかった透明カプセルは、その内部に直立する青と赤と金色の天使を閉じ込めていた。

「ヒョッヒョッヒョッ!! 死ねィィィッッ、オメガガールぅぅッッ!!!」

 アルファ粒子のカプセルに捕獲されたオメガガールの全身に、黄色の殺戮光線が最大量で放射される!

「アアアアアアアアアアアッッッーーーーーッッッッ!!!!」

 絶叫する美乙女に構うことなく、反オメガ粒子は照射を続ける。
 オメガガールに残存するオメガ粒子――ゼロ。
 悲鳴が途絶え、ヒロインの肢体がピクリとも動かなくなっても、破壊光線は絶命したオメガガールを焼き続けた。
 狭いカプセル内で、気をつけの姿勢のまま、天空を見上げたオメガガール。
 苦悶に美貌を歪め、叫ぶ口を大きく開き、見開いた瞳から涙を流し続ける無惨な表情・・・彫像のように硬直したオメガガールの惨死体が、巨大モニターに映し出される。

「『オメガガール抹殺計画』・・・完了じゃ」

 オメガガール=四之宮天音の生命活動は、その全てを停止していた。
 無敵のスーパー・ヒロインは悪の罠に嵌り、コスチュームを引き裂かれ、バストも秘部も露わにした惨めな姿で、悶絶の表情を刻んだまま、その屍を地上60mに晒す最期を遂げた。
 犯罪組織と孤独な闘いを続けてきた、青と赤の天使オメガガールの公開処刑はついに執行され、その哀れな死体は全世界のテレビ画面に放映され続けた。

 血と傷と精液にまみれたオメガガールの死体を、『ジャッカル』の幹部はスクエア・ガーデンに設置したアルファ粒子製の十字架に磔にした。
 惨死を遂げた美乙女の肢体は、滅びて尚、犯罪組織の勝利の象徴として晒されることとなった。
 絶命したオメガガールの姿は、未来永劫、地上60mの地に見せしめとして放置されるのだ。
 磔にされた究極少女を囲んで、怪人たちが笑う。嘲笑する。哄笑する。
 だが・・・十字架処刑されたオメガガール、四之宮天音には甘んじてそれを受けるしかなかった。

 オメガガールは、死んだ。


| オメガガール | 17:29 | トラックバック:0コメント:9
オメガガール5章ー3
「フフフ、生意気な小娘も、ついに壊れちまったようだねェ」

 バーバラの笑いは愉悦に満ちていた。宙吊りの敗北天使を囲む、犯罪集団の幹部4人。さんざん煮え湯を飲まされてきた憎き小娘が、心身ともにボロボロにされて惨めに目の前にぶらさがっている・・・かつてない快感に、悪党たちの頬は歪みっぱなしであった。

「どうした? 手も足もでないのか、正義のヒロインさんよォォ」

「ヒイヒイ喘ぎおって、小娘が・・・いいザマだ」

「なにがオメガガールよ! 『ジャッカル』に歯向かうとどんな末路を辿るか、よくわかったかしら、このメスブタ!」

 怒りに任せたバーバラの鞭が、脱力したオメガガールの背を深紅のケープ越しに打ち叩く。
 切り裂くような熱と痛みに四之宮天音の柳眉は八の字に歪んだ。美乙女を究極の戦士たらしめているオメガ粒子は、敵である『ジャッカル』に生存ギリギリ分だけ与えられているに過ぎない。かつては幾度打たれても耐え切った魔女の鞭も、今では一度の打撃で天音の精神を根こそぎ引き抜くほどに効いてしまう。オメガマークが描かれたケープはビリビリと切り裂かれていき、ブルーのコスチュームから覗いた乙女の白肌が鮮血を滲ませていく。噛み締めた白い歯から泡が、虚空を見詰めた瞳から涙がこぼれ、人類最後の希望であったスーパーヒロインが、もはや身も心も悪に抵抗する力を持たぬことを教えた。

「アハハ! 痛いかい? 苦しいかい、オメガガール?!」

「・・・は、はい・・・ひぐうッッ?!・・・がッ、あがァッ!!・・・い、痛い、です・・・」

「さんざんバカにしやがって! 覚悟はできてるだろうねェ?」

「ゆ・・・許して・・・もう・・・殺して・・・・・・ください・・・」

「それがひとにモノを頼む態度かいッ?! ええッッ?」

「はあうッッ?!! うあッ! きゃああッッ!! や、やめェェ・・・やめてェェッ・・・お、お願い・・・お願いです・・・ゆ、許して・・・許してください・・・・・・バーバラ・・・様ァァ・・・・・・」

 愉悦を隠しもしないSM女王の嗜虐の鞭を浴び、大粒の涙をこぼしながら懇願の台詞を搾り出すオメガガール。
 囲んだ4人の幹部が高らかに哄笑する。正義の象徴であった、究極少女が纏った青と赤のコスチュームは、いまや悪党の征服欲を満たす玩具の象徴に変わり果てていた。
 鉄格子の奥から注がれる子供たちの視線に、希望の光は欠片もない。
 幼き彼らが見詰めるのは、踏み躙られた正義の少女が辿る、無惨な末路。無敵のスーパーヒロインが迎える哀れな最期を、冷ややかな瞳がじっと見続ける。

「どうやら、オメガ粒子も使いきっちまったようだ」

 銀の腕輪をいじっていたシルバーが、摘みを捻りながら言う。いくら摘みを捻ろうとも、もはやオメガ粒子は流れてこない。ブレスレットに貯蔵されたオメガガールの生命の源も、ついに全てを出し切ってしまっていた。ボロボロに破れた深紅のケープもボディスーツの背中部分も、もう二度と戻ることはない。

「ヒョッヒョッヒョッ!! 遊びもこれまでのようじゃのう」

 一段高い壇上から、オメガガールの制裁をつまみにしてワインを楽しんでいたドクター・ノウから声がかかる。復活が出来なくなったのなら、オメガガール蹂躙ゲームは終了せねばならない。あとは・・・処刑の仕上げに取り掛かるのみだ。

「ケケケ! 八つ裂きにする前に、ヒロイン様のアソコを味合わせてもらうとするか」

 赤のミニスカを無造作に捲り上げた狼男が、舌なめずりをする。黒々と毛深い下半身から突き出した男性器は形こそ人間と同じだが、30cmを越えた長さといい太さといい、天を向いて硬直したそれは怪物のような禍々しさでそびえていた。
 赤と青の美しき戦乙女は、絶望の瞳で獣欲に満ちたペニスをただ見詰める。
 バーバラとロウガ、囚われ天使の前後に立ったふたりは、アルファ粒子製の鞭をオメガガールの股間に通して、激しく摩擦し始めた。股間から切り裂かれていくような激痛の一方で、先程さんざん昂ぶらされた乙女の肢体に官能の熱が帯びていく。魂切る絶叫をあげていたオメガガールの声に、色気というべき揺らぎが含まれるまで、時間はかからなかった。

「ああああッッッ~~~ッッ!!! あふうッ、うふううッッ~~ッッ!!!」

「ギャハハハハ! 前戯はこれで十分のようだなァ、オメガガールちゃああんん♪ イキ顔も可愛らしいぜェェェ!!」

「私の鞭が汚い小娘の蜜でベトベトだわ! 鞭でイッちゃう変態オメガガール、いい気味ねェェ!!」

(ダメ、ダメェ、耐えられなッ・・・こ、こんな・・・私・・・・・・こんな、惨めな・・・)

 美麗天使がしっかりと濡れ切ったのを見計らって、ロウガがオメガガールの真下、床に寝転がろうとする。

「ええい、どけィッ、ロウガ! オメガガールを初めに食い散らすのは、このドクター・ノウじゃ! 控えておれいッ!!」

 老人とは思えぬ速度で駆け寄った『ジャッカル』の総帥は、その勢いのまま狼男を蹴り飛ばした。
 床に仰向けで寝転がったノウの下半身には、100歳を越える怪老のイチモツが猛々しく屹立していた。いかなる処置を己の身に施したのか、ロウガまでとは言わぬものの巨大なその男根は、紫に変色し、ブツブツと膿のようなイボがビッシリとひしめいている。吐き気を催す醜悪な姿に、痛みと悦楽で半失神状態に陥ったオメガガールの美貌が、ブンブンと涙の破片を撒き散らして首を振る。

「いやあああッッ~~~ッッ!!! ヤメッ、やめてェェェ~~~ッッッ!!!」

「ヒョッーッヒョッヒョッヒョォッ!! 天国に送ってやるぞい、オメガガールぅぅ!!」

 抵抗は無駄であった。いや、もうその力は四之宮天音にはない。
 聖乙女のクレヴァスが紫の亀頭に当てられた次の瞬間、スーパーヒロインの細い両肩を掴んだゴールドが、一気に美戦士の肢体を押し下げた。

 ズボオオオオッッッ!!! メリメリメリィッッ!!

「ぎぃゃあああああああああッッッーーーーッッッ!!!!」

 ペットボトルのごとき肉棒に根元まで貫かれたオメガガールの絶叫が、暗黒の処刑室にこだました。
 美乙女の股間から、ツ・・・と真紅の糸が垂れ流れていく。白目を剥いた魅惑的な瞳からボロボロと涙が溢れ、顎が外れそうに開いた口からは、涎と泡とがゴボゴボと大量に吹きこぼれる。
 残酷な、シーン。オメガガールはもう絶命したのではないかと思われるほどの。
 だが、終わらない。『ジャッカル』の怨嗟と天使処刑の儀式はまだ続く。
 ピクピクと痙攣し、破邪の力などもはや一分も感じさせぬグラマラスな肢体を、ゴールドが脇を支えて持ち上げる。
 30cmほど浮かしたオメガガールの身体を、黄金のボディスーツに身を包んだ肥満体は、不気味極まりない紫の魔羅に突き刺す。引き抜いては突き刺し、突き刺しては引き抜いて・・・そうしてふたりがかりのピストン運動で、瀕死のスーパーヒロインを犯し、破壊する。

「・・・ケッ! 老いぼれのくせに盛んなことだぜッ!」

 悪態をつきつつプラチナの髪を掴んだロウガは、串刺し陵辱に喘ぐ究極天使の顔を引き上げる。
 オメガガールの、四之宮天音の端整な美貌は、汗と涙と涎で濡れ光り、苦痛と屈辱と魔悦とでグシャグシャに歪んでいた。

「どうやら・・・オ・ワ・リのようだなァ、オメガガールちゃあああんん・・・」

 桜色の唇を割って、狼の巨魔羅が勢いよく正義のヒロインの咽喉に捻りこまれる。
 ガコンッ、と顎の外れる音。反撃の意志すら失い汚辱に沈んでいくオメガガールの咽喉奥を、強制イラマチオが突き貫く。

 ごぼおッ・・・ゴブ・・・おええッ・・・グプ、ブクブクブク・・・

「締め付けが緩くなってきおったわい。バーバラよ、この肉壷人形に気合を注入してくれんか」

 ロウガのペニスが動くたびにゴボゴボと鳴る白い首に、黄色の鞭が蛇のように巻きつく。
 魔女は美しき乙女の首をもぎとらん勢いで、一気に真上に吊り上げた。
 バーバラの鞭に、絞首刑にされるオメガガール。肉棒に咽喉を塞がれながらの仕打ちに、呼吸はほとんど不能であった。しかもその肢体は、ゴールドの腕力によって強引に下方に沈められている。細い首に食い込む鞭・・・沈めば股間を抉る怪老の魔羅・・・昇れば咽喉を突く狼の怒張・・・上がるも下がるも留まるも、地獄の責め苦に、孤独な戦乙女の心が崩れ壊れていく・・・。
 だが、わずかしか残っていないオメガ粒子が、四之宮天音に死の安楽を許さない。本来ならとっくに死ねる苛烈な責めにも、オメガガールの命を無駄に長らしめる。煉獄の苦痛を耐えさせ続ける。いまや天音にとっては、死なないということが最大の拷問であった。

 背後に回ったシルバーが、オメガのマークが描かれた胸のスーツを引き千切る。極上の形と質を伴ったバストが、ボロリと外気に晒される。
 アルファ電磁波そのものに改良された電撃を纏ったシルバーの両手が、焼きながらオメガガールの乳房を存分に揉みしだく。
 上下の口を醜悪な肉棒によって貫かれ、ジュースのごとく搾り出される体液。
 絞首刑によって上に、怪力によって下に、引き伸ばされるグラマラスな肢体。
 敗北を象徴するように、陵辱と蹂躙を同時に刷り込まれていく剥き出しのバスト。
 悪の幹部5人に、一斉に責め嬲られる孤独な正義のヒロイン。
 それはまさに今回の闘い=『ジャッカル』の抹殺計画に嵌り食い散らされていくオメガガールの姿を、凝縮したかのような地獄絵図であった。

 5匹の悪魔に貪り食われる敗北天使の煉獄は、一時間以上に渡って続けられた。
 ブラック・ボックスの最上階。処刑場と化した暗黒の部屋の中央で、大の字になって仰向けで転がるスーパー・ヒロインだった者。
 取り囲んだ男たちの怒張したペニスから放出される白濁の粘液。何度浴びたかわからぬ発射を受けて、青と赤のコスチュームは原色が見えぬほど汚濁に塗り潰されていた。

「ホーッホッホッホッ!! これのどこがオメガガール?! 単なる無様な肉便器じゃないのッッ!!」

 狂ったように笑うバーバラの高いヒールが、ザーメンまみれのプラチナの髪をゴツと踏み躙る。ガクリと美貌を横向ける乙女戦士。ピクリとも動かない四之宮天音の頬を、スッと一筋の涙が流れる。

「どうだァ、ガキども。オメガガールの処刑ショーは楽しかったかい?」

 ケラケラと笑うロウガの問いに、答える者はいない。涙すら乾いた子供たちに、発する言葉はなかった。

「ふむ。では、用済みのお前たちをそろそろ解放してやろうかの。ちょっとしたゲームをクリアする条件で」

 鷲鼻をヒクつかせた醜悪な老人は、陰惨極まりない邪笑を浮かべて宣告した。

「この愚かな雌犬が、我らの責めの前に、勢いよく聖水を放射する様子は見ていたじゃろう? あれは『潮を吹く』と言ってな、正義を気取った生意気な小娘が、大いなる力の前に心底から屈服した証明なのじゃ。今から10名一組となり、オメガガールを舐めつくせ。突き刺し、摩擦し、我らがやったように犯し嬲れ。見事、潮を吹かせられたら、ここから逃がしてやろう」

 正義の味方は敗れた。助かりたければ、己の手で切り開くしかない。
 幼くして、生き残るためになにをすればいいのか、強制的に学ばされた子供たち。
 大の字で横臥した被虐の戦乙女に、10名一組となった最初の少年少女たちは、一斉に飛び掛っていった。

 合計100名、十組の幼児による、オメガガール陵辱の宴。
 無惨に十度の絶頂を迎え、己の愛液の水溜まりに青と赤のコスチュームが沈んだとき・・・オメガガールは、100人の子供たちを、『ジャッカル』の手から解放できたのであった。

| オメガガール | 19:50 | トラックバック:0コメント:7
オメガガール5章ー2
(・・・い、痛・・・い・・・・・・身体が・・・燃えるよ・・・う・・・あつ・・・い・・・・・・)

 激痛のショックと失血で、天音の意識が死に向かう。許容以上の苦痛に耐えかね、超少女の脳は安楽への道を進みかけた。

 だが、再び捻られた腕輪の摘みが、悶死寸前であったオメガガールに生命エネルギーを送りこみ、強引に復活させる。
 ダメージも苦痛も復活と呼ぶには程遠く残っているのに、オメガガールのコスチュームだけが何もなかったように復元していた。

「アッ! ハアッ! あ・アアッッ・・・あああァ~~ッ・・・」

「フヘヘ! いい表情だぜェ、オメガガールちゃんよォ! 楽に死ねねえのは辛いだろ?!」

 プラチナに輝く髪の下で、端整な美貌が泣き出しそうに歪んでいる。
 死の寸前まで嬲られながら、再度蘇らされる・・・ブレスレットの機能を逆用した『ジャッカル』の悪魔の拷問に、絶望の美乙女の精神は崩壊しかかっていた。
 追い打ちをかけるべくロウガが己の十本の爪を見せる。ナイフのごとく長く尖った爪。黄色に輝くそれらを見て、オメガガールは切なる悲鳴をあげた。

「や、やめてえェェッッ!!! もうやめてェェッッ!! そ、そんなのッ・・・わ、私、私はもうッ・・・」

「じゃあ、『ジャッカル』に忠誠を誓いな。私は『ジャッカル』の奴隷です、と子供たちの前で言うんなら、助けてやってもいいぜェ?」

 ニヤニヤと笑いながら、狼男が臭い息を青白い美貌に吹きかける。
 もし、オメガガールがただひとりで、子供たちというギャラリーがいなければ、この時点で悪に屈していたであろう。
 しかし、戦乙女に残された使命感が、子供たちの前での完全敗北を阻止する。また、そうわかっていたからこそのロウガの敗北勧告であった。

「そ、それは・・・できない・・・・・・」

「ケケケケケ! だったら地獄に堕ちなッ、オメガガールちゃん♪」

 ロウガの黄色の爪が、青いスーツの胸部分を切り裂く。紙のように、ヒロインのコスチュームは容易く破れた。
 天音の形のいいバストが、切り取られたスーツの間から露出する。宙吊りのまま、乳房だけを剥かれて晒される美戦士の姿は、正義の敗北を象徴するにも、あまりに無惨で卑猥であった。

「よーく見ろよ、ガキども! これがオメガガールのおっぱいだぜェェ」

 柔らかなオメガガールの右乳房を鷲掴むや、激しく揉み潰しながらロウガは四方の子供たちにその光景を見せびらかす。
 静まり返った暗黒の部屋に、ゴクリと生唾を飲む音がいくつか響く。

「見ろ、乳首がコリコリになってきやがった! オメガガールは気持ちいいってよォ! おっぱい揉まれて感じまくってやがるぜェェ!」

 固く尖った桃色の頂点を、ロウガの指がぐりぐりとこね回す。頬をピンクに染めた超少女の美貌が、悪党の言葉を証明するように乳首をいじられるたびビクビクと痙攣する。
 度重なる拷問で死の危機にあるオメガガールの肉体は、本能的に生を求めるあまり生殖能力が敏感に高まってしまっていた。
 バストの頂点から浴びせられる官能の刺激は、凄まじい鋭さで天音の脳髄と下腹部を突き刺してくる。ロウガの言葉が正しいことを自覚した戦乙女は、かつてない屈辱と羞恥に血が滲むほど唇を噛み締めた。

「気持ちいいかい、オメガガールぅぅ!! おらァッ、おっぱいめちゃめちゃにされる気分はどうだッ? 悔しいかァ? 気持ちよすぎて昇天しちまうかァ? もう乳首ガッチガチだぜェ、ヒャハハハハ!」

 全身を突っ張らせるオメガガール。思わず上空を仰いで晒した白い咽喉が、劣情の波動にヒクヒクと揺れている。激しく執拗なロウガの魔悦に、若く経験の乏しい乙女の肉体は痺れ切っていた。
 背後に回ったロウガは抱きかかえるようにしてオメガガールの乳房を弄び続ける。弾力のある見事なボリュームのバスト。柔らかな白い肉の饅頭を周辺から丁寧に撫であげる。時に揉み、時に擦りながら。沸き起こる快感のさざ波はやがて胸の頂点へと掻き集められ、尖りきったピンク色の突起をトドメとばかりにこねられる。突き、回し、摘み、擦る。乳首への責めは粘着質で、丹念であった。痛いほど激しいかと思えば、羽毛のごとき繊細さで蕩けさせる。狼男の卓越した技術の前には、乙女の肢体は脆すぎた。下腹部を直撃する官能の電流を絶え間なく浴び続け、オメガガールの脳裏は思考すら覚束ないほど麻痺していた。

 露出したバストをオモチャのように悪党に蹂躙され、呆けた表情で桃色に染まっていく美乙女。正義のヒロインがあまりに無力であることを象徴するシーンは、100人の子供たちにこれみよがしに見せ付けられている。
 あってはならない事態、見せてはならない醜態だと、天音の心はよくわかっているというのに―――ロウガの愛撫に抗うことすらできず溺れていく守護天使は、蕩けた視線を虚空にさ迷わせながら、ただ喘ぎ声を噛み締めることしかできない。
 そこにいるのは究極の女神ではなく、オメガガールのコスプレをした、美しき女子大生・四之宮天音に過ぎなかった。

「い~い感度だぜェェ、オメガガールちゃ~~んん♪ たまんねえだろォ? 気持ちよくって、感じちゃって、たまんねえんだろォォ??」

 ピンクに染まった美貌がフルフルと横に振られる。一瞬たりとて休むことない快楽の津波に呑み込まれたオメガガールには、もはやその程度の反抗しかできない。

「ケヒケヒケヒ! 口は嘘ついても下のお口は正直だぜェェ~~。もっと虐めてって、涎ダラダラ垂らしてやがらァ」

 ロウガの手が股間に伸びるや、クチュクチュと卑猥な音が天音の耳朶を打った。赤のミニスカと下着代わりの青いコスチュームが乙女のクレヴァスに吸着してくる。じっとりと湿った嫌な感触に、柳眉が八の字を描く。
 オメガガールの股間から溢れ出した愛蜜は、ミニスカにまで黒い沁みを描き、その雫は丸い膝にまで垂れ流れていた。
 コスチューム越しにオメガガールの秘部を擦りだしたロウガの淫手は激しさを増す。ズブズブと聖穴に抉り入る獣の爪。股間を摩擦し、洞窟内の敏感なスポットを抉る。イマドキの女子大生には珍しいくらい、固く操を守り男の手に身体すら満足に触れさせたことのない天音にとって、秘園の奥に隠された聖窟に指を突き入れられるのは、かつてない屈辱と衝撃であった。だが、その尖った指が内部の襞を摩擦するたび脳天に響くのは、稲妻のような魔悦の波動・・・極大の悔しさと快楽を同時に撃ち込まれ、オメガガールの意識はもはや粉砕寸前であった。

(やめてッ・・・ヤメテッ! ゆ、指を・・・指を抜いてェェ・・・な、なに、この感覚?・・・痺れ・・・蕩けちゃい・・・アッ?! アアッッ!! ・・・お、おかしく・・・な・・・る・・・私・・・こんなバケモノに・・・・・・遊ばれ・・・て・・・)

「うくッ?! ひぐぅッ!! あッ・・・あふうッ・・・」

「犯されてる姿なんて、ガキどもには見せられねえってか。健気だねェェ、ケケケ! けど喘ぎ声が、耐え切れずに洩れちまってるぜェェェ~~」

「わ、私・・・私はァ・・・」

「よく聞きなァ、オメガガールちゃああ~~んん・・・正義のヒロインの恥ずかしい音をなァァ」

 グチュ・・・グチュクチュ・・・
 ヌプ・・・グチュアア・・・ヌチャ・・・

 乳房への責めだけで、若き乙女はもう前戯は十二分というほどに濡れ切っていた。
 更なる股間への愛撫。グツグツと沸騰した女壷からは甘い愛蜜が溢れ出し、オメガガールのミニスカに色が変色するほど沁み込んでいた。狼男の指が抜き差しされるたび、淫靡な粘着音が異様に大きく響き渡る。
 美戦士の敗北を、象徴するシーンであった。
 無敵の女神と呼ばれ、不死身の肉体を誇ったオメガガール。その女性らしいグラマラスな肢体は今、宙吊りに囚われ、屹立した乳首を露出させ、怪人の快楽責めにあえなく溺れて濡れ滴っている。
 もはや美乙女の肉体は究極などではなかった。
 赤と青のコスチュームに身を包んだ正義のヒロインは、犯罪集団『ジャッカル』の手に落ち、いいように遊ばれる肉人形と化した。

「このままイケ♪ ガキどもの前でイって、壮絶に散るんだなァァ~~、オメガガール♪」

「い、いやァッ・・・いや、イヤ、いやアッッ!!」

「じゃあこうだ!!」

 愛撫の手を急に休めるや、ロウガの黄色に光る爪が十本、一斉にオメガガールの腹部を抉り刺す。

 ドスドスドスドスドシュッッ!!!!

「はぐううッッッ?!! いやあああああああッッッ~~~ッッッ!!!!」

 悦楽に耐えるのに必死であった美乙女は、苦痛への耐久を完全に怠ってしまっていた。
 無防備なオメガガールを、不意に壮絶な激痛に落す悪魔の刃。
 ギリギリのラインで魔悦地獄への転落を踏みとどまっていた究極女神に、予想外の方向から飛んで来た爆撃を避けられるわけもない。
 四之宮天音のなかでなんかがプツリと途絶え、そして・・・オメガガールは、奈落へと転落していった。

「ギャハハハハ! 食らえッ、オメガガールぅぅッッ!!! ゲラゲラゲラゲラ!!」

 青のボディスーツを切り裂き、根元まで深々とオメガガールの腹部に突き刺さったロウガの爪。
 合計十本、アルファ粒子で作成された鋭利な刃が、ギュルギュルと引き締まった女神の腹部の内部で回転する。

「うあああああああッッッーーーーッッッ!!!! わああああああああッッッーーーッッッッ!!!!」

「泣き叫んでるぅッッ!! 泣いて苦しんでやがるぜェェ、あのオメガガールがよォォ!! どうだアッッ、苦しいかッ?!! ハラワタ掻き混ぜられるのは痛てえだろォッ?!!」

「やめてやめてやめてェェェッッーーーッッッ!!! もう許してェェッッ!!! お願いィィッッーーーッッッ!!!! 許してええェェェッッーーーッッ!!!」

 噴水となった血がうねりながら乱れ飛ぶ。大きく見開かれた美乙女の瞳が、白黒しながら天空をさ迷う。
 ビクッ、ビクビクビクッッ、ビクンッッ!!
 オメガガールの肉体が凄まじすぎる激痛に痙攣を繰り返す。

「お前の負けだなあ、オメガガールちゃん~~♪」

「わ、わたしの負けですうッッーーーッッ!!! 服従でもォォッッ!! なんでもしますッッ~~ッッッ!!! お、お願いイィィッッーーッッ、もう許してェェッッ~~ッッ!!! もうやめてェェェェ~~ッッッ!!!・・・」

「てめえに倒されていった、『ジャッカル』の恨みはこんなもんじゃ済まねえぞォォ、ええッ?!」

 哀れに命乞いするプラチナの女神を無視し、さらにロウガはオメガガールにとっては猛毒に値する爪で腹筋を抉る。

「ひぎィッッ・・・ぶッッ・・・あがァ・・・死・・・わたし・・・死・・・ヌ・・・・・・」

 美乙女の痙攣が一段と激しさを増してゆく。
 無敵と思われた正義のヒロイン、オメガガール。だが、ドクター・ノウの完璧なる抹殺計画の前では、彼女はあまりに無力であった。反撃の可能性を奪われ、最悪のアルファ粒子で拷問の限りを尽くされた女神に、最期のときが近付く。
 腹部を抉り刺される非業な責めを、今のオメガガールに耐え切れるわけがなかった。

(ダ・・・メ・・・わたしは・・・ここで・・・殺され・・・・・・る・・・)

 灼熱に燃える苦痛のさなか、己の運命を悟る天音。
 だが、ここで安息を与えるほど『ジャッカル』は優しくはなかった。

「シルバーよォォ、オメガ粒子を流してやりなァァァ~~」

「ッッッ!!! いやああああああああッッッ~~~~ッッッ!!!!」

 絶妙な量のオメガ粒子が再度天音の肉体を駆け巡り、死という安楽に向かうのを阻止する。
 なんという、地獄。
 腹部を抉り回されながら、オメガガールは死ぬことすらできず、発狂寸前の苦痛を浴び続けねばならないのだ。
 十本のドリルで腹部に穴を開けられながら、強引に蘇生を繰り返されるオメガガール・・・
 途絶えることのない悲痛な絶叫は20分以上続けられ、責め手のロウガが飽きるころ、ようやく悪夢は終わりを迎えた。
 子供たちの何割かは、ショックに耐え切れず失神してしまっていた。
 そして、とうのオメガガールは・・・
 ピクリとも動かなくなった肢体を無様にYの字型に宙に吊られながら、そのコスチュームは何事もなかったかのように元に戻っていた。
 穴だらけにされた腹部にも、傷ひとつない。だが。
 正義のヒロインの心は、悪魔の嗜虐の果てに、グチャグチャに破壊されてしまっていた。

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